海洋調査は、海洋の環境、生物、物理的・化学的特性を研究するためのさまざまな手法を使用します。以下は代表的な方法とその概要です。
1. 観測装置による調査
(1) 水中センサー
- CTDセンサー
水温、塩分濃度、水圧(深さ)を測定する装置。ケーブルで船から吊り下げて使用します。 - 溶存酸素センサー
水中の酸素濃度を測定。海洋生態系や環境変化の把握に役立ちます。
(2) 自動計測ブイ
- 浮かぶブイにセンサーを搭載し、長期的に海洋のデータを収集。
- 潮流、波高、水温のモニタリングに使用。
(3) 潜水艇・ROV (遠隔操作無人潜水機)
- 潜水艇:有人で深海調査を行います。例えば、日本の「しんかい6500」は6500mの深さまで潜れます。
- ROV:遠隔操作で深海を探査し、映像撮影やサンプル採取を行います。
2. 衛星リモートセンシング
- 海洋表面の広範囲なデータを収集。
- 海水温: 海表面の温度分布を把握。
- 海流・潮汐: 衛星画像を通じて海流パターンを解析。
- プランクトン分布: クロロフィル濃度の分布を把握。
3. 音響測定
(1) ソナー(音波探査)
- マルチビームエコーサウンダー
海底地形を高精度にマッピング。 - 魚群探知機
魚群の位置や密度を測定。
(2) 水中音響通信
- 深海の観測機器からデータを音波で送信し、回収。
4. サンプル採取
(1) 水質採取
- Niskinボトルなどを使い、特定の深度の水を採取。
- 栄養塩や有害物質の分析を実施。
(2) 海底堆積物採取
- グラブサンプラー
海底の泥や砂を採取。 - コアサンプラー
深海底の堆積物を円柱状に採取し、地質や過去の環境を研究。
(3) 生物採取
- プランクトンネットやトロール網で生物を捕獲し、分類やDNA分析を行う。
5. 実験的・モデリング調査
(1) 実験室分析
- 採取した試料を用いて、化学成分や微生物群を解析。
(2) モデリング
- コンピュータシミュレーションを活用し、海洋環境や生態系の変化を予測。
6. 市民科学・データ共有
- 一般市民が参加する調査プロジェクト(例: ビーチコーミング、漂着物調査)。
- 研究機関や国際団体によるデータ共有で研究が効率化。
これらの方法を組み合わせることで、海洋環境や生態系の複雑なメカニズムを解明しています。技術の進歩により、より広範囲かつ詳細な調査が可能になっています。