なぜ旅に出るのか。それは、旅が日常だから、です。
これが答えになります。よくある「人生は旅」という例えとは少し違います。
帰る道すがら、昨日通った道ではない方を選びたい、それが自分です。
多分、3食同じご飯でも構わないのですが、新しい何か、冒険の匂いのする方へ行きたい、と願うのです。
他の芸術分野と比べて、演劇は踏襲されてきたもの、蓄積が歴史の中であり、また構造上「空間を何かが通り、それを見る」という成立するには条件の多い芸術です。
とはいえ、絵画や音楽、映像などでも革新的な技術・技法による冒険が多く要求されます。
新たな芸術を探求する旅行者としては。
演劇の世界でも、不条理演劇、現代口語演劇など新たな分野が開拓されていて、そうした新たな技法を探求する演出家もいると思います。自分もかつてはそうでした。
でも今は、少し違います。
そのために旅に出るのではありません。
演出という仕事柄、いろんな題材、シーン、人々、場所を扱います。その変化に対応していける柔軟性、もっと言うと精神性が必要です。そして自分の作り方は「日常の中の非日常」という劇団設立時のテーゼ(命題)が表している通り「日常を生きる中で出てくるものを非日常である舞台に載せる」という方法です。
技術論が楽しかった時代もありました。翻訳劇の言語体系を俳優の身体で日常にアジャストさせていったり、マグリットの絵画から発想する俳優の創造性に任せてクリエイトしたり、絵画の構図に着目してその合間を創り出すことに夢中になったり。
ここから何回かにまたがってこのテーマをお話しして,その後、取材旅の話をしていきたい、と思います。
さて、告知です。
演劇的朗読会「本を読む・聴く」“持ち物:想像力と創造性、大好きな本”
好きな本を読んで、聴いてもらい、その本の話をしてもらいます。
どこが演劇的なのか・・・
読み手が、読む場所や読み方を決めるだけでなく、
聞き手に、「こんなふうに聞いて欲しい」と注文をつけます!!
「物語をどのように伝えるか」という演出の視点から、自分の読み方だけでなく、どのように聞いてもらいたいのかも発想する朗読会です。
ナビゲーター 氏田 敦(俳優) / 松浦友(演出)
募集対象:小学校3年生〜高校生※保護者の方は是非ご参加ください。見学のみは不可
参加費:無料
・読む前にリラックスや声出しのための短い俳優トレーニングを受けてもらいます。動きやすい服装と水分をご持参ください。
12月7日(土)14:30ー16:30 会場:菅原生涯学習市民センター 3階美術室
12月21日(土)14:30ー16:30 会場:生涯学習交流センター 和室
12月26日(木)14:30ー16:30 会場:さだ生涯学習市民センター 2Fプレイルーム
12月27日(金)14:30ー16:30 会場:枚方公園青少年センター 3階ホール
12月28日(土)14:30ー16:30 会場:楠葉生涯学習市民センター 3階 視聴覚室