アトリエ 籠れ美

絵画制作、展覧会、美術書、趣味、その他日常の出来事について
平成27(2015)年5月4日より

油彩筆は1本3000円まで(水彩筆は1本1万円出してもいい)。

2024-03-23 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 これは、私が昔通っていた地元の美術教室の先生の言葉です。

 まあねえ、油絵って描くとき、何本も絵筆を取り替えるので、ある程度の本数が必要。だから筆の大きさを問わず(大きい筆ほど高価)、1本3000円が限度、というのはよくわかります。だって10本買ったら3万円だもの。

 その点、水彩画は筆1本で描き上げるのが普通なので、頑張って(つまり奮発して)1本1万円出しても惜しくない(って、でも絵筆も絵具同様、消耗品なので、いずれ買い替えが必要ですが)。

 なんで油絵は複数の筆が必要で、水彩画は描くのに1本の筆で済むのかは、描いたことのない人には、わからない話ですが(説明すると、水彩絵具は水で簡単に洗い落とせるから)。


 私も油彩筆はたくさん持ってます。豚毛、ハード・リセーブル、リセーブルと、種類ごとに20本ずつぐらいあるんじゃないかなあ(こつこつと買い足しました)。水彩筆はそれより圧倒的に少なく、10本もないです。

 私は、絵は油絵が中心で水彩画はさほどでもないので、水彩筆は少ないかもしれません。おそらく水彩画専門の人なら20本近く持っているんじゃないかと。


 今は何でもお金を出せば買える便利な時代だとか言いますが、お金を出さないといけない。お金がないと何事も始まらない。

 何をするにせよ、資金が必要。そのために毎月の貯金が必要ということになります。

油絵制作の時期は?(自分なりの暦を作る)

2024-02-22 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
*かなりの長文になりますが、ご容赦を。


 油絵は乾燥するのに時間がかかるので、毎日描くことができない。

 乾燥促進剤を使えば別ですが、使わない方がいいのは明らかで、市販の油絵具に含まれる以上の余計な添加物は避けるのが常識的です。

 油絵具は酸素を吸って乾燥します(だから時間が必要)。これに気温と湿度も大きく関与します。真夏なら最短で2、3日と早いが、真冬なら2週間は当たり前で、最大3週間と遅いです。

 私は季節を問わず、1週間で指触乾燥するよう心がけています。そのために描き方(一度にあまり分厚く塗らない)や、調合溶き油の自作、といった工夫をしていても、上記の通り、夏は早く乾きますが、冬は遅く、もはや開店休業状態になります。


 さて、高温多湿の日本において、油絵制作にふさわしい時期とはいつか。私は油絵を描き始めて約20年になるので経験からわかってきたことがあります。

 加えて、かねがね,季節に合った生活をしたい、季節に逆らわないようにしたい、と思っていたので、それを自分なりの暦を作ることで解決し、それを今年から実行しますので、何かの参考になると思い、記事にします。


 そもそものきっかけは、夏以降、油絵が順調に乾くのはいつまでか、に気づいたからでした。私が維持したいと考えている1週間での指触乾燥が保てなくなってくるのが例年10月中旬以降でした。

 つまり10月中旬までは油絵は1週間で指触乾燥します。それ以降は徐々に乾きにくくなるのです。

 またこれは画材とは関係ない話ですが、屋外スケッチをする場合、実は5月に入るともう暑いのです。つまり外で一所にじっとしているには5月で既に暑いのです。

 そして面白いことに、母が高血圧のため、医者からもらった血圧手帳に血圧を記録するようになって一年経って気づいたことなんですが、血圧が低いのが4月から9月、高いのが10月から3月でした。


