オメガねこ

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「政府通貨」 と「 日銀通貨」

2019年05月10日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)

 中央銀行の役割:物価の安定や景気の調整をはかり、経済の健全な成長を維持すること。 

 政府の財政的役割:資源(公共財)の配分や所得(税収)の再配分などで、経済の健全な成長を維持すること。

 政府と日銀の共通の機能:通貨発行権(政府は無担保通貨、日銀は政府保証に拠る負債通貨。)

 法定通貨は、現行法で決められているので、手続きを踏めばどちらでも発効可能ですが、経済環境によって違いがあります。

 「日銀通貨(紙幣)」は、通貨を単にバラまくのではなく、国債や手形等を買い入れる代金として発行するので、その受け取り利息などから諸経費を除いた分が「通貨発行益」になります。決して「通貨発行益=額面価格-印刷経費」ではありません。 インフレになると、一般に金利も上昇するので、(名目)発行益も増えます。 デフレになると、マイナス金利も考えられ、発行益が消失或いはマイナスになる恐れも出て来ます。但し、実質発行益は、物価下落と買い取り資産の価値の力関係で実質的にプラスになるかもしれません。

 「政府通貨」は現在は硬貨だけですが、税金や国債発行で得た収入と合わせて、資源の再配分や公務員経費・公共事業などの事業費の予算措置によって流通します。硬貨の場合、「通貨発行益=発行額-諸経費等を除いた金額」なので、 インフレになると原材料を含む諸経費が増加し、また物価上昇の影響で減価も進み発行益は縮小しますが、デフレになると、諸経費が減り、更に物価に対する価値が増加するので、発行益は増加します。

 つまり発行体にとっては、インフレ時には日銀通貨が有利で、デフレ時には政府通貨が有利になります。同様に「政府通貨」である「国債」の発行もデフレ時には有利になります。

 過去のバブル膨張時は、日銀通貨の大量発行に拠るもので、インフレ時の日銀通貨の威力が発揮されました。しかし、成長が急激すぎた為に市場心理が不安になり、又、貿易摩擦も有り急激に引き締めを実行した為、バブル崩壊を起こしました。 これは、インフレ時における日銀通貨の適度な発行調整が必要である事を示しています。

 現在の失われた20年~30年では、バブル崩壊の後遺症も有り、「財政均衡主義」も手伝ってデフレに陥りました。デフレ時には日銀通貨の威力は殆ど無く、政府通貨の発行が待たれますが、政府・日銀の「基礎的財政収支の均衡論」が邪魔をしてデフレの脱却が出来ません。

 MMT(Modern Monetary Theory:現代通貨理論)では、(過剰な)インフレが起こるまでは通貨の発行に限度は無いとされています。デフレ時には日銀通貨は非効率なので、政府通貨で対応すべきです。




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