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読了しました。
剣と魔法の世界で数奇な運命に弄ばれた兄妹の物語。
今回は「#RTした人の小説を読みに行く」企画による読書です。
剣と魔法の世界。
両親を殺され、たった2人きりで生きることになった幼い兄妹。
8歳の妹、チェント・クローティスは、4歳年上の兄、ヴィレント・クローティスの稼ぎに頼って生きることになった。
そんなある日、疲れきって戻った兄に、空腹のあまりパンをねだったチェント。
突然、チェントは兄に殴りつけられる。
訳も分からずに泣くチェント。
兄はさらにチェントを殴る。
その日以来、兄の稼ぎに頼りながらも、事あるごとに殴られ、それに怯えるチェントの生活が始まる。
そんな生活は5年も続いた。
その後の流転の日々。
離れ離れになる兄妹。
チェントは祖父の国に拾われ、愛しい人と巡り会う。
その愛しい人のおかげで、チェントは、絶大な力を持つ剣士である兄にも匹敵する強さを身につける。
そして兄妹は戦場で巡り会う。
敵同士として……
重厚な物語でした。
文字数は9万字と少し。
それ以上の読みごたえがありました。
物語りのほとんどはチェントの一人語りでつづられます。
ともすれば文字がぎっしり詰まって読みづらくなるところを、改行を多用することで読みやすく構成されています。
そのおかげで、一気に読み進めることができました。
主人公、チェントの心の動きが丁寧に描写されていました。
主人公の一人称で語られる物語は、主人公に感情移入できるかどうかで好き嫌いが明確に分かれます。
チェントの思考になじめるか、それとも拒絶反応を示すかで、この物語に対する評価が分かれそうです。
あえて感じた違和感を言えば、チェントの最初に魔法を使う場面が少し唐突に感じました。
それまでの物語世界の中で、魔法の使われる描写がほぼ無かったので。
チェントが魔法を使う設定は、絶大な力を持つ剣士の兄との力の差を埋めるためと、愛しい人と力を合わせて戦う描写のためでしょうか。
もし、魔法を登場させずに、剣と剣とで雌雄を決する世界の物語として、このお話しを書くことができたとしたら、もっと重厚な物語になったかもと思いました。
とても面白かったです。
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