 以上のようなきっかけもあり、自分なりの暦を作ってしまおう、油絵制作が円滑になるための暦があればいいのではないかと考えました。

 そこで参考までに、私が作った「日本で油絵を描くための暦」を紹介します。



 まず油絵制作の時期を5月16日から10月15日と規定し、夏とします。

 一番油絵制作に傾注する季節ですが、梅雨の時期だけは湿度が上がるため、指触乾燥が1週間以上かかることがあるのが留意点になります。


 そして10月16日から12月15日を秋とします。

 この時期は屋外スケッチに充てます。私の好きな透明水彩スケッチをします。

 寒くなっていきますが、まだ外出が億劫になるほどでもありません。この時期に油絵を描くこともありますが、徐々に指触乾燥は遅くなっていきます。


 12月16日から翌3月15日まで冬とします。

 自宅で透明水彩画を描きます。原則として油絵は描きません(ただし公募展出品作は別)。公募展出品作しか油絵は制作しません。

 このうち12月16日から2月15日は、冬休みと規定し、油絵以外のこと、例えば読書や将棋など、趣味のことに傾注します(ただし美術館通いは別)。

 またこの時期は遠出の外出はしません。風邪を引かないよう努めます。

 翌2月16日から3月15日までは、その年の油絵制作のための準備期間とします。構想を練ったり、調べ物をしたり、年間計画を立てます。

 この時期から遠出の外出は解禁です。


 翌3月16日から5月15日が春です。

 屋外スケッチします。陽気も良く積極的に外出もします。新しいことを始めるのもよし。



 という感じです。以上が、私なりの暦でこれに従い、行動していきます。

 もちろんこれは原則論で一つの指針ですので、厳密にこれを守るわけでもありません。

 例えば、新しい調合溶き油を自作し、真冬での乾き具合を試したり、忘年会や新年会で都心へ行ったり、といったことは当然あります。


 こうした自分なりの暦を作ることで、私の場合、透明水彩画やスケッチをする時間を作れますし、また読書や将棋などに集中できるまとまった時間を取ることもできるという利点があります。

 特に12月16日から翌2月15日を冬休み、油絵は開店休業になるので基本的に制作しない、としたことで、他のことに取り組めるのが大きいです。

 春と秋にスケッチの時期を設定できたのも大きいです。これで年2回、定期的にスケッチに行けます。


 勝手に決めた四季ですが、面白いことに、立夏は5月5日頃なんですよねえ。そして立冬は11月7日頃。油絵を指触乾燥1週間で描ける、ぎりぎりが実はこの頃まで。

 立春は2月4日頃。私が勝手に外出解禁と決めたのが2月16日ですから、当たらずとも遠からず。立秋は8月7日か。確かにこの時期から指触乾燥2、3日というのは終わりになっていく。

 
 いろいろ調べたんですが面白いですね。

 立春が2月4日頃ですが、旧来は立春がお正月だったらしい。これには納得。

 だって今のカレンダーの元日、1月1日って、思いっきり寒いじゃん。子供の頃から「寒いなあ、こんな時期にお正月なの?」って、ずっと思ってました。

 立春が正月なら、まだ寒いとはいえ、お祝いするの、納得。

 ということは、その前日の節分が昔の大晦日(今のカレンダーでいうところの12月31日)ってことになる。だから地方によっては「節分そば」を食べるという。これも納得。

 実はわが家も来年からこれを見習うつもり。カレンダー通りの大晦日、元日はそれはそれでお祝いしますが、そもそも私、アルバイトだったりするわけで、それにやっぱり寒いですよ。

 だから節分が大晦日でそば食べて、立春がお正月でお祝い、ということにします(別にだからといってアルバイトが休みなわけじゃないですが)。



 要するに、自分の都合に合わせた季節の設定が大事なんじゃないかと。そうすることで却って、四季を意識した、四季に合わせた生活を送ることになるという不思議。

 仕事や趣味に合わせた四季、春夏秋冬を決めてしまってみるのも悪くないということで。



 付)上記の、私なりの暦で細かい話をいくつか。

 夏の時期は4つに分けてます。

 5月16日から6月15日を初夏、6月16日から8月15日を盛夏、8月16日から9月15日を酷暑、9月16日から10月15日を残暑、と勝手に決めました。

 冬は3つの時期に。

 12月16日から1月15日を初冬、1月16日から2月15日を厳冬、2月16日から3月15日を晩冬(初春)と勝手に決める。

 だから2月16日から3月15日は、冬から春への移行期、っていう位置づけです。


 注)自分なりの暦作りのため、これを買ってみました。



 なかなか役立ちます。これを参考にネットで調べたりもしました。

 今後は毎年買ってもいいかなと。


 蛇足)この自分の暦に合わせ、飲む酒の種類も変えようかと画策中。夏はビールかハイボール、秋はワイン、冬は日本酒か焼酎、春はウイスキーの類とか。酒飲みはろくなこと考えない。

