本年度の奉灯句入選句が決まりましたので発表させていただきます
入選された方、おめでとうございます
また選に漏れた方にも感謝申し上げます
おかげさまでなんとか今年も奉灯句集を奉納できそうです
入選句は行灯に墨書して11月22日の宵宮から11月23日の本宮午後1時過ぎまで
朴野龍王神社境内にてご披露させていただきます
「今年の三傑」に選ばれた方にはささやかな賞品をお届けいたします
ご協力いただいた皆様に心からお礼を申し上げます
徳島県那賀郡那賀町朴野
「朴野龍王神社奉灯句保存会」
zounohitofumi@gmail.com
(入選は天・地・人各1句 佳作10句)
うっかり選
◆俳句 「夜長(長き夜)」
夜という名の猫と居る夜長かな うっかり
1 読書にはもってこい夜の長さかな 新田博堂
2
〇 病む身には又も難儀の夜長来る 新田博堂
3 星縫って長き夜翔ける航空機 谷崎アジヲ
4 長き夜は栗の実を煮て儲けとす 谷崎アジヲ
5 夫逝きて思い出つのる長き夜 にしのケイ(西納)
6
〇 ナンプレに頭悩ます長き夜 にしのケイ(西納)
7 ホウキ星今か今かと肩寄せて 藤本久吉
8 久し振り身内の帰郷長き夜 藤倉美代子(音谷)
9
〇 長き夜想い出ばなしにこにこと 藤倉美代子(音谷)
10
〇 長き夜にすべってころんでモラエス忌 亀島敬司(平野)
11
地 徳島に金長狸出る夜長 亀島敬司(平野)
12 提灯のローソク尽きる夜長かな 森岡和美(加茂谷)
13 今は亡き友思い出す夜長かな 稲澤弘一(辺川谷)
14 時流れ夜長を今は持て余す 稲澤弘一(辺川谷)
15 長き夜や隅に返信待つメール 岡崎圭祐
16 長き夜や外出さえもままならず 岡崎圭祐
17 晩酌の楽しみダラダラ長い夜 森井ユリ子(西納)
18 夜長でも習慣通り九時就寝 森井ユリ子(西納)
19
〇 広辞苑役に立ちたる夜長かな 山田比呂子(もじばな)
20 長き夜やビデオ二本が癖となり 山田比呂子(もじばな)
21 夜長の灯溜息ついてもう寝るか 亀島梨花女(平野)
22 夜長の灯弘法様も橋の下 亀島梨花女(平野)
23 長き夜に旅に出るのは本の森 伊藤悦子(大阪)
24
人 ゲルニカに願いを託す夜長かな 西岡和義(徳島)
25 邪馬台国へ思い走らす夜長かな 西岡和義(徳島)
26 睡魔まで覚悟を決めた夜長かな 吉野敬子(川越・すだち)
27 長き夜や締め切り間近奉灯句 やすなり(鹿児島)
28 長き夜や下から引き出す積みし本 やすなり(鹿児島)
29 葉の出荷手足もつれる夜長かな 西浦和代
30 長き夜やいにしえ人も彗星観 小太り一茶
31 ゆっくりと朝刊を読む夜長かな 小太り一茶
32 初産の娘を思う長き夜 川崎オスカー(神奈川)
33 長き夜や目を閉じながら走馬燈 川崎オスカー(神奈川)
34
天 息吸うて吐いてひとりの夜長かな 西田一象
35 はらはらとこぼす夜長の源氏パイ 西田一象
36 長き夜に作りおりけり鹿の声 谷崎和子
37 老いたればテレビが友の夜長かな 藤本正樹
38 善悪も話せば楽し夜長かな 藤本正樹
39
〇 ダヴィンチの本を繙く夜長かな 福島花野(川越)
40
〇 思慮浅き男も抱ふ夜長かな 増田幸彦(京都)
41 長き夜は歴史小説好みたり 新田津岐美(大久保)
42 部屋を出て友と電話の夜長かな 新田津岐美(大久保)
