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電磁波問題とマスコミ (1) NEWSWEEK:スマホの電磁波でガンになる?

2018-11-01 00:33:08 | 電磁波

電磁波問題とマスコミ (1) NEWSWEEK:スマホの電磁波でガンになる? 

以下は、NEWSWEEK ニューズウィークの記事の抜粋であるが、引用の目的は2つある。電磁波問題とマスコミ (1): とにかく記事の内容を大まかに伝えることと、 電磁波問題とマスコミ (2): スマホや電磁波の危険性についてのこうした記事が今日、日本のマスコミには決して出てこない理由を一緒に考えてもらうためである。

文中、赤字は引用者による補足解説。

  

 

WHOは「発癌性が疑われる」と警告し、細胞への影響を示す研究も......携帯電話の発する電磁波の危険性とは

ティファニー・フランツが折り畳み式の携帯電話を初めて手に入れたのは16歳のとき。外出時には毎朝、ブラジャーの左カップに滑り込ませていた。


21歳のある夜、ペンシルベニア州ランカスターの自宅で両親とテレビを見ていたときに、左胸にしこりができているのを感じた。携帯電話のすぐ下の場所だった。

検査の結果、4カ所の癌性腫瘍が見つかった。「どうしてこんなことに?」と、母親は言った。

カリフォルニア州の乳癌専門の外科医ジョン・ウェストにとって、その答えは明らかだ。ウェストは13年、他の5人の医師と共に学術誌ケースリポーツ・イン・メディシンに論文を投稿。フランツを含む4人の若い女性の腫瘍について報告した。全員、携帯電話をブラジャーの内側に入れていた。

「私は確信している」と、ウェストは本誌に語った。「携帯電話との接触と、ヘビーユーザーである若い女性の乳癌との間には何らかの関係がある」 

・・・・・

証明できないからといって、ウェストが間違っているというわけではない。WHO(世界保健機関)は11年、携帯電話は「発癌性が疑われる」と結論付け、「携帯電話と癌のリスクとの関係を注視」し続けることを推奨した。だが決定的な証拠がないことから、規制当局は慎重な構えを崩していない。

タバコの発がん性が疑われたのが1900年であった。相関関係を示唆するデータは山ほどあったが、タバコ会社は “因果関係” を証明する証拠はないと主張しながらタバコをせっせと売り続けてきた。しかし、2000年を超えてやっと “因果関係” が証明された。20世紀には、タバコの危険性が証明されるのに100年かかった。


一方で携帯電話の使用頻度は爆発的に増加した。1986年に携帯電話を保有しているアメリカ人は68万1000人だったが、16年には契約数が3億9600万件に達した。今では全世界で50億人が携帯電話を使っている。

現在、世界中の50億もの人々によるケータイやスマホを使った “グローバルな人体実験” が進行中である。21世紀中に、スマホや電磁波の危険性が “完全に” 証明されるまで携帯電話会社は必死に売り続けることであろう。ちなみに今日、携帯やスマホの電磁波の危険性についての調査研究にはなかなか助成金が出ず、逆にそうした研究を否定する調査研究には携帯電話会社からは莫大な助成金が出る。

体と脳が発達過程にあるティーンエージャーは最もリスクが高いグループだが、同時に最も熱心な携帯ユーザーでもある。ピュー・リサーチセンターの今年の調査によると、13~17歳の95%がスマートフォンを使っていると回答した(11年の調査では23%だった)。

 

至近距離の信号は強い  <ヘビーユーザーはリスクが高い>

・・・・・

癌を引き起こす携帯電話の電磁波と、脳または乳癌細胞との相互作用は不明なままだが、保健当局は懸念を抱いている。携帯電話の電磁波は、約35キロ先の基地局に届く強度が必要とされている。つまり、至近距離では信号の強度がかなり高くなるということだ。スマートフォンを耳に付けている場合、電磁波の強度は15センチ離れている場合の1万倍にもなる。

ほとんどのユーザーは携帯電話を耳に押し当てて、つまり脳組織に近い場所で使う。生殖器や消化器に近いウエストポーチやポケットに毎日何時間も入れている。

メール、ネット、SNS でも電磁放射線の被曝は避けられない。電車の中では電磁放射線で互いに串刺しになっている。電磁放射線は目には見えないので、ぎゅうぎゅうの満員電車でも誰も気づかないだけである。一般大衆は、目に見えなければそこには何も存在していないと考えるのだ。

