「宮古島の要塞化に反対する会」も発足から1年半が経ちました。
新たに会員を募集するチラシを作成しました。
2022年、宮古島でフィールドワークを行った私たちは、宮古島が対中国戦争のため軍事要塞化されていることを目の当たりにしました。自衛隊南西シフトは、島々を再び戦場にするものです。「沖縄戦を繰り返させない」ため、私たちができることを始めましょう!
連絡先
〒577ー0023
東大阪市荒本2-14-5 築山
☎080ー3784-1017
会費・カンパ振込のお願い
年会費 3,000円
振込先 三井住友銀行若江岩田支店
店番 160 口座 1420697(普通)
オナガ セイエイ
会員様には、会報「アララガマ」をお送りします。
「アララガマ」とは「負けてたまるか!」という不屈の精神を示す宮古島のことばです。
2月18日、宮古島で、「陸上自衛隊宮古島駐屯地開設5周年」を祝う式典が行われますが、
それに抵抗する
「戦地や被災地の苦難に思いを馳せ、陸自5周年を祝わない2・18市民の集い」が行われます。
2月18日(日)
9:00~11:30
千代田駐屯地正門前
私たち「宮古島の要塞化に反対する会」も参加します。
今回は対中国封じ込め戦略における、米海兵隊の再編と戦略について見て行きます。
米海兵隊は、現存する3個海兵連隊を改編して、海兵沿岸連隊(MLR)にする構想を持っています。手始めにハワイから、そして沖縄の海兵隊も2025年までにはMLR化され、地対艦ミサイルシステム(NMESIS…ネメシス)を持つことになります。参考資料によれば、
それぞれのMLRは歩兵大隊及び長射程対艦ミサイル中隊を基幹とする沿岸戦闘団(Littoral Combat Team: LCT)を中心とし、防空、対空監視警戒、航空燃料・弾薬再補給を任務とする沿岸防空大隊(Littoral Anti-Air Battalion)及び兵站大隊(Combat Logistics Battalion)から編成される。
のだそうです。
これまで海兵隊は、敵地への殴り込み部隊として、実際はイラクやアフガニスタンにおいて地上戦を行う時に投入されています。(そのための訓練を沖縄でやっていたわけです)しかしそのような部隊では、中国の海空軍を「封じ込める」ことはできません。敵に奪われた島を”奪還”する戦力や装備は持っているのですが、それを行うためには制海権・制空権がなければならず、海兵隊単独でそれを確保することは出来ません。
海兵隊を、琉球弧の島々を「第一列島線」として中国封じ込めに使うにはどうしたらよいか?そこで考えられているのが「遠征前進基地作戦(EABO)」です。資料によれば、在沖海兵隊ⅢMEF(第三海兵遠征軍)は
III MEFは唯一これに特化して前方に配備されるスタンド・イン・フォース、すなわち、敵の軍事的影響力を受ける地域、例えばミサイルなどの長距離火力の射程内にあって、敢えて立ち向かい続ける部隊である。
とのことで、具体的には相手にミサイルを撃ち込む部隊として、あらかじめ島々に展開しておくというものです。
皆さまお気づきかと思いますが、これは宮古島を始め、石垣島や与那国島にミサイル部隊を配備している自衛隊と同じことをやろうとしているのです。ただ自衛隊の場合、島々に恒久的な基地(駐屯地や弾薬庫)を整備していますが、MLRでは自衛隊も米軍も普段は駐屯していない島に赴き、ミサイルを発射してはそこから離脱するというようなことを考えているようです。いわばミサイルの「撃ち逃げ」戦術ですね。
米海兵隊の「EABO」戦略に合わせて、自衛隊もまた共同訓練・共同演習をしているようにも見えます。もちろん防衛戦略として、日米共同で動くことが求められるでしょう。しかし、EABOが日本の戦略…自衛隊ミサイル部隊を島々に置く…を規定しているのではなく、むしろ自衛隊の島々への展開に”刺激されて”米海兵隊が戦略を新たにしたのではないか?と考えるのが正しいのかも知れません。
参考資料:米海兵隊の作戦構想転換と日本の南西地域防衛 | 記事一覧 | 国際情報ネットワークIINA 笹川平和財団
