団塊のささやかなつぶやき!

リタイアライフをエンジョイする73歳団塊シニアの独り言

☆ ある画家の数奇な運命

2022-02-05 01:32:50 | 映画



2018年のドイツの映画です。

現代美術界の巨匠とされる芸術家ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに、ドイツの「歴史の闇」と「芸術の光」を描いています。


なお、映画化の条件は、人物の名前を変えて、何が事実か事実でないかは互いに絶対に明かさないこととなっているそうです。

ですから観ていて、暗黒の歴史の裏側を覗く重苦しさと緊張感に圧倒されました。


当然ナチ党政権下のドイツが舞台です。

少年クルトは、叔母の影響で芸術に親しみながら育ちますが、叔母は精神の均衡を失い、強制入院の果てに安楽死させられてしまいます。


終戦後、東ドイツの美術学校に進学したクルトは、エリーという女性に出会って結婚しますが、その父がナチ党の元高官で、叔母を死に追いやった張本人だとは知らずにいました。

やがて東ドイツのアート界に疑問を抱いたクルトは、エリーを連れてベルリンの壁崩壊前に西側に逃亡し、美術学校の教授から酷評されつつも、叔母の遺した言葉を胸に刻み、創作に没頭し、徐々に評価を高めていきます。


そして、ついに叔母の死に関する事実を知ることになり・・・、という非常に興味深く緊張感がある話です。


しかもこの物語の主人公であるゲルハルト・リヒターの個展が今年日本の美術館で開かれるというのもタイムリーです。


抽象的な絵画ですが、ぜひ私も観にいきたいと思っています。





☆ 蝋梅が咲きました!

2022-01-27 17:01:09 | ガーデニング


毎年、年明け最初に花が咲く蝋梅がきれいな花を咲かせてくれてます。

玄関脇の場所ですから、可憐な黄色の花びらは美しく、外を歩く人にも蝋梅の甘い匂いが漂います。


匂いもいいですが、何と言っても好きなのは花びらです。

半透明でにぶいツヤのある丸い花びらがまるで蝋細工のようです。


中国の原産で、日本へ渡来したのは17世紀初めの江戸時代だそうです。

庭木として広く植えられていて、近所でも3本ほど見かけます。


落葉広葉樹の低木ですが、高さは2 - 5メートルほどにもなり、成長が早いので、夏場の剪定をしっかりしないと美しい形を維持できないのが難点です。

日本においては晩冬(小寒〔1月6日頃〕から立春の前日〔2月3日頃〕までの間)の季語とされているそうです。




☆ 『チャンシルさんには福が多いね』

2022-01-23 18:33:03 | 映画


昨年1月に日本で公開された韓国映画の紹介です。

この作品は韓国らしくない淡々としたストーリーですが、その心情にはとても引き込まれ、心地良い後味でした。


監督は長年にわたりホン・サンス監督作品のプロデューサーを務めてきたキム・チョヒという方で、以前紹介した『はちどり』と同様女性で、この作品が初メガホンだそうです。

作風としてはオフビートなコメディということです。


内容は自分の経験が参考になってると思われますが、映画プロデューサーのチャンシルが、ずっと支えてきた映画監督の急死で失業してしまって、その後の生き方の迷いや周りの見る目などもろもろの心情などを丁寧に描いてます。

人生の全てを映画に捧げてきた彼女には家も恋人も子どももなく、青春さえも棒に振ってきたことに気づき、そんな彼女に、思わぬ恋の予感が訪れる…。


という内容ですが、最後までトーンは変わりません。

それが韓国映画としては新鮮で、昔の日本映画のようで、すんなりと心に入ってきて心地良いです。


主人公のチャンシルには、本作で数多くの新人女優賞に輝いたカン・マルグム。

『ミナリ』でアカデミー助演女優賞の偉業を成し遂げたユン・ヨジョンや、「愛の不時着」耳野郎役のキム・ヨンミンらが共演しています。




☆ 『ようこそ映画音響の世界へ』

2022-01-19 15:08:31 | 映画


アメリカ合衆国の映画におけるサウンドデザインの歴史を描いた2019年のドキュメンタリー映画です。

このタイトルだと自分から観てみようとは思わないですが、内容は興味深くどんどん引き込まれました。


トーキーの時代から、スターウォーズに代表される現代の作品について、様々な人が語っています。

有名な方では、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・リンチ、ソフィア・コッポラ、バーブラ・ストライサンドなどです。


