昨日夕方、アジトに帰り着いて、おれはパソコンのスイッチを入れた。
入らなかった。
いや、スイッチは入るんだが、いつまで経っても画面が表示されないのだ。
「あああああああ!!」
叫んで頭を抱えたおれだった。
まったくもう、パソコンって奴は、どうしてこう定期的にダメになるのか!?
日記を振り返ってみると、前回は2009年の8月だった。
2004年にナゴヤ堂を始めて、その時買ったパソコンが2009年まで。
そして、今は2014年。
5年か? 確実に5年で壊れるように出来てやがるのか?
もう、パソコントラブルの出張サービスを呼ぶようなおれではない。
こんなの、どうせ電源スイッチ周りのトラブルで、出張サービスのコメントは「修理できないことはないが、買い換えた方が安い」に決まってる。
パソコンメーカーってのは、こうやって需要をキープしてるんじゃないのか?
しかし、何と言われても、こちらはパソコンなしではやっていけない立場であり、どんなに急に壊れても、どんなに文句を言っても、結局は買い替えるしかないのだ。
買いたいものなんか、いくらでもあるというのに!
不幸中の幸いとしては(幸いは常に不幸の中にある)、翌日(つまり今日だ)が休みだった。
ヤケを起こしたおれは、すべての対応は翌日に押しやって、布団かぶって寝てしまったのだ。
明けて今朝、いやいや地下鉄に乗り、秋葉原を目指す。
おれはパソコンのことは、全く解らないと言っていい人間だ。
パソコンを買うとなると、もう、ワケも解らず、秋葉原に行ってしまう。
地下鉄の中では、小田嶋隆氏の「パソコンは猿仕事」の文庫を読む。
収録されている「白モノの勝利」という一篇は、こんな時に読むのにこれ以上はないエッセイだ。
冷蔵庫や洗濯機などのいわゆる白モノ家電の頑丈さに比べて、すぐに壊れたり新製品によって機能がよくなり過ぎるため、どんどん買い替えなければいけないパソコンというのが、いかに異常な世界か、余すところなく書かれていて、おれはいちいちに大きく頷かざるを得なかった。
まったく、この進歩で誰が幸せになっているというのだろうか。
前回の買い替えの時は「それでも買い物は楽しい」みたいなことを書いていたが、あの時はおれも若かったのだろう。
ずっと買いたいと思っているアレやコレを押しのけて、突然の、しかも結構な額の手痛い出費。
しかも、繰り返すが、おれはパソコンのことは、全く解らないと言っていい人間なのだ。
どんなパソコンがいいのか、判断する材料が何もないのに、どれかを選ばなければいけないなどというのは、純粋に苦痛でしかない。
結局値段が予算にまずまず見合っているという1点のみで選択し、おれにとっては決して安くない金額を支払う。
店「結構重いんですけど、配送しますか?」
お「いや、持ち帰りだ」
重いのは覚悟、いつだっておれは持ち帰りを選ぶ。
立場上、一瞬でも早くパソコン環境を取り戻さねばならないのだ。
どうせこの後新しいパソコンのセッティング、さらに前回も苦しんだ各種データの取り込みなどで手こずるに決まっている。
ギッシリと手に食い込む重さ、歩く膝にガンガンぶつかってくる箱のかさばり、いろんな要素で荷物に苦しめられつつ、アジトへ戻った。
セッティングには、やはり苦しんだ。
パソコン及び各周辺機器のコードは、グジャグジャに絡まり合っており、それを解きほぐすのは、この世のものとも思えない苦難だった。
それでも何とかすべての機器を接続し、スイッチを入れるところまでこぎつけた。
この後、データの取り込みでまた苦しむことになるだろうが、まずは一段階進んだと言っていいだろう。
モチロン、この時のおれは、それがどんなに甘い考えであるか、全く気づいてもいなかったのだ。
スイッチを入れる。
新しいパソコン本体の青いランプが灯った。
ところが、モニターには何も表示されない。
待っても待っても表示されないのだ。
「えええええええ!?」
この時、おれは本当に絶望したのだと思う。
半日を費やし、多額の金を失い、重い荷物による苦役にも耐えて、ここまでやってきたことがすべて無駄だっただと・・・?
そして、どうすれば復旧するのか。
結局原因を探るために、出張サービスを依頼しなければいけないのか?
それならば休みである今日来てもらうべきだったのか・・・?
一体いつ、この事態を抜け出せるんだ、いつ!?
・・・とりあえず気持ちを落ち着けるのに30分を要した。
痛みだす頭で、いやいやながらもゆっくり考えていくと、ひとつの結論が出てきた。
・・・これはもしや、ダメになったのはパソコンではなくモニターだったということではないのか・・・?