43 片仮名の祖母の文読む夜長かな ひょうひゃくの細君紀子(千葉)
44
〇 2Bの鉛筆尖る夜長かな LEEな犬(もじばな)
45 長き夜をラジオの声を引き寄せて LEEな犬(もじばな)
46
〇 長き夜や鉛筆削ってみたものの 水田友子(もじばな)
47 長き夜も明日のことは又明日 水田友子(もじばな)
48 ルーティンの三里に灸の夜長かな 大平純子(もじばな)
49 長き夜や独り問答しておりぬ 大平純子(もじばな)
50 長き夜をどう過ごすのかまずココア デフレおじさん(もじばな)
51 長き夜や得心いかぬミステリー 松本雅明(羽ノ浦)
52 名優のデビュー作見る夜長かな 松本雅明(羽ノ浦)
53 生きるとは長編小説夜長かな 新田将喜(大久保)
54
〇 猟師らの話し八分の夜は長き 新田将喜(大久保)
55 夢追いし競馬場あとに夜長かな にゃご(埼玉)
56 天皇賞上がり最速に酔う夜長 にゃご(埼玉)
57 長い夜のまだ終わらない部活動 西田乃彩
58 長い夜ピアノの練習も長い 西田郁斗
◆俳句 「芒(すすき)」
薄野の一本として立っており うっかり
1
人 すすき野に風車連なる大野原 藤本正樹
2 ご先祖の労苦の棚田すすき原 藤本正樹
3 空き家だと知ってかススキ入り込む 森井ユリ子(西納)
4 アワダチソウすすき張り合う秋の野辺 森井ユリ子(西納)
5
天 背なの子に芒一本持たせつつ 吉野敬子(川越・すだち)
6 芒の穂揺らりゆらゆら風知らせ 森岡和美(加茂谷)
7 芒路やエコストローの喫茶店 山田比呂子(もじばな)
8 すすき指しあの草何と女学生 山田比呂子(もじばな)
9 林道を抜けてひらけしすすき原 藤本久吉
10 すすき野にいにしへおもふ鳥居かな 藤本久吉
11 人が去り田んぼはいつか花芒 稲澤弘一(辺川谷)
12 風に揺れ芒が人に思えたり 稲澤弘一(辺川谷)
13 すすき野もインバウンドか外来種 小太り一茶
14 芒の穂愛でられ後も屋根を成す 小太り一茶
15 すすき揺る夕日の入りを早むごと やすなり(鹿児島)
16 単線の踏切触れる枯れすすき やすなり(鹿児島)
17
〇 夕暮れて兎跳び入る芒原 新田津岐美(大久保)
18 芒刈る綿毛は空に呑み込まれ 新田津岐美(大久保)
19 ツーリング揺れるすすきの心地よさ パーシモン・ヒデ(徳島)
20
〇 芒野に消えし小鳥の消えしまま 新田将喜(大久保)
21 人踏みし所が道の芒原 新田将喜(大久保)
22
〇 両袖を撫でる芒よ思ひ出よ 西田一象
23
〇 すすき野を漕ぐ少年のまっしぐら 西田一象
24 すすき野にブロンド娘かくれんぼ 川崎オスカー(神奈川)
25 草原のすすき舞台に月見酒 川崎オスカー(神奈川)
26 すすき原吹かれて行くや90年 新田博堂
27
〇 すすき原しみじみ歩く老いの坂 新田博堂
28 炭ダスを織る夢もある芒刈る 谷崎アジヲ
29
〇 年老いて思う芒野原風景 谷崎アジヲ
30 どこへ行くふわりふわりとススキの穂 藤倉美代子(音谷)
31 風強し団体飛行虫に似て 藤倉美代子(音谷)
32 口ずさむ芒の髪刺し旅の宿 亀島敬司(平野)
33 芒揺れ心も揺れる旅の宿 亀島敬司(平野)
34 ちょい欠けの名月愛でる芒越し にしのケイ(西納)