今、沖縄では日米合同統合演習「キーン・ソード23」が行われています。米軍が訓練区域外で訓練を行うとか、与那国島に米軍が上陸するなど、米軍の動きも激しいですが、自衛隊も中城湾港に民間チャーター船を使って「本土」から70台以上の自衛隊車両と200名以上の自衛官を上陸させる、与那国島に16式機動戦闘車を運んで訓練を行うなど、島々が戦場になることを想定した展開訓練が行われているのです。「台湾有事」をあおり、住民を犠牲にする戦争準備の訓練そのものも許せませんが、民間の港湾や空港を軍隊が我が物顔で使用することも問題です。
国はこういったことを推し進めようとしています。Yahoo!ニュースの琉球新報(11月12日)より
【東京】南西諸島の民間空港や港湾を自衛隊が利用できるようにするとした政府の考え方について、浜田靖一防衛相は11日、「あくまでも地域の理解を求める。理解してもらえるよう積極的に説明を重ねることが重要だ」と語り、自治体の同意を得る環境づくりに取り組む考えを示した。
一方、沖縄県内では日米共同統合演習への抗議集会が開かれるなど、自衛隊の民間施設利用に反発が強まっている。県も宮古島市の下地島空港について民間機以外の使用を認めないとする「屋良覚書」の確認事項は今後も尊重されるべきだという立場をとっている。これに対し浜田氏は「防衛上、多様な空港・港湾からの運用が重要で、日頃から訓練を重ねる必要がある。先島諸島には国民保護も含め、部隊運用上の有用性の高い空港・港湾がある」と使用の必要性を強調した。(明真南斗)
「屋良覚書」は、3000m級の滑走路を持つ下地島空港を軍事利用させないためのものです。しかし、米軍や自衛隊は宮古島の隣にある下地島空港の使用を狙っています。
ここに今年12月11日(日)宮古島の航空自衛隊基地(レーダー基地)開設50年を記念して、ブルーインパルスの展示飛行が計画されています。そして「観光振興」をも口実にして、下地島空港を軍事使用することが目論まれています。少し前ですが、琉球新報10月25日記事です。
空自ブルーインパルスの下地島空港利用「検討を」 宮古島市が沖縄県に要望 「屋良覚書」抵触の恐れ
航空自衛隊が12月11日に宮古島市で予定する曲芸飛行隊「ブルーインパルス」の展示飛行を巡り、同市は20日、宮古空港や下地島空港の利用検討を県に要望した。座喜味一幸市長は24日、取材に「多数の来島者が見込まれ、コロナ禍で落ち込んだ市内経済活性策の一つとして検討してほしいと申し入れた」とした。市などによると、飛行計画詳細は未定だが発着は那覇空港とされている。市内空港を利用するとアクロバット飛行が可能という。市内両空港はいずれも県管理で利用可否は県の判断となる。下地島空港については1971年に日本政府と琉球政府の間に民間機以外の使用を認めないとする「屋良覚書」が交わされている。 同計画を巡り、これまでに宮古青年会議所と宮古島商工会議所、宮古島観光協会、伊良部商工会青年部からなる宮古青年4団体連絡協議会が市や県などに「経済と観光振興につながる」として空港利用を要請している。(以下略)
そのことについて、市民団体は市に抗議声明を発しました。琉球新報11月14日の記事です。
ブルーインパルス飛行は「民間空港の軍事利用に先べん」市民団体が宮古島市長へ抗議声明 沖縄
【宮古島】航空自衛隊ブルーインパルス飛行で宮古島市が市内民間空港利用検討を沖縄県に要請した件を巡り、飛行や空港利用に反対する複数の市民グループは10月28日、座喜味一幸市長への抗議声明を発表した。「空港の軍事利用に先べんをつけるような行為は行うべきでない」と批判した。
ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会と宮古島平和ネットワークは同日、市内で会見し抗議文を読み上げた。要請文では空港使用について「市民の中で反対・賛成がある中、利用を求める要請を行うのは公平性に欠け、強く抗議する」とした。
会見で平和ネットワークの下地朝夫さん(平和運動センター宮古島共同代表)は座喜味市長が「自衛隊を『容認』していることは承知している」とした上で、「今回の飛行がきっかけとなって自衛隊や米軍の空港使用が拡大するのは目に見えている。戦争につながるようなことはやってはならない」と訴えた。
(佐野真慈)
下地島の軍事利用を許してはなりません!
