新古今和歌集の部屋

新古今増抄 巻第一春歌上 後鳥羽院 立春 蔵書

 

 

 

 

 

 

 

 

一 春のはじめの哥

増抄に云。春たつとは立春也。はるの初の

といへるは、立春の後、四五日のあいだを云なり。

年内にたつ春をば初にはとらず。年始

春のはじめにもするとみえたり。

一 太上天皇

増抄云。高倉院ノ㐧四ノ皇子。御母ハ七条院。御

製三十三首入。神皇正統記曰、第八十二代

四十四世後鳥羽院。諱ハ髙成。高倉㐧四の子。

御母は七条院、藤原殖子。入道修理太夫信

隆の女なり。太上天皇とは、史記巻之八、高祖ノ

本紀ニ曰。六年ニ髙祖五月ニ一ビ、朝太公如家人父

子ノ礼、太公ノ家令説大公曰天無二ッノ日、土無二ノ

令高祖ノ雖モ子人主也。太公雖父人臣也。奈何

令高祖人主拜人臣。如此則威軽不行。後ニ高祖

朝ス大公擁篲ヲ(為恭也如今卒
       得帚者也    )迎門却キ行ク。高祖

大驚、下テ扶太公、曰ク。帝ハ人主也。奈何以我亂

天下ノ法、於是髙祖乃チ尊太公為太上皇。註

蔡邕ガ曰ク不言帝非天子也。索隠ニ曰。按本紀、

秦始皇、追ヒ尊テ荘襄王。為太上皇、已為故

事矣。蓋太上者、無上也。皇者、德大於帝、

故尊其父、合太上皇也。

一 ほの/”\と春こそ空にきにけらし天の香久山霞たなびく

増抄云。天香來山、日本紀神代上卷云。以テ天

香山之真坂樹、為鬘ト以蘿為手繈䟽云

天香山者、按風土記ヲ謂ク天上有山。分而随地

一片、為伊与之天山。一片為大和国之香山。

今謂在天之時云々。天香來山と書時は、天

地わかれずちかき時、天の香此山に來る由也。

香籠山と書時は、天の香此山にこもりてある

よし也。ほの/"\といふは、一句も憚かるべきよし

なれども、この比まではくるしからず。そ

のゝちのいましめ也。空といふとあま

のかく山と高きものを上下にいひかなへたり。

かゝるを上下かえあひたりともいひ、ふとみ

ほそみなしともいへり。あまのかぐ山の

たかき所にかすみがまづたなびくは、空

に春の先來るらんとの作なり。ほの/"\とは、

春の早天をいはんため也。

 

 

頭注

○空 阿圖括地象ニ

 云ク。易云ク大極之生

 兩儀ヲ。々々未分其

 氣混沌清独既

 分覆者為天偃

 者為地。

 釈名ニ云ク天垣也。

 垣然髙而遠

 也。 物理志ニ云ク水

 土之氣升テ為天。

 

 

蔡邕 (132年または133年 - 192年)は、中国後漢末期の政治家・儒者・書家。字は伯喈。兗州陳留郡圉県の人。蔡叔度の子孫。父は蔡棱。娘は蔡琰。従弟は蔡谷。叔父は蔡質。外孫は羊徽瑜(西晋の景献皇后)・羊祜。

阿図括地象 漢代、儒家の経書を神秘主義的に解釈した緯書の一つ。

釈名 後漢末の劉熙が著した辞典。全8巻。 その形式は「爾雅」に似ているが、類語を集めたものではない。声訓を用いた説明を採用しているところに特徴がある。著者の劉熙については、北海出身の学者で、後漢の末ごろに交州にいたということのほかはほとんど不明である。「隋書」経籍志には、劉熙の著作として「釈名」のほかに「諡法」および「孟子」の注を載せている。

※易 易経

 

コメント一覧

kunorikunori
Jikan様

もとの所有者の痕跡は、古本の楽しみでもありますよね。
400年も前の方がどのように感じていたかを知れる(それも独り言のような…)貴重な機会ですね!
古本のコメント集400年前版‥‥なんて、たのしいかも~♪
ずっと赤文字気になっていたので、やっとすっきりしました。笑

もしや後鳥羽院‥‥もあるかもしれないとか、想像しておりました。
jikan314
@kunorikunori 赤文字?
この本の元所有者筆ですね😁下の画像の所有者自身のメモ書きです😉
この地に最初に開墾した自負心ですね😁
岡田氏から九里を名乗って、新天地に入った御先祖も、この本のメモ書きの様に、自負の心を赤文字で記載しています😃
読んではいますが、テキスト化はしません。
小生の本には、過去400年の所有者の痕跡がよくありました。寺子屋の生徒の落書き(本を買えないので、裕福な武士階級かなあ)
kunorikunori
自閑様

いただいたコメントの返信、後になります。
スマホから、気になる点を。
赤文字は、どなたが書かれたのでしょうか?
江戸時代の人?
それとも定家?

赤い文字が気になりました!
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