35 すすき原名月時を忘れたか にしのケイ(西納)
36
地 歌を詠む母に寄り添う花芒 ひょうひゃくの細君紀子(千葉)
37 道端に老女分け入り手にすすき にゃご(埼玉)
38 夕暮れのすすき仰ぎてほうき星 にゃご(埼玉)
39 芒穂も冬支度とて白髪染め 亀島梨花女(平野)
40 芒撫で秋は淋しいねと女房 亀島梨花女(平野)
41 しなやかに芒の舞の幕開けり 伊藤悦子(大阪)
42 芒野に鮮やか色の雉夫婦 西岡和義(徳島)
43 株分けの庭の二本や糸芒 福島花野(川越)
44 芒野を方方に流しバス行けり 福島花野(川越)
45 ここにあり凛と伸びたる芒かな 谷崎和子
46
〇 ゆるやかな風と引き合ふ青芒 LEEな犬(もじばな)
47
〇 ためらいのなくよく揺るる芒の穂 LEEな犬(もじばな)
48 遍路姿の外つ国の人花芒 水田友子(もじばな)
49
〇 人柱伝説の橋鬼芒 水田友子(もじばな)
50 すすき野にまぎれ行先見失い デフレおじさん(もじばな)
51 スキップを踏むたび揺るる花薄 松本雅明(羽ノ浦)
52 旅便り芒と並ぶ笑顔かな 松本雅明(羽ノ浦)
53
〇 竹垣に守られ立ちし芒かな 岡崎圭祐
54 陽を浴びて金粉空に舞う芒 岡崎圭祐
◆冠句 「ぐいぐいと」
ぐいぐいと水の如くに酒を飲む うっかり
1 ぐいぐいと地球クラスの大物か 藤本久吉
2 ぐいぐいとお腹空いたとタマが来る 藤本久吉
3
〇 ぐいぐいと祭りのただ酒流し込む 森岡和美(加茂谷)
4
〇 ぐいぐいと元気な妻に引っ張られ 稲澤弘一(辺川谷)
5 ぐいぐいと飲んでた頃がなつかしい 稲澤弘一(辺川谷)
6 ぐいぐいと押しの一手で嫁ゲット にしのケイ(西納)
7 ぐいぐいと手探り寄せば烏瓜 福島花野(川越)
8 ぐいぐいとチーム引っぱる大谷翔平 亀島敬司(平野)
9 ぐいぐいとやってほしいとも言えず 亀島敬司(平野)
10 ぐいぐいと紙に吸わせる書家の筆 谷崎アジヲ
11 ぐいぐいと鮎の背ごっと竿を引く 谷崎アジヲ
12 ぐいぐいと野菜つめ込み袋裂け 藤倉美代子(音谷)
13
〇 ぐいぐいとカラスが餌を引いている 藤倉美代子(音谷)
14 ぐいぐいと引っぱって行ってね女房殿 きょうこ(井の谷)
15 ぐいぐいと飲んでいるのは嫁ばかり きょうこ(井の谷)
16 ぐいぐいと飲んでみたいな大ジョッキ 藤本正樹
17 ぐいぐいと引いた大物釣り談義 藤本正樹
18 ぐいぐいとビールがすすむこの秋は パーシモン・ヒデ(徳島)
19 ぐいぐいと浮きが引き込み地球釣る 新田将喜(大久保)
20 ぐいぐいと竹島引かれよその国 新田将喜(大久保)
21 ぐいぐいと金権政治を凌駕せり 西岡和義(徳島)
22 ぐいぐいとロマンス詐欺の電話口 LEEな犬(もじばな)
23
天 ぐいぐいと箱根駅伝距離を詰め LEEな犬(もじばな)
24 ぐいぐいと大物らしいのが引くぞ 亀島梨花女(平野)
25
地 ぐいぐいと勢いの良い奴凧 亀島梨花女(平野)
26 ぐいぐいと呑めた体に戻りたい ひょうひゃく(千葉)
27 ぐいぐいと呑み干せ明日は休肝日 藤原正義(徳島)
28 ぐいぐいと盃かさねグチこぼし デフレおじさん(もじばな)
29 ぐいぐいと盃かさね歌うたう デフレおじさん(もじばな)
30
〇 ぐいぐいと喉にラムネの酷暑かな 太田マユミ
