小説「上杉鷹山」の原作者であり、NHK「そのとき歴史は動いた」への出演(俺が見た時は毎回出てるけどレギュラー?)でも有名な童門冬二が歴史上の武将や指導者からその指導法について折々に書いてきたものをまとめた物。
有名な織田信長や豊臣秀吉、徳川家康、坂本竜馬が中心だが、黒田如水や松平定信などちょっとすぐには名前が出てこない人も出てくる。
考えることの重要さを説き、その考えた結果として部下への行ないが部下を感動させ、ここまでそいつのことを考えたからこそ「この人のためなら死ねる」と思わせていくことを色々紹介していた。この「なら」って言葉、他の人に対してはできないことをその人のためだけに可能にさせる魅力というようなものが、今は求められているらしい。
相手を思うことも大事だが相手を思っていることを上手に伝えることが、相手にとっても大事だと思わせてくれる。でもそう書くといやらしさが感じられるな。要するに本当に相手を真剣に考えたなら、必ず相手に響くことができるはずって感じのこと。
豊臣秀吉の
「相手が考えていることをこっちが感ずると、そのことが両者の間に成立してしまう」
「相手がどう思おうと、こっちはそんなことは一切感じていない振りをすることが大切だ」
というのがなかなか良かった。
相手が自分を嫌っていたとして、こっちが気づけば空気が気まずくなり、周囲にも仲が悪い事が伝わる。こっちが一切気付かなければ(気付かないでいてあげれば)空気が気まずくせずに交渉を自分に有利な方へ持っていき、結果的に相手を悪人にすることもなくなる。こういうのが図太さの上手な使い方だ。
それから、
「自分がどんなに正しいと思っていても、それが通用しないことが世の中にはある」そんなときどうするか。
むかつきをばねにし、「今に見ていろ」と頑張るのもいいが、それは若干ネガティブがある。むしろ不条理は忘れて明るく生き、自分がつらい思いをしたからこそ他人にはつらい思いをさせない、そういう生き方を推奨し、実際に武将の生き方を通して、読む人にも世間を怨まないように自然に促してくれている所が、自分の中にも長く残っていくと思う。
人との付き合いは自分の長所短所に気付かせてもらえる。学校に行かなくても自分で勉強はできるが、学校に行けば学校での友達に自分を磨いてもらえる。そういう話もあって、この本をせめて高校時代にでも読んでいれば学生時代は違うように送れたろうし、社会に入ってすぐ読んでいればまだ学生時代の友達と付き合う努力もできていたかな。といって、今の生活に不満や後悔はそんなにないけど。今の自分を形成するに当たって、じつは名前も思い出せない友達との関わりもいい影響を与えてくれているのかなあ、とか思わせてもらえるのは嬉しかった。
ところで唐突ですが、ここでこの本からクイズを出します。答えはそのうちコメントに書くので見てくださいな。
黒田如水のエピソードより
冬のある日、黒田如水は2人の息子と散歩。父の如水は籠の中火鉢で暖まりながら子供達が凍えるのを眺める。
散歩から帰った後、2人に感想を聞くと、
長男「寒かったですが、父上と一緒に散歩できるので嬉しかったです」
次男「父上と一緒とはいえ、寒い中で散歩するのはこりごりです」
で、如水はこの発言からどちらが政治家向きかを見抜くがどっちだったでしょうか?
この本で重視しているのは如水が見ぬいたことではなく、向いてない方の息子には自分で考えることで欠点に気付けるよう促していること。
具体的には、政治家向きでない方は武士としてはそうあるべき、とか言っていたような所がヒントになるかな。
織田信長のエピソードより
信長はある日、小姓を呼び、集まった所で「用は特にない」。
だが、小才がある小姓は帰りにゴミを拾っていく。このように、織田信長は人を試すのが好き。
そしてある日、風呂場にかみそりを忘れてきた信長は、小姓たちに取りに行かせる。
まず、手ぶらで行ったAは、
「風呂場が暗かったので見つけられませんでした」
次に、ろうそくを持って行ったB、
「ろうそくで風呂場を照らしても見つけられませんでした」
一計を案じ、手ぶらで行ったC、
「風呂場の板をポンと踏むと、コトリと音がしたので見つけることができました」
さて、信長は誰が一番優秀で、誰が一番ダメだと言ったでしょうか?
才能があった信長は人に対しては生まれ持った才能よりも努力や経験で身に付けた物を好むらしく、それを伺わせるエピソード、として紹介されている。
が、まあ小姓って言葉で妄想してる人は意外に正解に近く、家来ではなく恋人や愛人に対してならどう言いたいかを考えれば答えが浮かぶかもしれない。
黒田の方は…
次男が政治家向きかも。
現実的で率直な感想から。
長男の方は殿様に仕えるんなら、可愛がられそうだけども。
信長の方は…
一番優秀…明かりを持ってった奴。
一番ダメ…一計を案じた奴。
普通、一計を案じた奴は賢くていい気がするけど、それにしたって明かりを持っていけば確実じゃないのさ、ってことで。才に溺れるタイプかなと。
明かりを持ってく奴が一番マトモなんじゃないかなぁ…
そのままいった奴は…慌てん坊ってことで。
こんなんでどうよ!
どうも!
たまにはこういうのもいいでしょ?
直メで本読みたいって褒めてくれた人もいたし、またなんか書きますよ
で、
>miz
さすが!
テレビ番組だったら正解にしてたよ
黒田如水の方は、長男は上にへつらう傾向があり、正直に気持ちが言える次男のほうが弱いものの意見を代弁できるってことで政治家向き。
ただ、如水は長男を責めず、それとなく欠点を気づけるようにしたんだよ。
ちなみに、武士にとっては長男のように弱みを見せないのも大事だそうだ。
で、信長も、一計を案じた奴が一番だめで、明かりを持ってった奴が優秀
ただ、理由は、まあ確かに最初の奴は慌てん坊ってことだった。
一計を案じた奴は、最初に踏んだところに万が一かみそりがあったら怪我をするから、やはり明かりは持っていくべきって事。
小姓としては怪我をしないことを最優先するようにというのが信長の教えで、その考えの深さに小姓は感心するわけだが
要するに信長はこういう機会に愛人の体を気遣っていることをアピールしているわけさ。本にはそうは書いてないけど。
もう少しいろんな人の意見が聞けるかと思っていたが残念だ
またなんかクイズになるネタ探そう