この時点で夕方である。
しかし、一刻も早く復旧したいのは、変らない事実である。
どうする? 今から出かけてどこかでモニターを買って来た方が・・・。
いや、でも、モニターが原因かどうかも、本当は解らない・・・。
モニターを買ってきても、事態が変わらなければ、その時はもう絶望で死んでしまうかもしれない・・・。
心は乱れたが、無理矢理もう一度外に出た。
2日連続の泣き寝入りなんかゴメンだ。
そして、なんだかもうヤケクソ気味になって来たのだ。
こうなったらもう、行くとこまで行ってやる!
アジトのある荻窪には、パソコンモニターが買える店はなかったので、とりあえず新宿へ出た。
よく考えたら、パソコンだって新宿でよかったんじゃないかと気づいたが、もう無駄なので気づかないフリをした。
駅すぐのお店で、最初に目についたモニターを購入、モチロン持ち帰りでもう一度アジトに戻った。
パソコンよりは軽く、かさばらない荷物だったが、アジトに着く頃には、気分的には充分打ちのめされていたのだった。
2度の買い物で「さすがにこれだけあれば、大丈夫だろう」と用意した資金がスッカリなくなってしまった。
パソコンの大きな箱が残っている横にモニターの箱を置いて開いた。
今日、アジトには、大きな箱が2つ増えたのだ。
セッティングしてある新しいパソコンに、買って来たモニターを接続。
これでダメだったら、もう打つ手はない。
緊張しながらスイッチを入れる。
・・・入った。画面も表示された。
「おおおおおおお・・・」
ため息とも悲鳴ともつかない声が、自然に漏れた。
そして、どうやら今回の事態はモニターのせいではないのかという疑念が大きくなってきたのだ。
おれは、一旦新しいパソコンの電源を切り、古いパソコンをセッティングした。
緊張しながらスイッチを入れる。
・・・入った。画面も表示された。
「あああああああ・・・」
今度は、明らかなため息が自然に漏れた。
パソコンは、別に壊れてなかったのだ・・・。
結局、モニターだけ新しくし、本体は古いままのパソコンで、今この日記を書いている。
復旧してすぐ、メールを取り込んでみたが、ナゴヤ堂にはモチロン何の注文も来ていなかった。
おれが座っているすぐ横には、新しいパソコンが相変わらずかさばる姿で鎮座している。
これはまぁ、いずれ、またパソコンが壊れた時にすぐに復旧できるという風に思うしかない。
1日の休みと、手近な海外なら行けるくらいの金額とを失い、引き換えに得たものは、とんでもない疲労と無力感。
5年間、おれにまったく進歩がないことの証拠に、その時と同じ一文で今日の日記を締めたいと思う。
おれって、どうしていつもこうなんだろ・・・。
入らなかった。
いや、スイッチは入るんだが、いつまで経っても画面が表示されないのだ。
「あああああああ!!」
叫んで頭を抱えたおれだった。
まったくもう、パソコンって奴は、どうしてこう定期的にダメになるのか!?
日記を振り返ってみると、前回は2009年の8月だった。
2004年にナゴヤ堂を始めて、その時買ったパソコンが2009年まで。
そして、今は2014年。
5年か? 確実に5年で壊れるように出来てやがるのか?
もう、パソコントラブルの出張サービスを呼ぶようなおれではない。
こんなの、どうせ電源スイッチ周りのトラブルで、出張サービスのコメントは「修理できないことはないが、買い換えた方が安い」に決まってる。
パソコンメーカーってのは、こうやって需要をキープしてるんじゃないのか?
しかし、何と言われても、こちらはパソコンなしではやっていけない立場であり、どんなに急に壊れても、どんなに文句を言っても、結局は買い替えるしかないのだ。
買いたいものなんか、いくらでもあるというのに!