監督はミッジ・コスティン。
25年に渡り、ハリウッドで主に音響デザイナー、音響編集者として活躍する女性です。


作品の内容の素晴らしさをいろんな方が語っていて、参考になると思いますので抜粋して列記しておきます。


樋口真嗣(映画監督)

現実にない映像の説得力は、その映像のクオリティよりも音響によって決まるのだ。とてつもなく嬉しいことばかりで彩られている素晴らしい映画だ。


押井守(映画監督)

苦悩するカントクに較べて音響スタッフたちの楽しそうなこと!あれが「映画に魂を吹き込む」人間たちの顔なのです。


阪本順治(映画監督)

この作品を観れば、音響のマジックを知ることとなる。地道すぎる作業と、その種明かしにもびっくりだろう。


鶴田法男(映画監督)

本作を見終わったとき、あなたは耳でも映画を観ることが出来るようになり、あなたの好きな映画がもっともっと愛おしくなる。必見!!


宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)

映画館で映画を観る最大の理由は、音響にある。本作を観れば、それがどうしてかがわかるだろう。


春日太一(映画史・時代劇研究家)

映画の奥深さに触れることができ、既に観た映画もまた改めて見たくなる。そんな作品です。


小沼純一(音楽・文芸批評家)

映画音響の歴史はさほど長くないから、生き証人の声がきこえるのもうれしい。


吉田俊太郎(翻訳家)

音響デザイナーたちのそれぞれ独創的でイマジネーション豊かな創作過程を垣間見れるのもとても楽しい。


賀来タクト(映画&映画音楽関連文筆家) 

ウォルター・マーチがいなければ『地獄の黙示録』のヘリも飛ぶことはなかった。
ベン・バートがいなければ『スター・ウォーズ』も嘘くさい親子チャンバラだった。
ゲイリー・ライドストロームがいなければ『トイ・ストーリー』もただのおもちゃごっこだった。

音で映画を本物にした音響三銃士の活躍がここに!


岩浪美和(音響監督)

映画音響をめぐる冒険者たちの挑戦が数々の名作と共に語られます。この偉大なる冒険譚をぜひ劇場の音響で体験してください!



☆ 『はちどり』

2022-01-02 13:17:24 | 映画


これからぼちぼち映画の感想を書いていこうかと思っています。

とは言っても、劇場で観るのは多部未華子ちゃんがらみぐらいで、それは別ブログで書くので、ここでは日経金曜夕刊の映画評で☆4か5をとった作品で、WOWOWで観たものになります。


これが結構あって、一時期は100本近くレコーダーに溜まっていましたが、必死で消化して現在は30本ぐらいです。

ドラマの感想も別ブログで書いていて、そちらを優先するのでハイシーズンはほとんど映画は観ず、今のような時期にぼちぼちと観ています。


今日紹介するのは、知ってる方もいるかと思いますが、韓国映画の『はちどり』です。


2018年に公開され、キム・ボラ監督の長編映画デビュー作で、主演はパク・ジフ。

第69回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門インターナショナル審査員賞グランプリを受賞。日本では2020年6月に公開されています。


話は、両親、姉、兄と集合団地に暮らす14歳の中学生ウニが学校や友達と過ごす、たんたんとしてるけど大胆さもあり、不吉な未来も感じさせる私好みの作品です。

なんと言っても引き込まれた大きな要因は主演のパク・ジフの透明感です。


若いからピュアで清楚なのは当然なんですが、一方で芯の強さ、自分の意志を曲げないギャップに萌えます。

そんな彼女が、思春期の誰にでもある悩みを相談できる相手がいない中、塾の女子講師と出会い、自分の話に耳を傾け、適切なアドバイスをしてくれ、徐々に憧れ心を開いていく。


そんな女子講師にとてもショックな出来事が起き、ウニは現実の厳しい世界に引き戻されます。

落ち込んでる中のラストは、ウニの未来に向けてのエールともとれ、辛い中にも爽やかな風が吹くようです。