数年前の夏の朝、彼女は私に電話してきた。布製のブックカバーを買ったが間違って箱入りをクリックしたという。布製ブックカバーは私が生地を選び縫製やさんに縫ってもらっている商品。「先日、娘にプレゼントしたときは箱入りにしましたが今回は自分用なので化粧箱はいりません」という内容だった。
私は「わかりました」と言って電話を切ろうとした。ところが相手は切らずにぐずぐずしている。変な女と思った。そして「あのう、神戸大学の?」と来た。「えっ、知りあいですか」「はい」。慌ててPC画面に目をやり名前を探していた。そして「あ、たえちゃん」と叫んでいた。たえちゃんが電話してきてくれた。中学の英語教師になったたえちゃんが。「来月、大阪の人とお見合いする」と言っていた離れていくたえちゃんが。卒業以来ずっと気になっていた。こんなこともあるんやね。人生は不思議に満ちている。ワンダフル。