9月7日の戎橋街宣 - 宮古島の要塞化に反対する会 で紹介した、「9/10琉球弧を戦場にするな!上映会」に駆けつけてくださった清水早子さんから、宮古島からの報告を受けました…簡単に紹介します。
・陸上自衛隊のミサイル部隊の配備は終了したが、こんどは「電子戦部隊」が24年度中にやってくる。千代田駐屯地の隣に用地を取得して進めていく。また基地内には「レンジャー訓練棟」やヘリパッドになるグラウンドも整備中である。一度、基地を認めると後からどんどん拡大されていく。
・野原の空自基地と千代田駐屯地を結ぶ通信ケーブルの埋設工事の準備として、道路の磁気探査が進められている。
・保良(ぼら)には3棟目の弾薬庫建設が進められている。長い鋼管杭を打ち込んで、基礎地盤を固めている。
・上野新里にある球体のレーダー、いつのまにか5基もできることに…民間の事業で、GPS衛星の管制局でありスマホに位置情報を送ることもするが、衛星にはアメリカの監視センサーが搭載されており、アメリカにも情報を提供している。このシステムが「極超音速滑空弾」の誘導に使われるとされており、民間の事業を装った軍事施設である。
・3000mの滑走路を持つ下地島空港の軍事使用が最終的に狙われている。
・波照間島・多良間島の空港も軍事利用を狙っている。石垣島と両島を結んでいるのは「第一航空」という大阪・八尾に拠点がある会社である。
・2024年1月9日、陸上自衛隊幕僚副長ら数十人が集団で靖国神社を参拝した翌日10日、陸自宮古島駐屯地の警備隊長ら約20人が公用車などで宮古神社を参拝していた…宮古島駐屯地へ抗議!
・2023年4月、陸自のヘリコプターUH60JA(ブラックホーク)が墜落し、第8師団幹部ら10名がなくなった事故から1年、宮古島駐屯地の御嶽のそばに「黒鷹の勇士」と刻銘された慰霊碑が建てられた。事故の犠牲者を「勇士」とたたえて英霊視することと、死を忌避する御嶽のそばに「死」を祈念する慰霊碑を置くなぞありえないこと…これも宮古島駐屯地に抗議した。
・宮古島各地の「成人祝い」の集合写真を集めて市の広報誌2月号の表紙になっていたが、基地のある地域の集合写真では背後に「天皇家の菊の紋章」が入った「旭日旗」が飾れれていた…宮古島市に抗議!
・宮古島の久松島民祭では、地元に自衛隊誘致の議員がいる。そこでは自衛隊車両の展示が行われた。
・石垣島では「海神祭」ハーリー競漕に自衛隊員が「公務」として参加している…「漕舟訓練」「洋上訓練」だそうな…宮古島ではそれを許さない声明を出し、会見を行った。
・全国で問題になっているPFAS汚染…沖縄では基地からの汚染が深刻な状況である。
なお、11月24日(日)に国労会館で「琉球弧を戦場にするな!上映会」が行われるということで、清水さんもそこでたっぷり時間をとって話をされる予定だそうです。
こんな報道がありました。
自衛隊と米軍が実施中の最高レベルの演習で、仮想敵国を初めて「中国」と明示していることが4日、複数の政府関係者への取材で分かった。仮称を用いていた過去の演習と比べ、大きく踏み込んだ想定にした。演習はコンピューターを使用するシミュレーションで、シナリオの柱は台湾有事。防衛省は特定秘密保護法に基づき、シナリオを特定秘密に指定したもようだ。数年以内に中国が台湾に武力侵攻するのではないかとの懸念は高まっており、今回の敵国名変更は日米の強い危機感の表れといえる。
日米間には有事を想定した共同作戦計画が複数存在する。このうち、台湾有事に関する作戦計画の原案は昨年末に完成した。キーン・エッジと呼ばれる今回の演習の結果を原案に反映させ、今年末までに正式版を策定する予定。2025年ごろに部隊を実際に動かす演習(キーン・ソード)を実施し、作戦計画の有効性を検証する流れだ。
中国を仮想敵とした、日米共同訓練・演習はこれまで何回も行われてきました。しかし、中国を名指しで敵視したのは今回が初めてです。それだけ日米両国が戦争に踏み込んだ、踏み出したとみるべきです。危険な兆候です。
もっとも「台湾有事」で軍事行動を起こせば、宮古島をはじめとする琉球弧の島々が戦場になります。ミサイルが雨あられと降ってくるのです…逃げることはできません。
