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ある日、超能力が目覚めた件 446P

2024-05-12 19:51:15 | 日記
「ひっ……」
 
 叫んだJKは野々野小頭を見てる。いや、うつろな目をしてるから実際確実に野々野小頭を捉えてるか……なんてわかんない。けど野々野小頭はあとずさってた。
 
(気づいてない気づいてない……)
 
 そんな風に野々野小頭は自分に言い聞かせてる。前を向いたまま野々野小頭は足を擦るようにして移動してる。どうやら急いで向かってくる……という風にはならなそうだ。というか、まだあのJKは立ち上がってすらいない。なら大丈夫……そう野々野小頭は言い聞かせて早鐘のように鳴る心臓をなんとか無視しようと努めてた。
 その時だ。
 
 ――トス――
 
 と野々野小頭の背中は何かにぶつかった。誰かがいたのだろうか? と思って「すみませ……」と言葉を紡ぎつつ振り返ると途中で言葉が途切れた。そして「ヒュっ――」と変な音が喉から出た。
 何がそこにいたのか……それはさっきJKに足蹴にされたおっさんだった。JKを襲おうとして返り討ちにあった彼は吹き飛んでいったはずだけど、どうやら再びこっちに来てたみたいだ。そして今、野々野小頭の退路を妨害してる。
 
「あぐっ……ぅぇぇぇうく……ああ」
 
 そんなうめき声のような音を出す口からは泡立った涎がこぼれそうで……さらにいうと、なんか腕の曲がってる方向がおかしかった。けど彼はニタニタと笑ってる。
 不気味にもほどがあった。全身に泡立つような寒気が襲ってくる野々野小頭。震えてどうすることもできない。そんな野々野小頭へむけて背中側のおっさんが腕を使ってホールドしようと……
 
(こんな……こんな世界……こんな)
 
 くらっと野々野小頭はする。まだ触れられてはない。けど意識が遠のくような感覚。そして聞こえてくる今の声。それから心にどす黒い……まるでヘドロのようなものが湧き出してきて心臓を圧迫するような……そんな感じを受けてふらついた。
 
「なに……これ……」
 
 頭をなんとか振って意識を保とうとする野々野小頭。するとどうやらそれがよかったらしい。野々野小頭の髪の毛が背中側にいたおっさんに当たった。なんか色々と嫌なものがついた気もするが……それは見なかったことにして、ふらつきながらも、わずかに足を動かす。
 でも……
 
「つっ!?」
 
 野々野小頭の足は彼女が思った以上に動かなかった。そのせいで彼女は道路に転んだ。そしてそんな彼女を目指して後ろからはおっさんが……そして前からはJKがそれぞれくるってやってくる。そして……
 
(このままじゃ私もあんなふうに……)
 
 それがわかる。だって野々野小頭の意識が次第に靄に包まれるように曖昧になっていってるからだ。けどそんなの嫌だともおもってる。だから野々野小頭の目には涙がたまる。
 
「いやだ……こんなの……」
 
 そういったとき、こらえきれずに涙が落ちる。けどこんな異常事態の中誰かを助けられるような……そんな余裕も勇気もある人なんていない。もう駄目なんだ……そんな事を思ってると――
 
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 そんな声と共に巨体がおっさんを吹き飛ばして迫ってたJKをも巻き込んだ。


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