 でもこうでもしないと、もう日本酒なんて好きなくせに飲む機会がほぼないじゃん。

ジーパンそもそも論

2023-12-14 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 ジーパンは元々は不良が穿くもので、不良の象徴でした。なぜかというと、滅多に洗濯しないから。だから不衛生。不潔。だらしない。反抗的なものでした。

 脱いだら部屋のその辺に放りっぱなしでまた翌日穿く。生地は厚いし丈夫だから、少々汚れても手で払ってそのまま。汚れた手をジーンズで拭いてしまうこともしばしば。

 それがいつの間にか、ジーパン穿くのがおしゃれになった。これはジーパン世代(おそらく今の50代以上)が大人になり、そのまま普段からジーパンを穿き続け、年齢がいって、大人の穿き物に変化したから。


 ちなみに今の日本の若い世代はジーパンは穿きません。なせかというと窮屈だから。楽な綿パンを穿きます。「おしゃれは痩せ我慢」とかは無縁。しかし合理的。

 確かに日本は土足文化ではないので、つまりは家では靴を脱いで生活するので、必ず座るわけではない。しゃがんだり、正座したり、あぐらをかいたりする。寝そべりもする。

 そうなるとジーパンは動きにくく、不便でしかない。加えて高温多湿だから、夏のくそ暑いときに、ジーンズなんか穿いていられないというわけだ。


 かく言う私も50代。最近ジーパン復帰いたしました。ジーパン穿くと他のを穿かなくなるという理由で、10年以上ジーパンを穿いてませんでした。

 個人的には楽ですね、ジーパン。楽というのは、気楽でいいという意味です。真夏でも穿いてました昔は(さすがに洗濯してましたが)。

 ちょうど今まで穿いていた綿パンの類いを買い替えないといけなくなったので、ジーパンに切り替えた次第(古着屋で買ってきました)。

 これからはずっとジーパンを穿いていこうと思ってます。


 付)私はジーパンにこだわりはありません。高価なものにも興味なし。

 注)ゲームセンターも同じですね。ゲームセンターは昔は不良の溜まり場でした。

 蛇足)私は10代の頃は、黒いジーパンも穿いてました。黒って、まだ売っているのかな。あれば欲しいところですが。

絵画に額縁は必要か

2023-08-03 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 そもそも額縁は、描かれた絵と外界(周囲の現実世界)を隔てるためにあり、額縁をつけることによって、この枠内が絵ですよ、と見る側に伝え、枠内が作品なんだなと作品に集中できる、区切り、仕切りとして必要なものです。
 
 ですが、それ以前に作品の保護という重要な役割も果たしています(作品の角、四隅はぶつけたりで、どうしても傷つきやすい)。


 さて、絵を額縁から解放した、つまり作品に額縁をつけなかった、美術史上初の人が、モンドリアンと言われています(本人がおそらく私がその最初の人だろうと言ってます)。

 モンドリアンは抽象画の巨匠ですから、以降、抽象画や現代美術の平面作品で、額縁をつけないことが、今や普通に行われています。

 建前は、額縁をつけないことによって、描かれた作品世界が、外界へも広がって、そこへ溶け込んでいく、そういったことが狙いになってます。

 そうしたことを作者が求めている、そうなることを願って、あえて作品に額縁をつけないわけです。


 しかしながら、現実問題として、額縁代もばかにならないからと、抽象画や現代美術作品であることを言い訳にして、額縁をつけない事例があります。

 というのも、抽象画や現代美術作品でも額縁をつけた方がいい作品はこの世にたくさんあるからです。

 何も古典絵画風の、あのごてごてした金の額縁が似合うわけではありませんが、簡素な(つまり彫り物のない)木の額縁や、同様の白や黒の額縁がふさわしい、そうしたら作品がぐっと引き締まって良く見えるのでは、というわけです。

