琴浦春香は色のない世界に住んでいた。誰も一緒に居てくれない世界に住んでいた。その瞳から光さえも失っていた・・・。その瞳は何を見ているの?琴浦さん・・・。とても幸せで、裕福な家庭に生まれた。母親である久美子も喜んでくれた。春香と優しく名前を呼ぶ母親の声が聞える。朝ごはん、、、半熟の玉子焼き。声が聞えてしまう。父親と母親との楽しい朝食。コーヒーではなく紅茶が飲みたいようだ。声が聞えてしまう。幼稚園ではジャンケンが強かった。簡単だった。みんな、何を出すのかを言っていると・・・。ランドセルを祖父に買って貰い、両親に見せた時も、、、もう、チンチクリンとか言っちゃダメ。声が聞えてしまう。小学校では、みんなで好きな男子の話。みんなはいないと言っているけど、、、春香には聞えてしまう。なんで、みんな嘘をつくの?みんなの好きな男子を言ってしまう・・・。笑顔で話をする春香。本当の事を言えば、、、全てがうまく行く訳ではなかった。クラスメイトを泣かせてしまった。それは、担任の先生からだった。虚言癖があると・・・。保護者からの苦情。徐々に家庭も・・・。父親は母親に任せてばかり。母親は春香を連れて、病院を回る・・・。わからない。正常。どんどん母親は顔が怖くなって行く・・・。病院からも突き出された。春香は病気ではないよ・・・。誰も遊んでくれないの。ヘンな事ばかり言って、気持ち悪い。春香は泣いていた・・・。父親は家に帰って来なくなっていた。悪いものが憑いていると寺の和尚の所までも・・・。母親はお酒を飲んでいた。誰のせいだと、、、春香にグラスを投げつけた。割れた、、、春香は目に涙をためていた。母親が背を向けた・・・。祖父の琴浦善三だけは春香の言う事を聞いてくれた。みんな、春香の嫌いではないよ・・・。久しぶりに帰って来た父親は女性とホテルに・・・。母親は男性と一緒に食事に・・・。春香が勝手に言っている事になってしまった。母親は春香をおいて出て行った。怒らせる事をしない、、、お掃除もお料理もすると。母親の目は死んでいた、、、いや、聞えていないかもしれない。自分の子供の声を・・・。そして、春香を手で押した。あんたなんか、生むんじゃなかった・・・。ごめんなさい、、、その目は絶望を見ていたのかもしれない。教室では化け物と呼ばれた。親に捨てられた。嘘つき。心を読んで笑っていないのに・・・。親友にも、、、無理と・・・。ずっと、ずっと、春香は一人だった。公園で見つけた捨て猫。面倒を看ていた猫が居なくなった・・・。保健所へ連れて行かれた。雨が、、、傘をさすのを忘れるほどに・・・。雨の音にかき消されるように、、、大きな声で泣いた。もう、終わったのかもしれない。何もかも・・・。その泣き声は誰にも聞えない。転校するって、、、問題児とおさらば。教師の声が聞えた。転校先でも、、、面倒くさいのが来たと・・・。面倒くさくて、すみません。座る席に向う春香に聞えて来る生徒たちの声・・・。ここでも変わらないのか、、、みんなこの人みたいに、わたしを無視してくれれば、それでいい。隣りの席に座る真鍋義久との出会いで、全てが変わり出す!真鍋の頭の中では、、、荒野で訳の分からない生物たちがムーンウォークをしている!?春香に気づいた真鍋は言った。あれ?君、誰?その時だった。春香の色のない世界が色彩豊かな世界になりました。
教室で机で座って読書をしている春香に女子生徒がやって来た。その心の声が、、、知りたくないと。テニスには興味ないと・・・。そのやり取りを見ていた真鍋。春香に話しかけようとするとクラスメイトの森谷ヒヨリがやって来た。森谷の家には遊び行かないようだ。豪快に断わっていた。空手の道場には興味が無い様子。春香は真鍋の心の声が聞えた。真鍋は口に出していたと勘違いをしていたが、、、一週間と過ぎて行く度に、春香は一人になって行く。一人でお弁当を食べている春香に真鍋が一緒に食おうぜと・・・。春香の前に座って、パンを食べ出した。真鍋は春香のお弁当を食べたいと思っている。好きにすればと、、、お弁当をくれる。心の声と会話をしていた。まだ、真鍋は手品だと思っている。勝手にコロッケを食べた・・・。春香に話し掛けて来る。体育の時間も一緒に行った。一緒にお弁当を食べていると面白い顔をしていた。一緒に帰る事に、、、方向は一緒。会話が・・・。もっと、トークをしたい真鍋なのだ。春香に関わる理由、、、あれ?何でだ。心の声と一緒だった・・・。真鍋は手品のタネが知りたいと・・・。人の心がわかれば、何だってできちゃうと・・・。真鍋はバカ。何も知らない・・・。春香は真鍋を拒否するように・・・。すると、真鍋は脳内で春香でエッチな妄想を・・・。脳内の春香とキスをする。春香が帰って来た!ピンクの妄想を手で払った・・・。超能力。心を読まれたくなかったら、もうわたしに近づかないで・・・。だが、真鍋の反応は違っていた。うかつにエロい事、考えられないと・・・。怖いさ、、、エロ紳士扱いになってしまうと・・・。
一人暮らし。春香は真鍋の事で疲れている。初めてだ。あんな変な人・・・。心を許すとその記憶が・・・。母親の目が・・・。ダメ、絶対にダメ。買い物をしていると真鍋に会った。荷物を持ってくれるようだ。エロスを要求するつもり・・・。信号が青になる、、、そこへ、トラックが突っ込んで来る。春香は運転手の声が聞えた。真鍋を押し倒す格好で助けた。気味の悪い化け物と言うが、、、打ち消すように、ありがとなと真鍋が言った。春香が膝を擦り剥いていた。ちょっと、血も出ている。春香は真鍋を家に、、、膝に絆創膏を貼ってくれた。人の心を読んで傷つけた・・・。春香は一方的に話をしている。全部、あたしが壊しちゃったの、、、誰も近づかないようにするだけ・・・。本当に傷ついているのは誰なのか?それは、春香ではないか。お前は、それでいいのかよ。真鍋はわかっている。本当に傷ついているのが誰なのかを・・・。春香だってわかっている、、、一人で居る事が嫌だと。傷つくのも傷つけられるのも嫌。けど、一番嫌なのは、嫌なのは、大事な人が離れていく事。だったらもう、最初から一人の方がいい。真鍋は春香の全てを受け止めようとする。心が読めようと読めなかろうとが離れて行く人間は勝手に離れて行く。そんなやつばかりではない。真鍋は、、、俺がお前と一緒に居る。何があっても離れないと・・・。真鍋は友達のつもりだった。真鍋は、、、こんな状況でもエッチな事を考える事ができるのだ。春香の泣き顔にムラムラしていた、、、変態よ。エロスの貴公子よ!男の本能が憎い!そんな真鍋に春香は笑った。春香は笑顔の方が可愛いよ、、、よろしくな、琴浦。うん、真鍋君・・・。お互いに手をつなげるのだった。
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