昨日の夜。
一つの劇場が9月末に閉まる事を知りました。
そこは小さな劇場ですが、私にとって大切な場所でした。
殺陣集団『和太刀』は1998年より活動を開始。
『侍本来の動きや日本古来の伝統文化に込められた失われた動きの復活』を目指し、2010年までは日々の通常稽古や山中合宿等で稽古を重ね、2011年より舞台公演の活動をスタート。
2014年5回目の公演で一旦公演に区切りをつける形となりました。
そこから丸2年、稽古継続のかたわら、個々では外部の舞台での振付や出演等活躍の場を広げていきました。
が、『和太刀』としての活動でやるべき事を考える日々でもありました。
そんな時出会ったのがその劇場、『Prime theater』でした。
物を作るという原点に立ち返り、あえてスタッフワークも出演者でこなしていくという形にたどり付き、『和太刀ミニLive』として公演を再スタートさせたのが2016年4月。
何かのご縁だったのか『Prime theater』初の公演でもあったそうです。
客席数30〜40。普通に考えれば、殺陣の公演では選ばないであろう空間で刀をふる事そのものが修行になったような気もします。(劇場の方も殺陣の公演は絶対に無いと思っていた(笑)とおっしゃっていました。)
袖中にはけて、そのままブースに駆け上がり、音響・照明をやり、また出番になれば演者として舞台に戻る。
その間衣装の早替えもして…まさにフル可動でしたが、表現者として体験しておくべき事だとやってみて改めて確信しております。
当日の受付や衣装等、助けて頂ける皆様にも恵まれ、舞台と客席が近いせいか、観に来て頂いたお客様との交流もたくさん出来ました。
2020年、今年の1月末の公演後、予想もしなかったコロナ禍の状況となり、本来ならそろそろ次の公演の企画を動かしている時期なのにな…と思っていた矢先
『Prime theater』を閉めるとの知らせが届きました。
コロナ禍でたくさんの劇場、ライヴハウス等が打撃を受けています。
少し前に、どこかの国ではこのコロナ禍を『これは戦争だ』という表現をしていたそうですが、文化・芸術がやり玉にあげられ、置いてけぼりにされる状況はまさに戦時中のようだと思います。
でも…本当にそれでいいんでしょうか………
人間ってそんなに脆いものなのでしょうか……
文化・芸術は人間が長い歴史の中で、試行錯誤を繰り返し、積み重ねられて、今に至るものです。途中何度もの危機をくぐり抜けて、今尚続いているものです。
それが、対人ではない、対ウイルスで簡単に衰退してしまうものなのでしょうか。
様々なことが便利になり、配信という形も確かにあります。この状況下、当面はその手段を我々も考えなければとは思って模索してはいます。
ただ、生で見ること、聞くこと、感じることはその場でなければ得られないものだと思うのです。
そういう意味では、ある意味戦いなのかもしれません。
現に様々な文化・芸術に携わっている方々はあらゆる知恵を絞り戦っています。
戦わなければならないのなら、せめて正しい知恵と武器を持って戦いたいと願う
ばかりです。
そんな事を小さな稽古場の片隅で思っている今日この頃です。
そして改めて、約4年間。
7回もの公演をうたせて頂き、たくさんの作品が生まれる場をくれた『Prime theater』に感謝あるのみです。
ありがとうございました。