 また具象、抽象を問わず、額縁をつけると自分の下手な作品が良く見えてしまうからという、妙な理屈で額縁をつけない人も希にいます。


 私は抽象画は描きませんが、描いたとしても必ず額縁に入れますね。そもそも絵画作品は額縁に入れるものだからです。

 額縁に入れないというなら、つまり額縁なしにするなら、余程の理由をつけますね。例えそれが理論武装に過ぎなくても、何らかの立派な理屈や考えに基づいて額縁なしにします。

 今、市販されている額縁は、つまり店に置いてあり、すぐに買える額縁は、ましてや仮縁や棒縁となると、なおのこと、簡素で無駄な装飾のないものが多いです。

 だから、抽象画や現代美術作品に似合わない額縁ばかりで困る、なんてことにはなりません。


 求められるのはセンスです。額縁にお金をかけられないのはよくわかります。ですがお金のない中、できるだけ作品に合う額縁を用意する努力はできます。

 お金がないからと、何だかんだと理由をつけて、額縁をつけないというのは本末転倒です。

 というわけで、絵画には必ずと言っていいほど額縁は必要なものなのです。



 付)公募展で額縁が必須なのは上記の通り、作品保護のためで、それ以上でも以下でもありません。


 注)西洋で言う「モダン」というのは「古典」の対義語として使われます。

 ここでいう「古典」とは、きらびやかな装飾(フランスのベルサイユ宮殿が典型)のことで、華美を意味し、色で言えば金色がその象徴。

 それに対し「モダン」とは、そうしたきらびやかな装飾を排した簡素さ、を意味し、色で言えば白や黒がその象徴。

 日本で言う「モダン」は、今風でおしゃれ、かっこいい、といった程度の意味ですが、元来は、西洋の歴史的経緯に基づいた深い言葉で、古いものに反抗する(または否定する)、ある意味で非常に攻撃的な、あえて言えば左翼的な意味を含んでいるのです。

 そう考えると、額縁をつけないことや、現代美術(モダンアート)が、西洋人にとって、どれだけの重たい意味を持っているかがわかると思います。


 蛇足)もっとも、日本では、もともと華美な装飾を排するところがあるので、これは禅宗の影響なんですが、西洋の「モダン」という言葉が、違った受け止め方をされてしまうのも、やむなしなんですが。

クサカベ mino リニューアル(その2)

2023-05-02 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
*「クサカベ mino リニューアル(その1)」(2022-02-17 の記事) の続き。


 お詫びと訂正みたいな記事です。

 先月末、4月30日に世界堂新宿本店へ行ってきました。


 まず、クサカベの最高級絵具「ギルド」シリーズは、世界堂新宿本店で売ってますので、実物を見たい方はご安心を。


 さて、クサカベ mino はリニューアルしたんですが、どうやら大きな変化はないみたいです(ただ量が増えてその分値段が上がっただけ)。

 ただし、一部の色に関して、改良し、色味が変わりました。どの色がどう変わったのか、世界堂新宿本店の売り場に貼り紙がしてありました。


 というわけで、大幅リニューアルだと期待していた(いや、勘違いしていた)私は拍子抜け。

 前回、「順次、新ミノーに切り替えます」とか書きましたが、これはいったん中止。急ぎません。

 国内外の、他社メーカーで試したい色がありますので、その結果次第で、私のパレット(色の選択)は変更になります。

 たぶん、大幅に変わるでしょう。

 もし困ったり、迷ったりしたら、この新ミノーを使えばいいかなと。


 また何かあれば記事にしたいと思ってます。


 蛇足)前回書いた通り、絵具箱も買ってきました。今まで使っていたのも気に入っているので、案外併用するのかもしれません。

日本で油絵を売る難しさ

2023-03-16 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 日本で、油絵は外来文化、輸入文化ため、ヨーロッパのように蚤の市や骨董市、フリーマーケットで売られているということがほとんどない。

