主はモーセに言われた。「このアバリム山に登り、わたしがイスラエルの子らに与えた地を見よ。
それを見て、あなたもまた、あなたの兄弟アロンが加えられたのと同じように、自分の民に加えられる。(12~13)
神はモーセに余命宣告をされた。そのときモーセが心配したのはイスラエルの民のことであった。みことばに逆らってはモーセを責め続けた問題児のような民のことであった。
モーセは主に言った。
「すべての肉なるものの霊をつかさどる神、主よ。一人の人を会衆の上に定め、
彼が、彼らに先立って出て行き、先立って入り、また彼らを導き出し、導き入れるようにしてください。主の会衆を、羊飼いのいない羊の群れのようにしないでください。」(15~17)
モーセは即座に主のさばきに服して、リーダーを失ったイスラエルの民のために自分の代わりに約束の地に導き、主に執り成す者を求めた。彼は死の淵にあっても、主のみこころを察してそれを求めている。モーセは何時もそうして来た。
彼が自分の命を心配しなかったのは、執り成しの中で神が愛であることを経験していたからである。愛である方に命を委ねると知るなら、自分のことが心配にはならない。すべての殉教者も同じだったのであろう。
事実モーセが主とともに生きていることが、ペテロたちに見せられ聖書に記されている。
そして、見よ、モーセとエリヤが彼らの前に現れて、イエスと語り合っていた。（マタイ17：3）
主はモーセに言われた。「あなたは、神の霊の宿っている人、ヌンの子ヨシュアを連れて来て、あなたの手を彼の上に置け。（18）
ヨシュアの選びの条件は一つであった。神の霊が宿っていることである。それが民を導く必要のすべてを満たすのである。
彼を祭司エルアザルの前に、また全会衆の前に立たせ、彼らの目の前で彼を任命せよ。
あなたは、自分の権威を彼に分け与え、イスラエルの全会衆を彼に聞き従わせよ。（19～20）
モーセの権威をヨシュアに分け与え、民をヨシュアに聴き従わせなければならない。それが可能なのはヨシュアに神の霊が宿っているからである。
彼は祭司エルアザルの前に立ち、エルアザルは主の前で、ウリムによるさばきを自分のために伺わなければならない。ヨシュアと彼とともにいるイスラエルの子らのすべての者、すなわち全会衆は、エルアザルの命令によって出、また、彼の命令によって入らなければならない。」（21）
エルアザルがどういう人物かを人に問う必要はない。エルアザルは神の権威によってその役割をたまわった者、それだけである。
神に命じられたエルアザルと、すべてをみことばに従うモーセによって、ヨシュアはイスラエル民のために備えられた。
すべての人は創造主に対して罪を犯している。最大の罪は創造主の否定であり、キリストへの反抗、いのちを与えるみことばに不従順であること。
創り主を悟らなければ、自分が何ものであるかを知ることはなく、永遠から見れば一瞬の命を虫けらのように死ぬことになる。
永遠のいのちを与えるために遣わされた、キリストのあがないを否定するなら、救われる道を失う。
みことばを信じなければ救い主イエス・キリストを知ることはなく、おめおめとサタンに道ずれにされて命を終え、サタンの永遠のさばきに引き入れられるのである。
罪の報酬は死です。しかし神の賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです。（ローマ6：23）
生まれた者は皆、自分の罪のために一度死ぬ。モーセのように不従順を負って死ぬのだ。しかしキリストによって罪の代価を支払われたことを、感謝をもって受け入れた者は、永遠に滅びることのない新しいいのちが、肉の死のあとにキリストに拠って用意されているのである。
キリストの十字架による罪のあがないを受け入れない者には、この世の命がすべてである。
キリスト者にはこの世が恵まれた日々であろうと、試練の日々であろうと、束の間の仮り住まいに過ぎず、本当に生きる所は新しい天と新しい地にあって、愛する主の御許で永遠を楽しむ者なのである。モーセもエリヤもペテロもパウロも共に生きる所である。