不幸中の幸いとしては(幸いは常に不幸の中にある)、翌日(つまり今日だ)が休みだった。
ヤケを起こしたおれは、すべての対応は翌日に押しやって、布団かぶって寝てしまったのだ。
明けて今朝、いやいや地下鉄に乗り、秋葉原を目指す。
おれはパソコンのことは、全く解らないと言っていい人間だ。
パソコンを買うとなると、もう、ワケも解らず、秋葉原に行ってしまう。
地下鉄の中では、小田嶋隆氏の「パソコンは猿仕事」の文庫を読む。
収録されている「白モノの勝利」という一篇は、こんな時に読むのにこれ以上はないエッセイだ。
冷蔵庫や洗濯機などのいわゆる白モノ家電の頑丈さに比べて、すぐに壊れたり新製品によって機能がよくなり過ぎるため、どんどん買い替えなければいけないパソコンというのが、いかに異常な世界か、余すところなく書かれていて、おれはいちいちに大きく頷かざるを得なかった。
まったく、この進歩で誰が幸せになっているというのだろうか。
前回の買い替えの時は「それでも買い物は楽しい」みたいなことを書いていたが、あの時はおれも若かったのだろう。
ずっと買いたいと思っているアレやコレを押しのけて、突然の、しかも結構な額の手痛い出費。
しかも、繰り返すが、おれはパソコンのことは、全く解らないと言っていい人間なのだ。
どんなパソコンがいいのか、判断する材料が何もないのに、どれかを選ばなければいけないなどというのは、純粋に苦痛でしかない。
結局値段が予算にまずまず見合っているという1点のみで選択し、おれにとっては決して安くない金額を支払う。
店「結構重いんですけど、配送しますか?」
お「いや、持ち帰りだ」
重いのは覚悟、いつだっておれは持ち帰りを選ぶ。
立場上、一瞬でも早くパソコン環境を取り戻さねばならないのだ。
どうせこの後新しいパソコンのセッティング、さらに前回も苦しんだ各種データの取り込みなどで手こずるに決まっている。
ギッシリと手に食い込む重さ、歩く膝にガンガンぶつかってくる箱のかさばり、いろんな要素で荷物に苦しめられつつ、アジトへ戻った。
セッティングには、やはり苦しんだ。
パソコン及び各周辺機器のコードは、グジャグジャに絡まり合っており、それを解きほぐすのは、この世のものとも思えない苦難だった。
それでも何とかすべての機器を接続し、スイッチを入れるところまでこぎつけた。
この後、データの取り込みでまた苦しむことになるだろうが、まずは一段階進んだと言っていいだろう。
モチロン、この時のおれは、それがどんなに甘い考えであるか、全く気づいてもいなかったのだ。
スイッチを入れる。
新しいパソコン本体の青いランプが灯った。
ところが、モニターには何も表示されない。
待っても待っても表示されないのだ。
「えええええええ!?」
この時、おれは本当に絶望したのだと思う。
半日を費やし、多額の金を失い、重い荷物による苦役にも耐えて、ここまでやってきたことがすべて無駄だっただと・・・?
そして、どうすれば復旧するのか。
結局原因を探るために、出張サービスを依頼しなければいけないのか?
それならば休みである今日来てもらうべきだったのか・・・?
一体いつ、この事態を抜け出せるんだ、いつ!?
・・・とりあえず気持ちを落ち着けるのに30分を要した。
痛みだす頭で、いやいやながらもゆっくり考えていくと、ひとつの結論が出てきた。
・・・これはもしや、ダメになったのはパソコンではなくモニターだったということではないのか・・・?
この時点で夕方である。
しかし、一刻も早く復旧したいのは、変らない事実である。
どうする? 今から出かけてどこかでモニターを買って来た方が・・・。
いや、でも、モニターが原因かどうかも、本当は解らない・・・。
モニターを買ってきても、事態が変わらなければ、その時はもう絶望で死んでしまうかもしれない・・・。
心は乱れたが、無理矢理もう一度外に出た。
2日連続の泣き寝入りなんかゴメンだ。
そして、なんだかもうヤケクソ気味になって来たのだ。
こうなったらもう、行くとこまで行ってやる!
アジトのある荻窪には、パソコンモニターが買える店はなかったので、とりあえず新宿へ出た。
よく考えたら、パソコンだって新宿でよかったんじゃないかと気づいたが、もう無駄なので気づかないフリをした。
駅すぐのお店で、最初に目についたモニターを購入、モチロン持ち帰りでもう一度アジトに戻った。
パソコンよりは軽く、かさばらない荷物だったが、アジトに着く頃には、気分的には充分打ちのめされていたのだった。
2度の買い物で「さすがにこれだけあれば、大丈夫だろう」と用意した資金がスッカリなくなってしまった。
パソコンの大きな箱が残っている横にモニターの箱を置いて開いた。
今日、アジトには、大きな箱が2つ増えたのだ。
セッティングしてある新しいパソコンに、買って来たモニターを接続。
これでダメだったら、もう打つ手はない。
緊張しながらスイッチを入れる。
・・・入った。画面も表示された。
「おおおおおおお・・・」
ため息とも悲鳴ともつかない声が、自然に漏れた。
そして、どうやら今回の事態はモニターのせいではないのかという疑念が大きくなってきたのだ。
おれは、一旦新しいパソコンの電源を切り、古いパソコンをセッティングした。
緊張しながらスイッチを入れる。
・・・入った。画面も表示された。
「あああああああ・・・」
今度は、明らかなため息が自然に漏れた。
パソコンは、別に壊れてなかったのだ・・・。
結局、モニターだけ新しくし、本体は古いままのパソコンで、今この日記を書いている。
復旧してすぐ、メールを取り込んでみたが、ナゴヤ堂にはモチロン何の注文も来ていなかった。
おれが座っているすぐ横には、新しいパソコンが相変わらずかさばる姿で鎮座している。
これはまぁ、いずれ、またパソコンが壊れた時にすぐに復旧できるという風に思うしかない。
1日の休みと、手近な海外なら行けるくらいの金額とを失い、引き換えに得たものは、とんでもない疲労と無力感。
5年間、おれにまったく進歩がないことの証拠に、その時と同じ一文で今日の日記を締めたいと思う。
おれって、どうしていつもこうなんだろ・・・。