31 ぐいぐいと引き込むなかれ戦の火 太田マユミ
32 ぐいぐいと引っぱる綱に引っぱられ 谷崎和子
33 ぐいぐいと飲み干すミルク微笑まし 谷崎和子
34 ぐいぐいとしなる竿先釣れたゴミ やすなり(鹿児島)
35 ぐいぐいと我が家引っ張るうちの嫁 やすなり(鹿児島)
36 ぐいぐいと引くのは人か落ち鮎か 小太り一茶
37 ぐいぐいとあおった酒で肝硬変 小太り一茶
38 ぐいぐいと広がる葛の蒙古斑 吉野敬子(川越・すだち)
39 ぐいぐいと漕げた自転車荷車に 山田比呂子(もじばな)
40 ぐいぐいと口説かれ財布開けちゃった 山田比呂子(もじばな)
41 ぐいぐいと店に連れ込む縄のれん 長野洋(さいたま)
42 ぐいぐいと血圧上がる白衣見て 長野洋(さいたま)
43 ぐいぐいと強気でいかぬ若者や 新田津岐美(大久保)
44
人 ぐいぐいと押しの一手の若力士 新田津岐美(大久保)
45
〇 ぐいぐいと値引き交渉され負ける 西田昌玄(北島)
46 ぐいぐいと来るよで蜻蛉さがれません 水田友子(もじばな)
47 ぐいぐいと飲む言い訳は長き夏 水田友子(もじばな)
48 ぐいぐいと距離縮め来る後続車 大平純子(もじばな)
49 ぐいぐいと引き寄せらるる渋沢さん 大平純子(もじばな)
50
〇 ぐいぐいと抜いて見事や一等賞 新田博堂
51 ぐいぐいと横綱角力寄り切った 新田博堂
52 ぐいぐいと列を乱して転売ヤー 川崎オスカー(神奈川)
53 ぐいぐいと迫る玉木の晴れ姿 川崎オスカー(神奈川)
54
〇 ぐいぐいとグズる吾が子を保育所へ 松本雅明(羽ノ浦)
55 ぐいぐいとノンアル飲んで酔ったふり 松本雅明(羽ノ浦)
56 ぐいぐいと割り込んでくるデカい尻 西田一象
57
〇 ぐいぐいと空よじ登るロープウェイ 西田一象
58 ぐいぐいと押されるばかりが能でない 森井ユリ子(西納)
59 ぐいぐいと飲んでメシ食い高いびき 森井ユリ子(西納)
60 ぐいぐいとやってくるぞとトランプ氏 岡崎圭祐
61 ぐいぐいと愛さえあればOKよ 岡崎圭祐
62 ぐいぐいと押せば屁理屈でも通る 西浦和代
63 ぐいぐいと飲む人減ってきた令和 西浦和代
64 ぐいぐいと流れ引き寄せDeNA マミ・オータ(徳島)
65
〇 ぐいぐいと読者惹き込むミステリー マミ・オータ(徳島)
66
〇 ぐいぐいと説明はじめるセールスマン 伊藤悦子(大阪)
◆冠句 「また値上げ」
また値上げされる事にも慣れ始め うっかり
1
人 また値上げやがてはびこる闇バイト 川崎オスカー(神奈川)
2 また値上げ渋沢翁へ恨み節 川崎オスカー(神奈川)
3 また値上げまたまた値上げ切手代 亀島敬司(平野)
4
天 また値上げもう慣れきってあらがえず 亀島敬司(平野)
5 また値上げ家計やりくりお手上げに 森井ユリ子(西納)
6 また値上げ今度は何を我慢する? 森井ユリ子(西納)
7 また値上げ別腹やめる決心す 山田比呂子(もじばな)
8 また値上げ三途の川は六文よ 山田比呂子(もじばな)
9 また値上げ儲けたマネー何処へ行く 小太り一茶
10
〇 また値上げ量でごまかす小売店 小太り一茶
11 また値上げ値上げ会社に倒産はない 谷崎アジヲ
12 また値上げ給与がやがて追い越していく 谷崎アジヲ
13 また値上げ亭主の値打ちはまた値下げ きょうこ(井の谷)