 日本の蚤の市や骨董市で売られているのは焼き物や掛け軸。別にそこで油絵が売られていてもいいのだけれど、そういう慣習がない。

 だから日本で油絵を買うなら、画廊の個展やグループ展、またはデパートの催し物になってしまう。これでは敷居が高いと言わざるを得ない。

 要するに、油絵を売る方も買う方も、言ってしまえば、馴染みがないため、どこか不自然さが伴ってしまう。

 これが焼き物や掛け軸だと、気軽に買えるし、買ってしまう。蚤の市で、いつの時代とも知らず、いやそういったことを気にせず、自分の気に入った器を、安値で買うことはよくあることだ。

 ところがこれが油絵だとそうもいかない。どうしても構えてしまう。売る方も買う方も、どこか肩に力が入っている感じ。

 自然に、有名無名を問わず、またいつの時代に描かれたものか、なんてことは気にせず、ただ自分の気に入った油絵を買って、自宅に飾って、気軽に楽しむ。

 そうなればいいだけど、そしてそれは決して難しいことではないのだけれど、日常生活の中で油絵に触れることが少ないため、どうしても敬遠されてしまう。

 日本で油絵を描いている者の一人として、その販路の狭さに、輸入文化の定着の難しさを感じているところです。

使い切った絵具のチューブは取っておくべきか

2022-10-13 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 結論から言うと、取っておくべき。理由は自分がどのメーカーのどの絵具をどれぐらい使ったかがわかるから。

 これは特に自分のパレット(色の選択)が決まっていないときに有効で、いろんな絵具を試しているとき、使い切ったチューブを捨ててしまうと、どの色を使ったのかわからなくなってしまう。

 その都度メモを取ればいいという話もありますが、意外とメモするのは面倒。それよりも使い切ったチューブそのものを空き瓶にでも入れて取っておいた方が手軽です。

 私の場合、空き缶に入れています。ある程度溜まったら、適当な時期に不燃物でゴミ出ししています。

 自分のパレットが決まっているとしても、使い切ったチューブを取っておけば、どの絵具をたくさん使ったのかがわかるので便利です。

 また気まぐれで買って使ってみた色も時にはあるでしょうから、そうしたものも使い切ったチューブを取っておけば、こんな色を使ったことがあるんだと、振り返ることができます。


 油絵具、水彩絵具、アクリル絵の具など、どんな画材の絵具のチューブでも、使い切ったら取っておくと後で役立ちます。

 同じ色でもメーカーやブランドによって色味や練り具合が違う場合があるので、使い切ったチューブを取っておくと何かと便利です。

 小さな空き缶や空き瓶一つあればいいので(例えばインスタントコーヒーの瓶など)、使いった絵具のチューブを取っておくようにしてみてはいかがでしょうか。


 付)市販の溶き油(リンシードなど)の空瓶も取っておくと、同様の理由で役立ちます。ペインティングオイルなどは成分表示がしてあるので参考になります。これは特に溶き油を自作するには必須と言えるかと。

 注)だから市販の溶き油の場合、敢えて小瓶も買って、その空き瓶を取っておけば場所を取りません。

お金か時間か、見極めが肝心。

2022-05-05 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 画家でなくてもいいですが、何事かやってそれで成功するには、お金が要るのか、時間が要るのか、見極めが肝心です。

 日本画の大家、東山魁夷がその昔、雑誌だか絵本だかの挿絵で糊口を凌いでいたとき、もっと挿絵の仕事をすることはできるし、そうすれば生活は楽になるが、しかしその分、日本画の勉強をする時間がなくなる、という悩みを抱え、随分苦しんだそうです。

 これは誰しもそうです。私の場合は油絵ですが、画材を買うにはお金が要るし、でもお金を稼ぎに走ると、休みの日に油絵を描こうにも、くたびれていて、できなかったりします。

 お金か時間かはそのときそのときの自分の状況に応じて変化します。だからその判断が難しいのです。

 もしお金か時間かで迷ったなら、お金がいいと思ってます。何をするにも、何を買うにも、お金が必要だからです。

 お金の場合、お金を稼ぐことに労力を取られますから、肝心の勉強は少ししかできません。お金を稼ぐことで疲れてしまい、一切勉強できなくなることだけは絶対避けなければなりません。

