拙著「有暮れのアリア〜歴史を受け止め、今奏でる〜」(たる出版)京都JEUGIA三条本店2階 再入荷されました(ありがたいです。)
こちらサイン本です。
レビューが掲載された
アルソ出版「THE FLUTE」179号と連動してご紹介くださっています。
併せて是非。
なお、アヴァンティブックセンター京都店にも入荷されました。
また、読者さまより素敵な感想をいただきました。
【「有暮れのアリア」 山村有佳里著
昨夜、標掲本を漸く読了した。この本を購入したのが11月の初めであるから、ひと月以上かかった計算になる。他の本と併読し、かつ「有暮れのアリア」に登場する演奏者やヨーロッパの様々な場所をネット検索し、Youtubeで演奏作品を聴いたりして読む方法だから時間がかかった。
昨日も、有佳里さんが欧州滞在の最後に習われたSir James Galwayという凄いフルーティストの演奏をたっぷり聴いていて、時間を取られた。僕はフルートならランパルという古い人間で、初めて聴くゴールウェイの演奏は驚きであった。 アイルランド出身の人だが、Sirの称号をお持ちの演奏家。 そして、「スイスの僕のマスタークラスにいらっしゃい」と言われ、ゴールウェイに請われてスイスに夏を過ごされたのが有佳里さんというから驚いてしまった。イタリアで国際コンクールでの二度優勝されたことは驚いたが、ゴールウェイ先生に請われてレッスンを受けられたことは更なる驚きであった。
この本は有佳里さんの半生自伝のようだが、僕には若い人が読んで大いに啓発される本でもあると思った。有佳里さんの先生たちの様々な珠玉の言葉、そして有佳里さん自身の長年の留学の経験から得た知恵が言葉になっており、自伝以上の内容になっている。Roger Armstrongというピッコロの先生は「・・だから、絶対に目に見える結果だけに惑わされず、かならず毎日君のやっていることは進んでいるんだ、と信じることだよ」と彼女に諭したこと、英語の先生が試験に向かう有佳里さんに対して「あなたらしく自然に話して。なぜなら、あなたの着眼点はとてもおもしろくてインテリジェントだから。そのほうがきっと試験官は興味を持ってくれるはずだから」と激励されたり、また有佳里さんの自身の「人は人を変えられない」、「自分の出した音は自分の責任だ」など当地で得た簡潔な哲学が山盛りであった。
長い留学生活で日本にいるご家族と離れるということはお互いつらいことだと思う。この本でもその部分を読む時は正直つらいものを感じた。ご母堂もご父君も素晴らしい理解者であると思う。今日はそのご母堂のお誕生日だとか、この日に読後感を書けるのは誇らしいことである。因みに、ご父君の誕生日(2月27日)は僕の母の誕生日と同じであり驚いた。
有佳里さんの演奏はこれまで毎年2,3回は拝聴させてもらっている。ただ、今年は一度もないと思う。このコロナの年、本を上梓されたことは演奏会にも匹敵し、しかも何度かの演奏会合計と同じ気持ちにさせるものであった。この本を読むと、演奏会での選曲が有佳里さんの留学経験が大いに影響していると過去の演奏会の曲目を見て思う。これまで何度か拝聴したのは:
ピアソラの「タンゴ・エチュード4番」
The dark Woman of the glen
芝祐靖 「一行の賦」
ダニーボーイ
僕はドイツや英国、スイスの銀行に勤め、欧州に留学こそしなかったが、現地でドイツ人、英国人、フランス人、イタリア人、オランダ人などいろんな国籍の人と交流したから、有佳里さんの記述はなんとなく懐かしく読ませてもらった。
「初夏のヨーロッパの薄暮から夕暮れに変わる時間の空の色合いは、まるで架空のアリアの旋律が夕暮れの空気の中に微かに溶けていくような、なんとなく表現しがたい気持ちになった」
この文章をどういうお気持ちで書かれたか不明だが、僕には何か近い気持ちを生じさせ、昔を思い起こさせるものであった。
よい本を読ませてもらった。】
ご高覧ありがとうございます。
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