14 また値上げ食減らしても体重(かさ)は増え きょうこ(井の谷)
15 また値上げ財布の中身音をあげる 藤本久吉
16 また値上げ転職希望当ては無し 藤本久吉
17 また値上げええ加減にせんかい!便乗値上げ パーシモン・ヒデ(徳島)
18 また値上げそこに愛はあるんかえ? パーシモン・ヒデ(徳島)
19 また値上げせめて下げてよ発泡酒 新田将喜(大久保)
20 また値上げ年金暮らしは音を上げる 新田将喜(大久保)
21 また値上げ今年は新米あきらめよう 西岡和義(徳島)
22 また値上げ新札ゆっくり顔を見ず LEEな犬(もじばな)
23
〇 また値上げ思わずひとり言の増え LEEな犬(もじばな)
24 また値上げ恐れ恐れのガソリン代 岡崎圭祐
25 また値上げいろんな商品高すぎる 岡崎圭祐
26 また値上げもう慣れました少食に 西浦和代
27 また値上げ時流は時流生きてやる 西浦和代
28
〇 また値上げ体重減らすチャンス来る 長野洋(さいたま)
29 また値上げハガキ十円懐かしい 長野洋(さいたま)
30
〇 また値上げするお知らせの文例集 吉野敬子(川越・すだち)
31 また値上げ先にこっちが音を上げる 藤原正義(徳島)
32 また値上げ赤字家計が主婦泣かす 新田博堂
33
〇 また値上げ月半ばにて早や赤字 新田博堂
34 また値上げ最低賃金低いまま 伊藤悦子(大阪)
35 また値上げ私の暮らしもう音上げ 稲澤弘一(辺川谷)
36 また値上げビールはみんな発泡酒 稲澤弘一(辺川谷)
37 また値上げ私は年寄り音をあげる 藤倉美代子(音谷)
38 また値上げ年金引かれダブルじゃん 藤倉美代子(音谷)
39 また値上げママの財布も火の車 亀島梨花女(平野)
40 また値上げ財布がずっと泣いている 亀島梨花女(平野)
41
〇 また値上げ好きなチョコまで買い控え デフレおじさん(もじばな)
42 また値上げ卵もただの落第生 デフレおじさん(もじばな)
43 また値上げ回り回って誰が得? やすなり(鹿児島)
44 また値上げどうにもならんとまた音上げ やすなり(鹿児島)
45 また値上げ老齢年金大ピンチ 藤本正樹
46
〇 また値上げ買い物袋軽くなり 藤本正樹
47 また値上げ家計簿付けは赤ペンだ 森岡和美(加茂谷)
48
地 また値上げパパに買いたい裂きスルメ アヤ(徳島)
49 また値上げリボベジだらけ冬うらら アヤ(徳島)
50 また値上げ一万円札さようなら 新田津岐美(大久保)
51 また値上げ鮭の切り身を半分こ 新田津岐美(大久保)
52 また値上げ値上げが無いもの疑いぬ 水田友子(もじばな)
53
〇 また値上げ家計の予算案立たず 水田友子(もじばな)
54
〇 また値上げ体重計の数値ごと 大平純子(もじばな)
55 また値上げすぐにお別れ渋沢さん 大平純子(もじばな)
56 また値上げまだ食べてない今年米 松本雅明(羽ノ浦)
57 また値上げ半額シール手前どり 松本雅明(羽ノ浦)
58 また値上げ節約ネタも尽き果てた にしのケイ(西納)
59 また値上げブドウひと房つぶの美味 太田マユミ
60 また値上げ休耕田の草笑う 太田マユミ
61 また値上げ半額シール6時待つ マミ・オータ(徳島)
