しらゆりの細きつぼみをちぎりてはこひにやぶれし身をぞあはれむ

しらゆりの細きつぼみをちぎりてはこひにやぶれし身をぞあはれむ　　　　揺之

咲きて散る花のさだめにしたがひてはかなく失せしつかの間の恋

咲きて散る花のさだめにしたがひてはかなく失せしつかの間の恋　　　　揺之

あまのかは夢見る人の目をすひてとはのちぎりを人の世にとふ

あまのかは夢見る人の目をすひてとはのちぎりを人の世にとふ　　　　揺之

花の野を白きこてふの群れとびておひておはれて一春の恋

花の野を白きこてふの群れとびておひておはれて一春の恋　　　　揺之

夕月夜ゆくあてもなく野をまよひ君待つ家をまぼろしに見る

夕月夜ゆくあてもなく野をまよひ君待つ家をまぼろしに見る　　　　揺之

かたこひのかへる心をあきらめてみづに流ししその思ひかな

かたこひのかへる心をあきらめてみづに流ししその思ひかな　　　　揺之

しらたまの我が子かはゆや何やろと親の情けのありがたきかな

しらたまの我が子かはゆや何やろと親の情けのありがたきかな　　　　揺之

物憂げにひとみをそらし背を向ける君の心が壁にとけゆく

物憂げにひとみをそらし背を向ける君の心が壁にとけゆく　　　　揺之

ひとりねのさみしき腕にあがつまのかろきおもみを思ふ長き夜

ひとりねのさみしき腕にあがつまのかろきおもみを思ふ長き夜　　　　揺之

薄紅のさうび咲き群れ風に揺れこひのうらみは忘れよといふ

薄紅のさうび咲き群れ風に揺れこひのうらみは忘れよといふ　　　　揺之