 時間の場合、勉強する時間はたっぷりありますが、必要な道具や本を買うお金が不足したり、あるいは全くなかったりします。そのことで自分の勉強が遅れる、止まる、回り道をせざるを得ないことは絶対に避けなければなりません。


 私個人のことで言えば、お金に比重を置いてました。理由は画材を買ったり、美術館に行ったりするのにお金がかかるからです。その分(つまり時間に比重を置かなかった分)、油絵を描く時間が少なくなりますが、そこは頭を使って勉強方法の効率化を図ることで補おうという方針でした。

 これで間違ってはいなかったと思っていますが、これからは今までと違い、お金よりも時間だと気づきました。きっかけはアルバイト先での早出(鍵開け)と労働時間の削減で収入が減ったことです。

 鍵開けは、週5日のアルバイトのうち、4日担当してました。早朝手当がつくので、これが塵も積もれば山となる、で結構、大きい収入になります。加えて鍵開けは本来の仕事外なので、担当部署の仕事を普通通りこなすと、大抵残業になります(15分から30分くらいかな)。

 先月、4月から鍵開けを外れることになり、またそれにより本来の終業時間は16時から17時に戻ったんですが、なるべく早く上がるようにということで16時終業が基本になりました。

 こうした話は事前にあり、私も了承したので、何ら問題はありませんが、思っていた以上に収入が減ることになりました。もちろん17時まで働く権利はありますし、忙しい時期、特に夏などは17時に上がれず、おそらく30分は残業になっても構わないとの合意もできています。

 要は浮いた時間、浮かした時間は繁忙期に使う、というわけなんですが、実際のところ、夏でも16時上がりならそれはそれでいいと思ってます。

 そういうわけで労働時間が減って一ヶ月、ようやく気づきました。鍵開けでかなりの体力を奪われていたんだなと。大体朝5時前に起きて、6時前に家を出てました。それが今では朝6時過ぎに起床し、7時過ぎに家を出てます。

 この一時間の差がこれほど大きいとは露知らず、まさに天と地でした。体が楽になり、アルバイトから帰宅しても、心身共に元気で、これなら就寝前に本を読んだり、将棋やチェスの勉強をしたりできます(だからギター練習が再開できてます、近々記事を入れられると思います)。

 つまりは鍵開けで疲れすぎていて、何もできない状態になっていたんですね。朝早いということは前日の就寝時間も早いわけで、夜10時過ぎには寝てました。これではアルバイトから帰宅後に何もできない(入浴、晩酌、夕食、そこで疲れすぎていて歯磨きして寝るだけ)。

 このブログで、1年ほど前から、新しいこと、チェスや書道、ギター、といったことを始めようと書いておきながら、なかなか進まないのは、私の怠慢ではなく、アルバイトで疲れすぎていたからなのだと、骨身に染みました。
 
 だから下手をすると、実は2年位前から、お金よりも時間が要る生活だったのかもしれません。まさにこの記事で自分の書いた通り、「お金か時間かはそのときそのときの自分の状況に応じて変化します。だからその判断が難しいのです」。


 これからの私はお金よりも時間ですね。やりたいことはたくさんあります。もう十分稼がせてもらいました、今のアルバイト。もう7年もいるらしく、勤続7年表彰があるとか。ですが今のアルバイトは、私にとって腰掛け、いずれ辞めます(準社員登用の話もあったんですが)。

 今後収入が減っても、毎月の収支が赤字にならなければ十分(月収は最大約3万5千円減、最小約1万円減で、実際のところは2万円減程度だと思います)。

 赤字にならない範囲内で、必要な出費はできるだけして、ここ2年でチェスやギター、書道などをある程度習得したいです(さすがに乗馬は資金難で無理ですが)。

 肝心の油絵は今年で決着しますが(技術的問題の解決)、こちらは幸い、通常の出費(画材や書籍など)で済んでいます。


 本当に「お金か時間か」の問題は難しいです。自分ではうまく対処してきたつもりですが、ちょっと「お金」を重視してしまっていたのかもしれません。

 私も今年で51歳。年齢と共に体力も落ちてきます。健康管理も重要になってきます。目下、視力の低下が気がかり。そろそろアルバイト先で年一回の定期健康診断があります。


 付)記事の後半は個人的なことを書きましたが、こうしたことを書かないと記事にリアリティーがないと思った次第。

 注)もう「鍵開け」は結構。こんなに負担になっているなら、やらないのが正解。

 蛇足)臨時で「鍵開け」を頼まれることはあります(既に一回ありました)。

クサカベ mino リニューアル(その1)