逃げることができないことが、次の東京新聞の記事で示されています。
中国の武力攻撃による「台湾有事」を想定し、政府が沖縄県の与那国島や石垣島、多良間島など先島諸島の住民ら計12万人を九州地方に避難させる計画に対し、対象となる住民から批判が出ている。計画には障害者や重病者の避難方法は十分に盛り込まれず、住民への説明機会も足りていない。「有事ありき」で画竜点睛を欠いた計画になりそうだ。(佐藤裕介)
◆12万人を6日間で避難
政府は2022年末に閣議決定した国家安全保障戦略に、「国民保護のための体制強化」として、台湾有事の影響が及ぶ恐れのある先島諸島などの住民を避難させる計画の「速やかな策定」を盛り込んだ。政府と沖縄県は先島諸島にある5市町村の全住民11万人や観光客ら1万人を、航空機と船舶を使って6日間で避難させる計画を想定。1月30日、国民保護法に基づいて国と県による図上訓練を県庁で行った。訓練は昨年3月に続き2度目となる。
実際の避難は、日本への攻撃が予測される「武力攻撃予測事態」と政府が認定して初めて実施されるが、認定基準はあいまいだ。政府関係者も「(認定は)容易ではない」と打ち明ける。さらに、一部の自治体では、避難時に配慮が必要な障害者や重病者らの人数把握ができておらず、治療を継続しながら重病者をどのように輸送するかも決まっていない。
◆政府、住民への説明会「開く予定はない」
避難者の受け入れ先となる福岡や鹿児島、山口など九州・中国地方の9県の準備も進んでいない。昨年10月、松野博一官房長官(当時)は、九州地方知事会の蒲島郁夫会長(熊本県知事)に受け入れ計画の策定を初めて依頼。内閣官房と防衛省は、避難施設や食料の確保など、各県の受け入れの初期計画を24年度中にも取りまとめる方針だが、どれだけ具体化できるかは見通せていない。
実際に避難するとなれば、事前の住民説明は欠かせない。だが、今月2日現在、自治体主催で開かれた意見交換会は5市町村のうち、与那国町と多良間村で計5回のみ。国主催の説明会は行われておらず、内閣官房の担当者は「(今後も)開く予定はない」と話す。
◆識者「方針ありきで、説明責任も果たしていない」
有事になれば、避難期間が長期化する恐れもあるが、与那国町の農家小嶺博泉(ひろもと)さん(52)は「意見交換会で納得のいく説明はなく『島から出ろ』と言われても納得できない」と憤る。先島諸島が有事に巻き込まれる前提での避難計画に加えて、自衛隊の配備も進める政府に対し、与那国町の民宿経営狩野史江さん(63)は「『戦争の島』にしないでほしい。故郷を要塞(ようさい)の島にしようとしている」と不満を募らせる。与那国町職員の田島政之さん(52)も「平和外交に力を入れるべきだ」と訴えた。
日本大学危機管理学部の福田充教授(危機管理学)は「まずは外交努力で紛争を回避することが大前提」と指摘した上で、「攻撃の予測が困難な中での事前避難は難しく、強制力のある全島避難が本当に実施できるか慎重に検討するべきだ。方針ありきで、住民への説明責任を果たしていないのも問題だ」と語った。(以下略)
「台湾有事」を口実に、中国と戦争をしてはなりません。そのための軍事力強化、ミサイル配備など認められません。
そもそも、国連の秩序としては「一つの中国」「台湾は中国の一部」であり、仮に中国が台湾を「武力統一」しようと群を動かしてもそれは中国国内での「内戦」という扱いになります。米国や日本が「介入」する理屈が立ちません。
日本も1972年の日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明において、
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
と認めているのです。軍事介入は、できません。
また現在、ウクライナと中東で戦争が行われている中、米国が東アジアでさらなる軍事行動を起こす力はありません。仮に「台湾有事」が起これば、日本の自衛隊が前面に立つことになります。
それは「沖縄戦の再来」です。
宮古島をはじめとする、琉球弧の島じまを戦場にしてはなりません。
