忘れるものか この一分一秒を こいつらは、最後の最後までバカだった・・・それが、仲間だから。

　これは、戦闘因果に支配された宇宙の運命に風穴を開ける男の物語。俺たちは絶対的絶望に勝てないのか・・・。アンチスパイラルの母星に向けて突き進む【シモン】たち大グレン団。そこに行けば【ニア】に逢える。愛する女を救う為に突き進む。仲間を、地球を、全てに、決着をつけるのだ。【シモン】は【ニア】に意識を集中させる・・・指輪。２人の気持ちは時空をも超越しつながっている。負けられない戦い・・・どこまで行くんだ・・・俺たち。どこまでも突き進むだろう。大グレン団の士気も高まる。エンジン全開で進んだその先に待つものは・・・宇宙空間に広がる【ニア】だった。美しくも、儚い【ニア】の裸体が映像として映し出されていた。来てくれたのね・・・。【シモン】は約束を果す為にやって来た。気をつけてシモン・・・。【ニア】からの忠告。アンチスパイラルの強大さに・・・。【ニア】と一緒に帰る為に・・・。なぜ、今更【ニア】を解析する必要があるのか・・・。
　【シモン】に語りかけるアンチスパイラル。愚かな螺旋の民よ・・・。どこから聴こえて来てる・・・全方向から。我らの敵は宇宙そのものなのだ。でか過ぎる。どこまでも希望の光を奪う為に・・・。【ニア】の映像の前に大いなる絶望が立ちはだかる。「アークグレンラガン」と大グレン団の最後の戦いが始まる。【ヨーコ】は待っている子供たちの為に、今できる事の全てを・・・秘密の多き女性である。
　なぜか、手応えのない敵・・・。しかし「アークグレンラガン」の今のドリルでは道を開く事ができない。だが、なくはない。この超銀河ダイグレンにはある。戦艦を人型に変形させる。小宇宙にも匹敵するパワーを得るのだ。「超銀河グレンラガン」。それだけの螺旋力を持つ男は【シモン】のみ。その時間を稼ぐ事はできるのか・・・。みんなも目立ちたいのだ！心地良い仲間たちの声が聴こえる。待っている仲間たちの為に・・・。
　ぶきみな顔をする敵戦艦は沈黙していた。【シモン】は螺旋エネルギーを注入している。後、４８％。残り１０分。持ちこたえてくれ・・・。感じていた。この嫌なものを・・・それは【ヨーコ】も感じていた事だった。集合がかかる・・・その時だった。奴らが牙を剥いた。分断される仲間たち・・・見捨てられない。帰って来れるよな・・・。徐々に押し潰される機体・・・脱出もできない。俺、どこまで行けた・・・。覚悟を決めていたかもしれない。【シモン】にも聴こえたかい？その声が届いたかい？戦況がコクピットにも響く焦るなよ【シモン】。

　シモン！待ってる女を泣かせるじゃないぞ！

　シモン！絶対にニアを・・・。

【アイラック】と【キッド】のこれが最後の通信だった。グレン団の意地を見せた・・・。次々とワープゲートからミサイルが放たれる。近過ぎるミサイルを迎撃する仲間たち。その中で傷つく【ダリー】の機体。間に合わない・・倒れて行く仲間たち・・・【マッケン】だった。敵の攻撃から【ダリー】を守りながら戦う【ギミー】。若い世代を守る・・・【ジョーガン】と【バリンボウ】だった。ギミー！ダリーを守れ！生きろよ・・・俺たちの分も！２人は、最後まで笑っていた。【ダリー】は、いつまでも泣いていた・・・。
　【シモン】の決意。二度と忘れる事はないだろう・・・。仲間たちの意志を。その命の輝きを。忘れる事はできないのだ！アンチスパイラルの新たなる攻撃が「超銀河ダイグレン」を襲う。【シモン】たちを黒き海が呑み込んだ。まだ、限りない絶対的絶望を与えるのか・・・ぶきみな笑いが支配するのだった。