62 また値上げサイフキビシイー!肉コーナー マミ・オータ(徳島)
63 また値上げかよ!と値札に八つ当たり 西田一象
64
〇 また値上げそれでも好きなものは買う 西田一象
65 また値上げ秋風入る我が財布 ひょうひゃく(千葉)
66 また値上げ何とかしてよ上がりよう 谷崎和子
67 また値上げ何時とは無しに慣れっこに 谷崎和子
◆文句付け 「さっぱり」
酢橘 うっかり
1
地 胃カメラ異常なし 藤本正樹
2 丸刈り 藤本正樹
3 わやじゃ! 新田津岐美(大久保)
4 丸坊主 新田津岐美(大久保)
5 酢の物 岡崎圭祐
6
〇 別れ 岡崎圭祐
7
〇 禁煙 谷崎アジヲ
8 お茶漬け 谷崎アジヲ
9 下手なワナ 西浦和代
10 冷えたビール 西浦和代
11 ヘヤーカット 太田マユミ
12 幕間のトイレ 太田マユミ
13 冷製柚子塩レモンラーメン やすなり(鹿児島)
14
〇 今年の人事評価 やすなり(鹿児島)
15 ボウズ 藤本久吉
16 風呂上がり 藤本久吉
17 剃髪 亀島梨花女(平野)
18 柚子酢 亀島梨花女(平野)
19 湯上り 藤倉美代子(音谷)
20 お茶漬け 藤倉美代子(音谷)
21 ノンアルの水割り 松本雅明(羽ノ浦)
22
天 退院の日の風呂 松本雅明(羽ノ浦)
23 梅ソーダ 西岡和義(徳島)
24
〇 サウナから水風呂 西岡和義(徳島)
25
〇 断捨離 伊藤悦子(大阪)
26 人生 稲澤弘一(辺川谷)
27 泣いた 稲澤弘一(辺川谷)
28 新内閣への期待感 西田一象
29 旦那の家出 西田一象
30 酢の物 谷崎和子
31 気性 谷崎和子
32
〇 釣れん! パーシモン・ヒデ(徳島)
33
人 札幌とパリ 新田将喜(大久保)
34 完治 新田将喜(大久保)
35 終活 LEEな犬(もじばな)
36 更地 LEEな犬(もじばな)
37 減ってきた髪の毛 きょうこ(井の谷
38 覚えられない今頃のタレント きょうこ(井の谷
39 刈り上げ 吉野敬子(川越・すだち)
40
〇 すだち 吉野敬子(川越・すだち)
41
〇 わからん! 森井ユリ子(西納)
42
〇 音沙汰が無い 森井ユリ子(西納)
43 記憶 小太り一茶
44 柑橘 小太り一茶
45 奉灯句 森岡和美(加茂谷)
46 わやや! 水田友子(もじばな)
47 いい性格 水田友子(もじばな)
48 風呂上がり 大平純子(もじばな)
49 部屋の片付け 大平純子(もじばな)
50 テストの出来具合 デフレおじさん(もじばな)
51 散髪終えたアタマ デフレおじさん(もじばな)
52 お茶漬け マミ・オータ(徳島)
53 風呂上がり マミ・オータ(徳島)
54 白状 山田比呂子(もじばな)
55 前髪バッサリ 山田比呂子(もじばな)
56 今日の釣果 亀島敬司(平野)
57 支持率 亀島敬司(平野)
58 与党の議席数 川崎オスカー(神奈川)
59
〇 チャットGPTとか 川崎オスカー(神奈川)
60 漬け物 新田博堂
61 散髪後 新田博堂
62 魚籠(びく)が空 にしのケイ(西納)
63 無精ひげの剃り跡 にしのケイ(西納)
64 紅葉を散らした枝 福島花野(川越)
◆文句付け 「何はさておき」
一歩一歩 うっかり
1
天 水分補給 吉野敬子(川越・すだち)
2 朝起きる 吉野敬子(川越・すだち)