来月行われる日米共同訓練で、宮古島の隣、石垣島に米軍が初めて展開することが明らかになりました。
NHKニュース
陸上自衛隊は、来月国内で実施するアメリカ軍との共同訓練の詳細を公表しました。沖縄県ではアメリカ軍が初めて石垣島に展開するほか、陸上自衛隊のオスプレイも沖縄県で初めて飛行するとしています。
陸上自衛隊によりますと、離島の防衛を想定したアメリカ軍との共同訓練は、来月14日から31日にかけて九州・沖縄や北海道で行われ、日米合わせておよそ6400人が参加します。
14日、訓練の詳細を公表し、このうち沖縄県ではアメリカ海兵隊や陸軍が石垣駐屯地に展開し、航空機や艦艇との戦闘を想定してレーダーによる警戒監視を行うということです。
アメリカ軍が石垣島に展開するのは初めてで、規模は合わせておよそ80人だということです。
このほか、那覇駐屯地や石垣駐屯地、与那国駐屯地などを使い、海兵隊と共同の調整所を設けて人員や物資を輸送する訓練などを行うということです。
この中では隊員が負傷したという想定で、陸上自衛隊のオスプレイに乗せて新石垣空港から鹿児島県の奄美大島を経由して熊本県まで輸送する訓練も行われる予定だということです。
陸上自衛隊のオスプレイが沖縄県内で飛行したことはなく、沖縄県は13日、飛行を自粛するよう要請しています。
陸上自衛隊は「沖縄でのオスプレイの飛行や石垣島での日米共同訓練の実施は、いかなる事態にも備えるという点で意義がある。自治体や住民には今後も丁寧な説明を行っていく」としています。
前回の日米共同訓練では、「国境警備の自衛隊だけ」が来るとされていた与那国島に米軍が展開しました。次は石垣島の番です。また佐賀に配備される陸上自衛隊のオスプレイも、石垣島に展開し、負傷者を運ぶ訓練を行います。単に離島から重症患者を緊急搬送するためではなく、戦時に、後方の熊本まで移送するというのが訓練のミソです。だまされてはいけません。
宮古島では今年の2月に、他国からミサイルが飛来する事態をシミュレーションして対応を訓練する「日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練」が行われていますが、これは米軍部隊の展開はありません。
しかし宮古島でも、下地島空港を米軍が使用すようと狙っています。下地島空港も使って、日米共同訓練、戦争の準備が行われることを止めなければなりません。
自民党副総裁、麻生太郎が台湾で「(台湾有事で)戦う覚悟」が必要だと講演したことについて、8月13日に那覇市内で抗議集会が行われました。沖縄タイムスより
「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は13日夕、麻生太郎自民党副総裁の「戦う覚悟」発言に抗議する緊急集会を那覇市の県民広場で開いた。市民グループや戦争体験者ら約200人(主催者発表)が参加。発言は和平の芽を摘み取るもので、県民に「戦争を覚悟せよ」と語ったに等しいと批判し、麻生氏や岸田文雄首相に謝罪と発言撤回を求める宣言を採択した。
主催者を代表して瑞慶覧長敏共同代表(前南城市長)は「国がやるべきことは対話であり、決してミサイル配備ではない。ミサイルより発電機、シェルターより電線地中化を望みたい」と訴えた。
具志堅隆松共同代表(沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)は「政治家は戦争を回避するために努力するべきだ。しかし回避するどころか、戦う覚悟を要求するのは、政治家としての敗北以前の不適格の問題だ」と発言を批判。日本政府は当てにならないとして、国際社会に訴えていこうと呼びかけた。
麻生氏は今月8日、台湾で講演し、台湾海峡の平和と安定には強い抑止力が必要で、そのため日米や台湾に「戦う覚悟」が求められていると主張。同行した自民の鈴木馨祐政調副会長は9日夜のBSフジ番組で発言に関し「政府内部を含め、調整をした結果だ」と述べていた。
「台湾有事」を煽り、市民に「戦う覚悟」を求めることこそ、戦争への道であり、宮古島を始めとする琉球弧の島々を戦場にし、焼け野原にすることに繋がります、絶対に許してはなりません。