癌と携帯電話の関係をめぐる研究が決定的な答えを出せない理由の1つは、調査の困難さだ。一般に癌はゆっくりと進行するが、携帯電話は普及してから30年程度。実際にはまだ影響が出ていないのかもしれない。さらに明確な結論を出すには、調査対象を広げ、癌の原因として携帯電話を他の原因と切り分ける必要があるが、この作業は極めて困難だ。

・・・・・

学術誌「労働・環境医学」に発表された14年のフランスの研究では、良性・悪性の脳腫瘍を発症した447人と対照群の被験者グループを比較した。その結果、全体的には脳腫瘍と携帯電話との間に関連は認められなかったが、一生のうちに携帯電話を896時間以上使用するヘビーユーザーは腫瘍発症率が高かった。

・・・・・

 

マウス実験で心臓に悪性腫瘍


携帯電話と癌の因果関係はひとまず脇に置き、この種の電磁波が癌性腫瘍を生み出す可能性があるかどうかに焦点を絞った研究もある。米保健福祉省の一部門であるNTP(毒物調査プログラム)の研究者はシカゴのコンクリートの地下室で、携帯電話と同じ無線周波数の電磁波を3000匹以上のラットやマウスに照射した。

この研究の狙いは、携帯電話の電磁波が実験動物の腫瘍を誘発する可能性を調べること――それによって、無害とされる電磁波と細胞との相互作用を生み出す何らかのメカニズムがあるかどうかを確認することだった。

研究者は、一般的な携帯電話ユーザーよりも長時間、電磁波をラットとマウスに照射することにした。電磁波を10分間浴びせた後、10分間の休憩を取るというプロセスを1日9時間続けたのだ。大半の携帯電話のユーザーが浴びるものよりも高い強度の電磁波も照射してみた。最低レベルでも、携帯電話ユーザーの最大許容量にほぼ相当する体重1キロ当たり1.5ワットだ。

米連邦通信委員会(FCC)が定める携帯電話ユーザーの最大許容量は同1.6ワット。このレベルの電磁波は携帯電話が基地局との接続を確立しようとするときにしか発生しない。「通常の通話時に放出されるエネルギーは、この最大許容量よりずっと小さい」と、NTPの上級研究員ジョン・ブッカーは今年の記者会見で言った。

実験動物への照射量を大幅に引き上げるテストも行った。ラットには体重1キロ当たり6ワットまで、マウスには同10ワットまで上げてみた。さらに実験動物の全身、つまり脳、心臓、肝臓、消化器といった全ての臓器に高レベルの電磁波を照射した。

2年間にわたる照射の影響は顕著だった。最も強い電磁波を浴びた雄には浴びていない対照群と比べて6%も多く心臓に悪性腫瘍ができた(理由は不明だが、雌のラットではこうした差は出なかった)。その上、発症する割合は電磁波が強ければ強いほど高くなった。例えば体重1キロ当たりの照射量が1.5ワットだった場合の腫瘍数が4だったのに対し、6ワットでは11だったのだ。つまり、電磁波が大きな発症要因だったことが推定される。

ブッカーは、この結果をそのまま人間に当てはめることはできないと言う。それでも長時間にわたって強い電磁波を浴びると動物の細胞に何かが起こることが示されたのは確かだ。ブッカーは「電磁波を浴びた場合、人間の健康に何らかのリスクを与える可能性があることを、この研究は立証した」と語った。

電磁波の影響を受けた細胞の種類も懸念材料だ。腫瘍ができたのは神経細胞を囲むシュワン細胞だった。実験で腫瘍が発生したのはラットの心臓のシュワン細胞だけだったが、この細胞は携帯電話の電磁波を浴びやすい頭部などの部位を含め、全身に存在する。

  

シュワン細胞への影響

先行する複数の疫学研究では、携帯電話を頻繁に使っているとシュワン細胞に珍しい種類の脳腫瘍が発生する確率が高くなるとの結果が出ている。また、3月にラマツィーニ研究所(イタリア)が学術誌「環境研究」で発表した研究でも、驚くほどNTPの実験と似た結果が出ている。この研究では2448匹のラットに1日に19時間、生まれてから死ぬまで継続して電磁波の照射を行った。すると、最も強い電磁波を浴びた雄のラットで心臓のシュワン細胞に腫瘍が発生する確率が有意に高くなったという。

大学や医薬品メーカーなどの専門家から成る委員会はNTPとラマツィーニ研究所の実験結果を検討し、雄のラットについて「発癌的活動のはっきりした証拠」が示されたとの結論を3月に出した。アメリカ癌協会のオーティス・ブローリー医務部長は「大きな変化をもたらす研究だ」と述べている。

