
心よりご冥福をお祈りします。

俳優大滝秀治さんがお亡くなりになりました。
不世出の名優が、また一人、鬼籍の人となられました。
大滝さんの味のある声とお芝居に、もう会えないのかと思うと、とても寂しい…

先日NHKの『プロフェッショナル』で、健さんの総力特集やってまして、
独占インタビュー + 密着取材 されてました。
健さんが、これほどカメラの前で話したことはないだろう、ってくらいにお話してたんですが、
健さんって、三船敏郎さんじゃないけど、「男は黙って…○○○○○○○

(ある年齢以上の人は、○○○○○○○のところに何が入るかわかるよね

という印象をもっていたのですが、
素顔はイタズラ好きで、お茶目

おしゃべりも大好きなんだとか。
共演者への気配りもすごいし、何より映画が好きで、自分の出番がないときでも、ずっと現場にいる。
しかも、座らない。
81歳になられたんだって?!


さすがに東映やくざ映画で活躍してた頃に比べると年をとられたけど、
健さん、やっぱりカッコイイ

なんだろうね、このたたずまいの美しさ。
共演のタケちゃんは、このたたずまいを「寂しさ」「孤独」と表現していました。
あのレベルの俳優になると、誰も反論するものがいない…
皆、「はい、はい」と言うばかり…
「孤独にならざるを得ないよね」。
タケちゃんの健さん評は鋭い

そんな健さんが尊敬し、共演を心から楽しんだのが、大滝秀治さん。
あるちょっとした場面、ちょっとしたセリフに、健さんは涙しました。
ちょうど、密着のカメラはその様子をとらえていたのだけど、
本当に短いセリフ…「久しぶりに、美しい海を見た」
大滝さんは、そう言って、すっと去るのだけど、
カットが掛かった瞬間、健さんは涙をぬぐいました。
大滝さんの想いが「グッと胸に刺さったんだよね」と、言って、
感動の涙を流す81歳!!
そして、その感動を呼び起こす87歳。
名優同士の遭遇は、どれほどの相乗効果を生むものか…
健さんは、役を作って表現する方法をとらない、と言っていました。
その役の「想い」を受け留めて、ただそれを大事にするだけだと…
その「想い」は、必ずフィルムに写るはずだと信じていると…
ものすごく感受性の強い人なんだよね。
自分の「想い」を人に感化することもできるし、人の「想い」もストレートに受け留める。
大滝秀治さんの表現も、作られたものではなく、人柄そのもの、人生すべてから、にじみ出るものでした。
今朝の「朝日新聞」〔天声人語〕に、6年前の大滝さんの言葉が載っていました。
「テクニックというものには『たくらみ』が入っているんです」
これを書いた方は、「にじみ出る味わい」と、テクニックによって仕組まれたものとは違う、と、
テクニックとたくらみを否定的にとらえています。
確かに、にじみ出るものが人の共感を呼ぶのでしょうが、
ちょっと演劇をかじったことのある英陸が思うに(高校時代、演劇部でした~~

大滝さんぐらいになれば、テクニックも「にじみ出る」もので、
「たくらみ」さえも楽しんでいたのではないのかな~~~

飄々としたユーモアと、温かさに溢れた味わい…
皆に愛されて、きっと笑顔で、天国に召されたんだろうな

大滝秀治さん、今まで私たちを楽しませてくださって、本当にありがとうございました。
ゆっくり、おやすみください…
再び、合掌…
あ、健さんのその言葉も、『プロフェッショナル』で言ってたと思う。
実際、ホントにダサいセリフだよね。
全体の位置づけがわからない、メイキングで、そのセリフ聞いたら、
何で健さんが泣いてるか、わからないのよね。
大滝さんが言ってても、ちっともいいセリフじゃないの。
やっぱり、映画全体からにじみ出る言葉なのかもね。
どうぞ、映画館に行って確かめてきてください
(と、そそのかす…