また麻生の発言は、彼個人の「失言」「暴言」ではなく、「政府内部を含め、調整した結果」であることは重大です。日本政府が台湾有事に対して「戦う覚悟」を見せよ、見せなければならないと言っているからです。
なお「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は7月25日に発足し、9月24日に設立報告集会を、そして11月23日には1万人以上の県民大会を目指す団体です。沖縄とともに、日本政府の戦争準備に対抗していかなければなりません。
宮古島に住民避難用のシェルターをつくろうという動きが加速しています。読売新聞オンラインより
政府は台湾有事を念頭に、沖縄県の宮古島(宮古島市)に住民が避難するシェルターを整備する方針を固めた。来年度予算に関連費用を盛り込む方向だ。シェルターの性能に関する指針を年内に策定するため、夏にも有識者から意見聴取を始める。
政府は昨年12月に改定した国家安全保障戦略で国民保護体制の強化を掲げ、宮古島を含む南西諸島を中心に「様々な種類の避難施設」を確保すると明記した。事前避難が難しい自治体職員らの安全を確保する狙いがある。
南西諸島は日本最西端の与那国島(与那国町)が台湾と約110キロ・メートルの位置にあり、中国が台湾を侵攻した場合に影響を受ける恐れが指摘されている。
宮古島市は6月、防衛省に、建設を予定する体育館の地下をシェルターとして活用するための財政支援を求めた。市は約4500人が3日間過ごすことを想定し、備蓄倉庫や自家発電機を備えることを計画しており、政府は支援額などを検討する。政府は与那国島や石垣島(石垣市)へのシェルター整備も急ぐ。
政府は近く、シェルターの性能に関する指針の策定に向け、国民保護や危機管理などが専門の大学教授ら約10人の有識者を選ぶ。核・ミサイル攻撃を念頭に、施設の面積や壁の厚さなどについて基準を決める方向だ。
琉球新報には、次のように報道されています。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1752183.html
【東京】政府が、台湾有事を想定し、宮古島に住民用の避難シェルターを設置するための予算案を2024年度概算要求に盛り込む方向で調整していることが23日、複数の政府関係者への取材で分かった。中国からのミサイル攻撃など地上での危険を避けるための「地下シェルター」が想定されている。石垣、与那国各島でもシェルター整備の取り組みを進める。具体的な計画策定に向け有識者会議を近く設置する方向で調整している。
国民保護計画の一環。複数の関係者によると、宮古島市が建て替え予定の総合体育館(市平良)に財政支援し、新設される地下の駐車場を活用することも検討している。有事の際に地下シェルターの機能も果たせるように備蓄倉庫、自家発電機なども設置することを想定している。(以下略)
建て替え予定の総合体育館に併設するような形で整備するようです。また、同様の施設を石垣島や与那国島にも建設すること、またシェルター建設のための設計指針…どんな構造で、どんな設備が必要か…を、有識者を呼んでつくろうとしていることが分かります。
ミサイル基地建設が一段落したので、今度は戦争が起こることを前提とした「住民避難」のためのシェルターづくりをしようということですが、そもそもミサイルを撃ちあう戦争を前提とすることが間違っています。
ウクライナでの戦争は、もう1年半以上続いています。一旦戦争が始まれば、何カ月も続くことになるでしょう。しかし何カ月もシェルターにこもることは出来ません。”警報”が出た時にシェルターに出たり入ったりを繰り返すのでしょうか?そんなことでは生活が成り立ちません。
また「台湾有事」を煽ることで、おそらく宮古島、石垣島、与那国島以外の島々、奄美大島や沖縄島にもシェルターをつくれ、つくらなければ、という要求も出て来るでしょう。基地建設に変わる、新しい”利権”が生まれます。
今、必要なのはシェルター建設ではなく、平和外交ではないでしょうか?