この度2022年10月12日付けで「宮古島の要塞化に反対する会」を結成しました。全国のたたかう皆様の参加及び協力を呼びかけます。
ウクライナでの戦争が続く中、中国の”脅威”が叫ばれ、東アジアでは台湾危機が煽られています。8月にアメリカのペロシ下院議長が訪台して中国を刺激し、対抗して中国は台湾近海で大規模な軍事演習を行いました。戦争が煽られる中、日本政府はあからさまに米国側に加担し「台湾有事は日本有事」と叫びながら軍備増強、戦時体制づくりに邁進しています。日本政府の「台湾危機」に対する対応は突出していますが、これは2012年の魚釣台(尖閣諸島)国有化や、安倍政権が進めてきたQUADをはじめとする対中国包囲・敵視政策の一環だからです。
こうした中、日米の対中国戦略で「第一列島線」に位置付けられる琉球弧の島々は、「辺野古新基地」をはじめとする米軍基地の再編や、陸上自衛隊ミサイル部隊の配備などの軍事要塞化が、そこに住む人びとの意向を無視し、生活を踏みにじりながら進められています。駐屯地や弾薬庫を建設することで、山が削られ田畑はつぶれ、地下水まで汚染される。平時でも日米の軍隊が共同訓練、演習を行い、我が物顔で迷彩の車両や軍人が街や集落を通行する。そして戦争となれば島々は戦場となり、ミサイル、爆弾が雨あられのように降ってくる。住民は狭い島の中で、逃げることもできません。「日本を守る」ため、再び「沖縄戦」が繰り返されるのです。このような状況が「本土」に住む私たちの無関心の下に、進められ、押し付けられているのです。
琉球弧を要塞化して中国を封じ込めるにあたり、260㎞もある宮古海峡はチョークポイント(戦略的に重要な海上水路)であり、そこを押さえる宮古島は重要な戦略拠点として位置付けられます。宮古島には早くから航空自衛隊のレーダー基地が置かれていますが、2019年に陸上自衛隊の宮古島駐屯地が開設して宮古警備隊が編成され、翌20年には第7高射特科群(地対空ミサイル部隊)、第302地対艦ミサイル中隊が移駐・新編されるなど、現在約700名の自衛隊員が配備されています。島の南東、保良(ぼら)には集落から200mしか離れていない所に弾薬庫が建設され、2021年11月にミサイルなど弾薬の搬入が強行されました。保良には他に、海上保安庁の射撃訓練場があります。宮古島と伊良部大橋で繋がる伊良部島には、海上保安庁の大型巡視艇が何隻も停泊できる長山港があり、米海兵隊と陸上自衛隊・水陸機動団が共同上陸演習を行うことも可能な渡口(とぐち)の浜があります。隣接する下地島には3000m級の滑走路をもち、一体の航空管制業務を担う下地島空港があります。宮古島とその周辺の島々は、まだ軍事要塞化のために狙われているのです。
宮古島での軍事要塞化攻撃に対し、島の住民はたたかいを続けています。毎週水曜日のスーパー前でのスタンディング、木曜日の駐屯地前でのスタンディングが行われています。住民を敵視する自衛隊は、小銃を手に持ちながら警備を行い、軽装甲機動車を使って基地周辺を走り回っていますが、そうした自衛隊にも抗議の申し入れが行われています。昨年11月の弾薬搬入に対しても、大きな抗議行動が行われました。しかし全国からこれを支え、共にたたかう力が足りません。
私たちは6月に、わずか3日間ではありますが宮古島に赴き「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子さんの案内でフィールドワークを行い、改めて宮古島で軍事要塞化が進行していることを認識しました。そしてこれに抵抗し、軍事要塞化を止めるたたかいを、自らの手で行わなければならないと確認しました。
そのために今、私たちは声を上げ、多くの人に呼びかけます。
私たちとともに、宮古島のひとたちとともに、宮古島の軍事要塞化を止めましょう!そのためのたたかいに決起しましょう!