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夜明けの蝶は街を見下ろす

「夜明けの蝶は街を見下ろす」(天野行隆, 2021/05, pixiv)
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15292934

読了しました。
朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであと七日になりました」と言う。
そこから語られる複雑怪奇な物語。
今回は「#RTした人の小説を読みに行く」企画による読書です。

この物語は「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」応募作品のようです。
そのため、応募作に共通した書き出しが用いられています。

朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであと七日になりました」と言う。
世界は終わると言われながら、人々は平穏な暮らしを続けていた。
ラジオスター2人の会話。
それを見ている「私」
「私」は世界の構築にいそしんでいる。
ラジオスターの2人は映画を見に行く。
見慣れた映画だ。
しかし、ラジオスターの1人が映画の結末に違和感を抱く。
その結末を巡って物語はやがて……

この物語はわざと粗削りなのか、それとも意図せずにそうなっているのでしょうか。

まず物語の視点がよくわかりません。
「私」あるいは私(「」無し)かと思っていたのですが物語の結末近くには僕になり、そして私(「」無し)になります。
最初の「私」あるいは私(「」無し)は神のごとき視点でラジオスターらの行動を見下ろしているかのように感じられます。
「私」あるいは私(「」無し)は世界の構築にいそしんでいます。
それが結末近くには普通の一人称である僕になります。
そして最後に私(「」無し)になり、再び世界の構築に話しが及びます。

次に文章の作りが所々雑に見えます。
主語が誰で、誰が誰にたいして、何をするのか、よくわからない箇所が見受けられます。

結果として、物語を読んだ後には不条理感が残りました。
それが著者の狙いであるなら、ある程度は成功を収めているのかも知れません。

少し読みづらい物語でした。
でも不条理感が好きな人には受けるかも。
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