3 プロテイン 亀島敬司(平野)
4 髭をそる 亀島敬司(平野)
5
〇ビール 稲澤弘一(辺川谷)
6 トイレはどこ? 稲澤弘一(辺川谷)
7 今日何曜? 松本雅明(羽ノ浦)
8 病院までの足 松本雅明(羽ノ浦)
9 mixi日記 川崎オスカー(神奈川)
10 降圧剤 川崎オスカー(神奈川)
11 終活 小太り一茶
12 地方創生 小太り一茶
13 風呂上がりの梅酒 福島花野(川越)
14 解散 LEEな犬(もじばな)
15 投票 LEEな犬(もじばな)
16
〇 昼食後の昼寝 水田友子(もじばな)
17 お出掛けにスマホ 水田友子(もじばな)
18
〇 まずご飯 大平純子(もじばな)
19 手洗いを 大平純子(もじばな)
20 とりあえずビール デフレおじさん(もじばな)
21 風呂! デフレおじさん(もじばな)
22 挨拶 岡崎圭祐
23
〇 健康 岡崎圭祐
24
地 大谷さんのニュース 西浦和代
25 初孫の顔 西浦和代
26 飯 新田将喜(大久保)
27 パンツ 新田将喜(大久保)
28
〇 推し活 伊藤悦子(大阪)
29 めしを食う 森井ユリ子(西納)
30 子は宝 森井ユリ子(西納)
31
〇 まず健康 新田博堂
32 これだけは 新田博堂
33 冷えたのを一杯 きょうこ(井の谷)
34 トイレに直行 きょうこ(井の谷)
35 ライフライン 山田比呂子(もじばな)
36 早期発見 山田比呂子(もじばな)
37 風呂上がりのビール にしのケイ(西納)
38
〇 まずお神酒 森岡和美(加茂谷)
39 寿司食いに行く 谷崎アジヲ
40
〇 飲み薬 谷崎アジヲ
41 食事にする 太田マユミ
42
人 筋トレを 太田マユミ
43 孫誕生 西岡和義(徳島)
44 風呂上がりのビール 西岡和義(徳島)
45 入魂 亀島梨花女(平野)
46 「サクラサク」 亀島梨花女(平野)
47 ドッキリ マミ・オータ(徳島)
48 妻のご機嫌伺い 西田一象
49 拝啓 西田一象
50 一杯ジャー 藤倉美代子(音谷)
51 ケセラセラ 藤倉美代子(音谷)
52 まずビール 新田津岐美(大久保)
53 駆けつける 新田津岐美(大久保)
54
〇 ビール パーシモン・ヒデ(徳島)
55 朝メシ 藤本久吉
56
〇 鯉にエサ 藤本久吉
57 とりあえずビール やすなり(鹿児島)
58 ビールで乾杯 やすなり(鹿児島)
59
〇 宮参り 藤本正樹
60 MR検査 藤本正樹
61 腹ごしらえ 谷崎和子
62 逃げるが勝ち 谷崎和子
63 トランプに挨拶の日本国首相 ひょうひゃく(千葉)
<今年の三傑> 栄誉を称えて粗品を進呈します
★息吸うて吐いてひとりの夜長かな 西田一象
尾崎放哉の 「咳をしてもひとり」 を思わせますね。しかし、掲句は寂しさに伸びやかさが加わっています。誰と話すでもなく、息を吸って吐くという普段当たり前に行っている自分の呼吸にさえ気が付くというのは一人ならではかもしれません。季語が夜長であることで、一人を忌避しているのではなく、一人でいることに集中し生きている様子が窺えます。
★背なの子に芒一本持たせつつ 吉野敬子(川越・すだち)
