朝日新聞(社説)憲法70年 国民分断する首相方針
憲法改正は、多くの国民が必要だと考えた時に初めて実現すべきものだ。首相の意向だからと、世論を二分する改正を数の力で押し通せば、国民の間に深い分断をもたらす恐れがある。
この社説の意味が解る人がいたら教えて欲しいのですが、取り敢えず考察してみたいと思います。
自民党の昭和30年の立党宣言
・・われら立党の政治理念は、第一に、ひたすら議会民主政治の大道を歩むにある。従ってわれらは、暴力と破壊、革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する。・・
と、書いていますが、自民党には共産党を排撃する能力が無いので、これは許すとして、
【党の使命】第六
現行憲法の自主的改正を始めとする独立体制の整備を強力に実行し、もって、国民の負託に応えんとするものである。
【党の政綱】六、(独立体制の整備)
平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う。
平成17年の新綱領
私たちは近い将来、自立した国民意識のもとで新しい憲法が制定されるよう、国民合意の形成に努めます。そのため、党内外の実質的論議が進展するよう努めます。
平成22年の綱領
日本らしい日本の姿を示し、世界に貢献できる新憲法の制定を目指す。
何れも自民党の基本方針であり、新憲法の制定に反対する議員は自民党員にはいない筈(?)ですし、悪夢の3年間以外は、ほゞ自民党が政権与党でした。つまり、国民が「新憲法制定を綱領に持つ自民党」を支持したという事は、少なくとも「改正を要求する声がある」と云う事です。
自民党の立党時には「憲法の自主改正は国民の負託に応える事」としていて、H17年には「新しい憲法」、H22年には「新憲法の制定」を目指すと宣言しています。「憲法の(部分)改正」を「新憲法」と言えるかどうかを問われると、世論を二分するかも知れませんが、「現憲法の破棄と同時に、新憲法を制定する事」は、世論を二分しません。
GHQによって1週間で書かれた「憲法素案」から「国民投票」を経ずに成立した「昭和憲法」をそのまま「新憲法」と認めるのも良し、日本人によって練られた「憲法素案」から成立する「令和憲法」を「新憲法」とするのも良しで、国民が何方を選ぶかの問題です。恐らく世論は二分どころか四分五裂以上に別れると思います。
朝日社説の「憲法改正は、多くの国民が必要だと考えた時に初めて実現すべきものだ。」では、国民が必要としているかどうかを、偏った世論調査ではなく、国民投票で確認する為にこそ議論を必要とします。これこそが「民主主義」なので、当然の過程ですが、決定したら従うだけです。議論を否定する事は「現憲法」にも違反し、「民主主義」とも言えません。