・・・・・


人々を電磁波の害から守るためにどんな規制を設けるべきかはまだ分からないと、ブッカーは言う。携帯電話の電磁波が何らかのメカニズムで癌を引き起こすことは彼も疑っていないが、そのメカニズムを突き止めない限り、携帯電話をどう設計すべきかアドバイスすることは不可能だからだ。来年までに手掛かりを見つけるべく、彼はさらなる研究を続けている。

<既に規制強化を行った国も>

南カリフォルニア大学(USC)医学大学院のガブリエル・ザダ准教授は、正常だが影響を受けやすい細胞を、携帯電話の電磁波が癌細胞に変えてしまうメカニズムを突き止めるための実験方法を模索している。例えば外からの電磁波を遮断した箱に、作動中のスマートフォンとヒトの脳腫瘍の細胞を入れたガラス瓶を置くといったやり方で、細胞の種類別に電磁波の影響を比較検証しようというのだ。

NTPの照射実験の最終結果および新たな安全性に関する勧告はこの秋に出される予定だ。

米政府監査院(GAO)は12年の議会への報告で、携帯電話の使われ方の変化や最新の研究結果、WHOの勧奨などを受けて、携帯電話からの電磁波を浴びる量の基準や、試験を行う際のルールの見直しを求めた。そこでFCCは電磁波の基準見直しの必要性について調査やパブリックコメントの募集を公式に開始。16年までに900件のコメントが集まったというが、現在まで何の対応も取られていない。

 

各国が電磁波を減らすガイドライン

現行のアメリカの携帯電話の安全規制は 「携帯電話の電磁波の人体への害は細胞組織を熱してしまうことによってのみ起きる」 という、今となってはおそらく誤った前提に基づいている。だが米食品医薬品局(FDA)に規制強化の計画はない。NTPの実験結果が公表されたあと、FDAは「現行の安全基準で一般の人々の健康を守るためには十分だと確信している」 との声明を出した。

一方で、アメリカより厳しい規制を設けた国は多い。11年のWHOの勧奨を受けてフランスやドイツ、スイス、インド、イスラエルなど少なくとも8カ国は電磁波を浴びる量を減らすためのガイドラインを発表した。

特にEUでは、“予防原則” の考え方が浸透していて、遺伝子組み換えや電磁波など、環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす仮説上の恐れがある場合、たとえ科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方 が一般市民の常識になっている。

ベルギーとフランス、イスラエルは子供向けの携帯電話の販売を禁止しているほか、子供をターゲットにした携帯電話の宣伝を禁止している国もある。

日本のようにスマホ購入に “学割” が使える国は世界でも稀であろう。

学校の教室のWiFi についてもヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどでは成長期の子供への影響を懸念して、WiFi(無線) から ケーブル接続(有線) に戻す運動 が保護者の中から広がっている。日本では、学校に WiFi が導入されると聞くと、親たちも子供と同じレベルで喜んでいるという情けないありさまである。


アメリカ小児科学会(AAP)は13年、FCCやFDAに対して携帯電話や無線機器に関する基準を見直すように求めた。「子供は小さな大人ではなく、体の大きさのわりに携帯電話の電磁波を含むあらゆる環境からの影響を非常に強く受ける」と、当時のAAP会長トーマス・マキナニーは言った。またAAPは、子供やティーンエージャーの親に対し、携帯電話の使用を制限させるよう呼び掛けている。「携帯電話メーカーは、ユーザーが浴びている電磁波の量が安全なレベルかどうかを保証することはできない」からだ。

アメリカでも “予防原則” に基づいた判断がなされることがある。“予防原則” とは、要するに日本のような “効率優先” や “便利至上主義” という潜在的に危険な傾斜への “歯止め” なのである。

通の日本人には  「なんで WiFi をわざわざ “ケーブル接続” に戻すのか?」

 「なんでわざわざ “不便” なほうを選ぶのか?」  が、とても理解できないであろう。

それほどまでに今日の大多数の日本人の発想は目先の利害や便利さに終始しており、文明人が具えるべき成熟したバランス感覚と、洞察に基づいた危機管理意識に欠けているのである。

<ニューズウィーク誌2018年10月30日号掲載>

 

以上の引用は、ニューズウィークの元記事の3分の2ほどの抜粋である。かなりの分量である。全文訳および原文(英語)は以下でご参照頂きたい。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11205.php

https://www.newsweek.com/2018/07/27/cancer-cellphones-ntp-findings-toxicologists-brain-cancer-us-1024633.html

電磁波問題について、これほど突っ込んだ記事をアメリカの一流週刊誌は書いているのである。

さて翻って、日本ではどうであろうか?過去10数年間において、新聞、テレビ、週刊誌といった日本のマスコミで 「電磁波」 の3文字 が見出しに踊ったことがあっただろうか?あなたは見た記憶があるだろうか?あったらぜひ教えて頂きたい。コメント欄で知らせて頂きたい。

 

電磁波問題とマスコミ (2): 「電磁波」 は日本のマスコミのタブーか?

