テレビとうさん

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「通貨発行」 と 「経済成長」

2020年05月15日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 「紙幣」は日銀が発効する「日銀通貨」なのですが、その実体は「負債と資産の記録の一部」です。日銀が保有する「政府国債(資産)」を原資(担保)に「日銀通貨(負債)」を発行します。この時に発生する「発行益(シニョリッジ)」は国債の金利で、貸方の「純資産の部」に組み込まれるか、結果として政府に戻されます。現在は「ゼロ金利政策」の為、通貨発行益は殆ど有りません。この「日銀通貨」の大部分は「数字」でしかなく、その一部を「紙幣」として実際に見る事が出来ます。

 この「紙幣」を、法律で「決済時の強制通用権」及び「唯一の納税通貨」として認める事で、国内での「額面の価値」を政府が保障します。市中銀行はこの「紙幣の通用力」を利用して、銀行の発行通貨である「預金通貨(通帳の数字)」を発行します。「日銀通貨」が日銀の負債であるのと同様に「預金通貨」は発行銀行の負債です。この時の銀行に於ける資産は、顧客に対する貸付金の「借用証書の数字」です。また、発行益は「貸付金利-預金金利」になります。

 顧客の保有する「預金通貨」には「強制通用権」が無い為、決済する時には振込(振替)手数料を払う事で、銀行が「日銀通貨」による決済を代行してくれます。企業はこの「(当座)預金通貨」を利用して「小切手」を発行出来ます。「小切手」は私的通貨なので、殆ど通用力は有りません。発行体の信用力が無ければ通用しないので、日本では一般の人は見た事も受け取ることも無いと思います。

 取り込み詐欺にも「小切手」が利用される場合があり、「小切手の引き落し」が早くても2~3日後(休日が入ると、その分遅れる)になる事を利用します。

 それはさておいて、間もなく「10万円の給付金」が、多くの場合世帯ごとの「預金通帳に印字」されます。この数字は「預金通貨」なので「銀行の負債」なのですが、一見すると違うように見えます。通常の預金は、個人が「現金」を銀行に持って行き、銀行はこの日銀の負債である「紙幣」を受け取り、これを銀行の資産として「通帳に印字」します。つまり、「日銀の負債」が個人から銀行に移ったことで、銀行はこれを資産にして「預金通貨」を発行します。

 「銀行振り込み給付金」の場合は「紙幣」を発行することなく、「日銀通貨」を市中銀行の「日銀当座預金」に発行(印字)し、銀行が指定口座に印字します。つまり、印字の繰り返しである「貸借の記録」も通貨の発行と言います。

 ところで、この「給付金」は国民が「感染を抑え込む為に”働かない”」仕事を請け負った対価としての、政府から受け取る「賃金」です。通常の、会社からの「給与振り込み」は、会社の売上利益の一部を給与として従業員に支払います。政府は「政府通貨」である「貨幣(硬貨)」を銀行に振り込んでも良いのですが、細かい事を言うと「硬貨の強制決裁権」は法律で限定されていて、それぞれに使用可能枚数が決められています。その上、重いので日本全国に送るのには少し不便です。

 そこで考え付いたのが、もう一つの「政府通貨」である「国債」を日銀に売り付けて、日銀が「国債」を担保に「紙幣」を発行するーーーのも面倒くさいので、市中銀行が日銀に持っている「当座預金口座」に数字を打ち込みます。決して、「国債」は国の借金でもなく、国民の借金でもありません。「硬貨」と同様に「政府の発行通貨」です。「国債」は政府の「負債」なので「貸方」に書かれ、その対価として得た例えば「現金」は「借方」に書かれます。ここで問題になるのが「硬貨」で、「硬貨」は「国債」と同様に政府が発効するので「負債」の様にも見えますが、「現金」でもあります。「現金」なら「借方」なのですが、発行体が違う「通貨」なので、「紙幣と交換できる通貨」として「純資産(自己資本)」科目になります。企業が「株式」を発行して「自己資本」に組み入れる事に似ています。

 実は「国債」を担保するのは「予算」です。この「予算」は国民が直接選出した国会議員が承認するので「国民の承認」が担保と言えます。「国民の資産」で「国債」を買う訳では無いので、国民の保有資産の残高による制約は受けません。外国との貿易や投資を考えなければ、国民が欲するだけ「国債」を発行して「現金給付」を受けても、現金が増えた分の物価が上がるだけなので、不便には成っても国家(財政)が破綻する事は有りません。

 「硬貨」も同様に、企業が成長を見込んで株主の同意を得て「増資」出来るように、政府も成長の為に国民の同意を得て「造幣」する事は可能です。「株式」や「硬貨」は借金では無く「純資産」なので、返却する義務は有りません。

 物価高騰を抑えるのは「国民の供給余力」なので、これを超えない程度の資金供給(国債発行・硬貨発行)は適度な経済成長を促します。国民は可処分所得に対して2%程度の「割高なモノを消費」する事で、2%程度の「経済成長」を達成することが出来ます。つまり、常に2%程度の「供給余力」を国内だけで保持すると云う事です。




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