【羽生結弦、語る SP編(1)】「全部、見ていただけるようなプログラムにしていきたい」
【フィギュアスケート全日本選手権第2日 ( 2021年12月24日 さいたまスーパーアリーナ )】 男子で14年ソチ、18年平昌と五輪連覇の羽生結弦(ANA)が、男子ショートプログラム(SP)で111・31点をマークして首位発進した。新SP「序奏とロンド・カプリチオーソ」を演じ、オンライン取材に応じた。
【羽生結弦、語る(1)】
――演技を振り返って
「いや~、耐えたジャンプも、あの、1個非常に大きく耐えてしまったジャンプもあったんですけど。まあ、あの4Aやってきたこともあったり、まあ他のジャンプも、あの、世界選手権、去年、去年?先シーズン?先シーズンの世界選手権と違って、かなり他のジャンプもしっかり練習してこられたので、まあ、そういう点があそこの土壇場で生きてくれたのかなと思ってます。ただ、え、サルコージャンプ、アクセルジャンプに関しては、あの非常にコントロールされたジャンプだったと思います」
――今季初戦でショートも初披露、演技前の心境は
「正直、公式練習はあの、なんかエッジが引っかかっちゃたりとか、いろいろあって、空回ってしまってたので、ちょっと心配だったのと。あとは、あの、この会場でショートの、えー、ど頭のサルコージャンプを失敗してしまったっていう記憶もあったので、完全に同じ場所だったので緊張はしていました。ただ、最初のえー、4回転サルコーが決まった段階で少し落ち着いて演技できたんじゃないかなとは思っています」
――フリーに向けて
「もちろん、4回転半のジャンプを挑戦するつもりではいるので、まずは、えー、公式練習、最後の最後までケガしないようにっていうことを気をつけながら、えー普段通りいけるように、体の回復と、集中力を高めながらフリーに向けて頑張りたいと思います」
―プログラムを演じた手応えは。五輪で勝つためのプログラムか
「最初、ジェフさんにプログラムの振り付けをお願いしていたんですけども。自分の中でもっとやりたいな、これもつくりたいな、こうやりたいなとかいろんな背景があって、ジェフと、ブライアンだったりトレーシーだったり、いろいろ相談していただきながら、シェイにも加わっていただいてコラボレーションという感じで作っていただきました」
「もちろん、ジャンプは自分ができる最大の難易度ではないと思うんですけど、プログラムの構成に関しては、ジャンプ前に入っているクロスが1個ぐらいしかなかったりとか、ほとんどクロスを入れていない。そういうところもぜひ見ていただきたいなと思いますし、表現のほうも『バラード第一番』だったり、『SEIMEI』だったり、自分の代表のプログラムとなるようなプログラムの価値以上に、まだ洗練はされていないかもしれないんですけど、具体的な物語が、何か曲に乗せる気持ちが強くあるプログラムになっているので、ジャンプだけじゃなくて、全部見ていただけるようなプログラムにしたいなと、これからもしていきたいなと思っています」
――プログラムにのせる強い気持ちは。どういう風にプログラムを描いているのか
「正直、最初はなかったです。ピアノ曲になって、清塚さんにピアノをアレンジしてもらう時に電話で打ち合わせをしたんですけど、そのときに何か具体的な物語がなくて、すごくパッションにあふれる、だけど、そこに切なさだったり、繊細さだったりというものがあふれるものにしていただきたいですということをお伝えして作っていただきました」
「最終的にシェイとかにも加わっていただいて、その中で思い描けたのが、あの、自分自身アクセルが全然進捗がなくて苦しかった時期でもあったので、なんか、暗闇から最初は何か思い出が色々ちらついてきて、みなさんの記憶だったりとか、自分が歩んできた道のりみたいなものが、なんか思い出すんじゃなくて、蛍の光のようにパって広がってきて、最初のスピンが終わった後からは、もうなんか、そういうのを全部エネルギーにして、何かに向かってがむしゃらに突き進んで、最後は何か分からないんですけど、なんか自分でもよく分からない、何か意識が飛んでいるような感覚の中で何かをつかみ取るみたいな物語なんで。ジェフがこのプログラムの基盤を作ってくださって、シェイがそこに物語を、すごく情緒あふれる物語を付けてくれたので。本当に新しいプログラムとして、自分自身もエキシビのように感情を込めて滑ることができた」
【羽生結弦、語る SP編(2)】26日フリー「4Aをちゃんと決めきれるように」
【羽生結弦、語る(2)】
――4Aを習得していく中で生かされていることは
「やっぱり、えー、昨日の会見、会見というか、会見でいいのかな、囲みですかね、の時にお話させていただいたんですけど。やっぱり、その軸の取り方って非常に、やっぱり4回転半は難しくて。特にアクセルジャンプって回転をかけるっていう動作だったりとか、軸をつくるっていう動作が、あの他のジャンプとまったく違った軌道で跳ぶので、難しいんんですよね。その点、あの、アクセルでこのように跳びたいっていうのが定まってきたからこそ、まあ、他のジャンプも、ここに入れることが正解なんだなとか。逆に他のジャンプできれいに跳べた時は、ここに乗っているから、じゃあ、アクセルもここに入れるんだなっていう意識がだんだん、そう、えー、なんて言うんですかねえ、なんか重なり合って、だんだんうまくなってこれたなっていうふうには思っています」
――試合へ向ける心、体はどのような領域に達しているのか
「まあ、でも、ここに来るまでに、あの、ショートに関しては、まあシュミレーションって言って、あの、試合と同様にやっている練習があるんですけど。ショートに関しては1回もノーミスできてなかったので、凄く緊張してました。でも、なんか、ただ、まあ本番にとってあるのかなみたいな。まあでも、ミス、ミスをしてきたからこそ、ミスの原因が分かったりとか、練習の仕方が分かったりとかはしてました。まあ、ほんとに、あの、初戦とはいえど、なんか、もう試合同様の練習をしているので、まあ、できるかなって思ってやってました。ありがとうございます」
――北京については「積み重ねの延長線上」と話していた。SPが終わって近づいた実感は
「えっとー、そうですね、とにかくフリーやってみないと分からないです。あとは、まあ、明日の練習も含めて、あの、練習も含めて全部が試合なので。1つ1つ大切にしながら、うーん、まあ、まずはこの試合で、えー、4Aをちゃんと決めきれるように、また1つ1つ練習したいです。その先に北京オリンピックがあるんだったら、この試合でしっかり勝ち取れるように、ふさわしい演技ができるように頑張りたいなと思います。すいません。ありがとうございました。フリーもよろしくお願いします。頑張ります。ありがとうございます」
もの凄く惹き込まれました。
結弦くんのスケートに。
まるで花びらがふわっと
舞い降りるかのような柔らかなジャンプ。
たおやかで、上品で。
その柔らかさは結弦くんの
内面が表れているように思います。
インタビューの節々からも
応援してくれる人のことを
思いやる姿勢が見受けられます。
相手を優しく包み込むような柔らかさ、
思いやりを感じる所作。
これは天性のものなのかもしれません。
こんなにもエレガントで美しい
結弦くんの素晴らしいスケートを見ることが出来て、うれしくて、楽しくて、幸せでたまりません。
さいたまスーパーアリーナは
まるで結弦くんの衣裳とコラボしているようでした。
明日のフリーも
結弦くんが思うような演技が出来ますように。
読んでいただいてありがとうございました。
*画像は感謝してお借りしました。