2022-02-17 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
 クサカベの油絵具「ミノー」がリニューアルしたのが、2021年の7月。

 そのチラシはこちら。


 で、今まで「ミノー」を使っていたんですが、手持ちの「ミノー」が切れたらどうするのか。

 やっぱり一度はリニューアルした「新ミノー」を使ってみるしかないでしょう。

 そこで、旧ミノーの「テラローザ」がそろそろ切れるので、新ミノーの「ベネチアンレッド」を買ってきました。

 それがこちら(この記事の見出し画像に同じ)。


 この新ミノー、旧ミノーよりも高額ですが、その分量も多い。だから割高ということにはならないんじゃなかろうか。

 まあとにかく使ってみるしかないですね、とりあえず。それで特に問題がなければ、新ミノーを使えばいいし、もし気に入らなけば、私の場合、マイメリ ピューロ を試してみようと思ってます。

 もうね、値段で考えたら、新ミノーも、マイメリ ピューロ も、大して変わらないかなと。マイメリ ピューロ は新ミノーよりも高額ですが、その分、量もかなり多い。だからこちらも割高感はないですかね。
 
 でもね、でもさ。1本に払う金額が今までよりも格段に高くなるわけで、しかも、その色味や硬さ、使い心地が悪かった場合、量が多い分、使い切るのが大変で、買うにはやはりそれなりの覚悟が要りますね。

 今回、私は新ミノーを初めて買いました。たまたま「ベネチアンレッド」だったわけですが、これから順次、新ミノーに切り替えていきますので、その使い勝手を報告していきたいと思っています。


 付)今回は前置きということで。

 注)クサカベは旧ミノーの他に、旧ミノーよりもさらに高価な「ギルド」というシリーズがあるんですが、新宿世界堂本店で見かけなくなりました。

 蛇足)絵具箱を買い替えないといけないかも。今まで世界堂オリジナルのちょっと変わった絵具箱(今は売ってないみたいですが)を気に入って使っていたんですが、これだと大きなチューブは入れられないので。

ロールキャンバスその3

2021-10-21 03:00:00 | 画材、技法、芸術論
*「ロールキャンバスその2」(2020-07-16 の記事) の続き。

 東洋クロスの「TOCLO CANVAS(トークロー)」、ロクシ―A3(中目、油性地)1.4mの10m巻で、税込2.8万円(写真参照)。

 これの使い心地なんですが、私にはやや不向きな印象です。大作や小品にと、この一年ほど使ってきましたが、厚塗り向きのキャンバスで、私のように薄い絵具層を重ねていくには、ちょっと使いづらいですかね。

 あくまで私個人の感想なんで、参考程度にもなりませんが、一応ご報告ということで。

 まだ買ったロールは残っていますが、これを使い切ったら、できれば別のを探してみるつもりです。もし他にいいのがなかったら、またこれを使うことになると思います。

 別に悪いキャンバスではありません。しっかり作られていますし、1.4mの10m巻で、税込2.8万円で買えるわけですから、安価で良質です。

 良いものは高いとわかってはいても、なかなか手が出ない。そんな描き手の多い中、メーカー側も苦労していろんなキャンバスを用意してくれています。

 あれこれと選択の自由があることに感謝しつつ、できるだけ自分に合うものを探していこうと思います。

 注)新宿の世界堂本店で、膠引きのロールキャンバスを売っていて、実はこれを使おうと思っていたんですが、もう売ってません。取り扱いがあるのか、つまり取り寄せが可能なのかどうか、確認したいです。

 付)ロールキャンバス1.4mの10m巻で、10万円出せるんだったら、最高級のが買えるんですけどね、なかなかそうもいきません。

 蛇足)膠引きのと、使ったことのないキャンバスと、両方を揃えて、あれこれ試したいところなんですが。