 

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8 コメント

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すでに・・・ (n)
2018-11-04 17:19:31
電磁波でガンになる記事は何年か前にブログ「宇宙への旅立ち」に書かれていた。アルミホイルのうえに肉を置き四隅にスマホ通電すると肉が焼ける。家の時計がスマートメーターのせいで使い物にならないくらい進むようになってしまった。これから病んで行く人が益々増えることだろう。
 n  さま (ザウルス)
2018-11-04 19:36:32
携帯基地局の半径100mで、かりに2,000人のガン患者が発生したとしても、それ自体は単なる疫学的事実にすぎず、 “相関関係” を示すデータに過ぎません。“因果関係” の “科学的証明” にはなりません。携帯電話会社の主張はまさにこれです。
電磁波がどうやって人体にガンを発生させるかというそのメカニズムを解明することは並大抵なことではありません。
ここで必然的に “時差” が生じます。そして、その時差こそ携帯電話会社や電力会社が稼ぎまくる “猶予期間” なのです。と同時に何も知らない人々が体内にガンのタネを育てる期間なのです。
そして、無知な一般大衆(無脳層)は、「そっかあ、スマホでガンになるって証明されたわけじゃないんだあ」 と安心してスマホを使い続けるのです。
n さんへ (科学は再現性が必須)
2018-11-05 15:07:06
そのアルミ肉焼実験やってみましたか?
再現必須 (n)
2018-11-05 19:54:45
確かに試さないといけませんね。因みに私はガラケーです。
気になる記事 (せいちゃん)
2018-11-15 20:04:13
なかなか気になる記事を発見しました。

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/high-exposure-radio-frequency-radiation-associated-cancer-male-rats

正直自分はスマホを手放す勇気は今のところ持てませんが、ポケットに入れない・迷惑にならない通話はスピーカー通話にするかイヤホンで(Bluetoothでは無い)通話するようにしています。

日本では殆ど(全く?)触れられていませんが、高い周波数放射が人体に良くない事の証明は、どんどん実証されているみたいですね…
せいちゃん さま (ザウルス)
2018-11-16 08:31:16
最新の科学記事のご紹介ありがとうございます。
2G、3Gの携帯電波でもラットにガンが発生したという内容ですが、これからなんと “5G” の時代に突入しようとしています。
“5G” で突っ走っているのはアメリカと日本ですが、アメリカのマスコミでは電磁波批判はふつうにあります。街ぐるみで “5G” を排除する運動も起きています。日本では電磁波批判はマスコミの最大級のタブーになっています。テレビ、新聞、週刊誌も携帯電話会社と総務省にひれ伏しています。
「危険な食品」 は食べなければ済みます。しかし、携帯基地局が林立する街を歩く人間は “電磁放射線” を避けられません。
放射線も出てました (NM)
2019-11-29 01:31:55
ザウルス様 
こちらの記事に関連する記事がありましたので紹介いたします。

ブログ「in deep」の11月26日の記事「ドイツ放射線防護局のデータに見る スマートフォンから放出される放射線量の機種別ランキング」電磁波だけではなく放射線も出てたのですね。癌になって当たり前ですね。

私は2010年に買ったカシオ製の3G耐水耐衝撃最強ガラケーG′s oneをまだ使用しています。機能に問題は無いのですが、最近電池が弱ってきているのでおそらく来年は機種変更しなければならないのが残念です。
NM さま (ザウルス)
2019-11-29 02:33:31
貴重な情報をありがとうございます。
そもそも電磁波は “電磁放射線” ですからね。別種のエネルギーではなく、連続していて、帯域が異なるだけですよね。
それにしても、放射線として検出されたというのは重要なニュースです。

スマホ全盛の陰で、ガラケーをサブとして使う人が結構います。電話機能がメイン、小さい、安いのメリットによって、スマホやタブレットのスキ間に独自のニッチを確立してきているようです。

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