負ぶっている子に芒を持たせて、作中主体が何をしているかまでは書かれていません。ですが、芒なので外にいるのでしょう。しかし、持たせつつ何かをしようとしていることから、子供の相手よりしなければならないことがあるようです。ということから散歩をなどではなさそうです。草抜きでもしているのかもしれません。背中の子は負ぶっているので赤ちゃんより大きく、小学生未満といった印象を受けます。省略が効いていてとても楽しめる句です。
★歌を詠む母に寄り添う花芒 ひょうひゃくの細君・紀子(千葉)
花芒に作者の気持ちが託されているようですね。短歌を詠むお母様にそっと寄り添っている様子やその眼差しの優しさが伝わってきます。一句に詰め込む想いの量や、俳句の技術でやかましくない点に好感が持てます。シンプルながらとても良い句に仕上がっていると思います。
□総評
今年は俳句と冠句に良い作品が多く見受けられました。もちろん、俳句、冠句、文句付け、どの部門も天地人や佳作とさせて頂いた作品以外にも良い作品がいくつかありました。惜しくも選に漏れた方がたくさんいらっしゃいますので、できればまた来年の力作をよろしくお願いします。今年もありがとうございました。 (うっかり)
【選者紹介】 うっかり
昭和五十七年生まれ。徳島県在住。ひまわり俳句会会員。
俳句雑誌奎同人。俳人協会会員。現代俳句協会会員。
第二回全国俳誌協会新人賞準賞
第五回阿波しらさぎ文学賞徳島新聞賞受賞小説「湿り」
第十回北斗賞佳作。
超結社のすだち句会を運営。
今夏、初作品集「欅になれる気がしている」を上梓(百匹ブックス)
(平惣書店、ネットなどで取り扱い中)
代表句 春めくや長めに使うセロテープ のどかさや机平にできており
コンビニで捨てる卒業証書かな 辞書にまだ捲らぬ頁花の雨
春風の疲れ具合を紙の隅
<那賀町朴野・龍王神社祭礼 句づくりの里〉
龍王神社の境内に、行灯がいくつか吊されています。>よく見ると、普通の行灯ではなく、俳句が書き付けてあります。これは「奉灯句」と呼ばれるもので、県下では非常に珍しい行事です。毎年、龍王神社の秋祭りに奉納されています。明治初期頃、村の風流人が御神灯に自作の句を落書きしたのが始まりと言われていますが、明確な起源ははっきりしません。しかし、こうした風流を愛でる文化的な伝統が、戸数40戸あまりの村で脈々と受け継がれてきたことは驚くべきことです。社殿左手には、当地の生んだ俳人・東野茅堂氏の句碑が建てられています。「行く春や囀りは止みそうも無し」と刻まれています。 (徳島大学教授のブログより) <
阿波の祭りと芸能>那賀町朴野・龍王神社祭礼(2) 句づくりの里>
【編集後記】
おかげさまで今年の奉灯句集をおまつりすることができました。作品をお寄せいただいた皆様、残念ながら今年は間に合わなかったよという皆様、それぞれの思いで朴野龍王神社の伝統文化行事に関心をお寄せいただきありがとうございます。そろそろ100歳になろうかというお年寄りからまだ9歳の子供まで幅広い世代から味わい深い作品や楽しい作品が届きました。自分を見る目、景色を眺める目、社会や政治を見つめる目、一人一人がその目で確認した出来事を自分の感想や意見として短い言葉で作品に仕立てていただいたおかげでこの句集には豊かな文芸世界が広がっています。時代に寄り添い、世代交代の荒波にも耐えながらこれからもささやかな地域文化を守って行ければなあと思います。選者のうっかりさんのご尽力に心から感謝を申し上げます。 (事務局)