ザウルスの法則

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超音波で自閉症?(9) 書評「超音波と自閉症」すべての妊婦が知るべきこと

2022-08-09 10:00:42 | 電磁波

超音波で自閉症?(9) 書評「超音波と自閉症」すべての妊婦が知るべきこと

「ULTRASOUND AND AUTISM  超音波と自閉症」というこの本のサブタイトルは、「すべての妊婦が知るべきこと」となっている。

Ultrasound and Autism: What Every Pregnant Woman Should Know

日本には同趣旨の本が一切ないので、以下にまず序文だけを訳出し、例によって注をつけた。「書評」は最後に置いた。

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「超音波と自閉症」 序文

 

本書は妊娠期の超音波についての安全幻想を払しょくするために書かれた。超音波検査は、今や生まれてくるほとんどすべての子供の医療経歴において1番最初に起こる出来事になっている。AIUM(米国医療超音波研究所)の助言に反して、超音波検査は、低リスクの妊婦に対しても、医療的必要性もなく繰り返しなされている。

赤ちゃんを持つことになるほとんどの両親は、胎児超音波が決して安全ではないことを知らない。胎児超音波のリスクは彼らに説明されることはない。過去40年間、胎児超音波の使用は指数関数的に増加しており、それと並行して毎年、世界的な自閉症の有病率も増加している。自閉症のさまざまな形態は「ASD(自閉症スペクトラム障害)」とまとめて呼ばれるが、胎児の脳の発達異常が原因である。

 

超音波のビームが胎児の組織を通過する際に引き起こす加熱作用や他の有害な作用は、活発に細胞分裂をしている胎児の脳にはとりわけ傷害や損傷を与える。

科学論文の世界では、超音波についての既存の安全対策が胎児を保護するには不十分であることは常識である。本書では、そうした非の打ちどころのない科学論文から引用をしつつ、 1) 胎児超音波のリスクを正しく述べ、 2) 手当たり次第の過剰な超音波検査が自閉症スペクトラム障害の爆発的増加の原因であることを示す証拠を提示する。

 

過去25年以上に及ぶ自閉症児の着実な増加は、世界的な流行と認識されている。米国政府は、議会での報告において、米国における自閉症の有病率は1995年から 2005年までで 500% の増加であったことを明らかにした。1991年、米国教育省は、学校における自閉症に関するデータの収集を開始した。CDC(米国疾病予防対策センター)は2000年以降、自閉症有病率に関する報告書を公開している。その2014年の報告書によれば、米国の子供の68人に1人が 自閉症(ASD) である。

ASD(自閉症スペクトラム障害) の一部は遺伝的要因に帰せられることがある。しかし、遺伝的欠陥というものは、その本性上集団発生するものではない。筆者や他の科学者たちの考えでは、今日のとどまるところを知らない自閉症(ASD)の増加は、出生前の子供の環境の変化によるところが大きい。胎児の脳の発達を改変するような何かが、子宮の防護を侵しているのである。

 

自閉症(ASD)有病率の上昇と胎児超音波の普及率の上昇との平行性は、科学論文の世界では10年以上にわたって論じられてきている。超音波の照射中に胎児の鮮明な画像が得られる超音波機器の登場によって、胎児超音波の導入は1975年には世界的規模になった。科学者たちは、この強力なエネルギーが胎児の神経系に対して有害であることを繰り返し警告してきた。1992年に米国FDA(食品医薬品局)は、胎児に照射される超音波の最大強度を、それまでのほぼ8倍のレベルに引き上げることを許可した。(注:FDA は、超音波機器の性能を上げたい医療機器メーカーからの圧力に屈した)

 

複数の国際的な超音波安全組織の警告にもかかわらず、数十年にわたり、超音波の使用頻度は上昇し続け、強度(出力)も増大し続け、さらに妊娠のより早い時期(注:胎児以前の、より脆弱で損傷を受けやすい胎芽の段階)にも照射されるようになってきた。自閉症(ASD)の集団的発生という事実そのものが、胎児超音波によって引き起こされた有害事象は今までに観察されていないという空疎な主張を論破している。

 

本書は、多くの科学論文を引用しながら、今日の自閉症(ASD)が超音波照射の結果であることを、統計的、実験的証拠を基に証明する。自閉症(ASD)は、米国政府機関が追跡した23年間、一貫して増加し続けている。自閉症は、1943年にジョンホプキンス大学の児童精神分析医の Leo Kanner により稀な症候群として初めて厳密な研究対象となり、それ以前は、1つのはっきりとした障害としては認識されていなかった。 1946から1964年のベビーブーム以前には、自閉症は1万人のうち3人に見られると思われていた。商品化された超音波機器が1970年代半ばに登場して以来、自閉症や関連した神経学的障害(ASD)の有病率は着実に増加の一途をたどった。米国CDC によれば、2000年では150人の米国の子供のうち1人であったが、2014年では68人に1人となった。これに先立つ同じく CDC の異なる方法による調査では、50人の子供のうち1人と報告している。(注:2021年では、45人に1人になっている)

 

自閉症(ASD)の増大は、胎児超音波の使用の増大と軌を一にしており、胎児超音波の使用は今や多くの国々で標準的になっている。米国での毎年400万件の出産の、実質的にすべてのケースで、母親は超音波検査を少なくとも1回、平均すれば4回か5回は受けている。このような無制限の使用は、安全性についての誤った思い込みを生む結果になった。ある国々では、1回の妊娠期間中の超音波検査の回数は10回にも及ぶ。(注:日本は断トツの14回である。こんな国は他にはない。しかし、日本ではこの数は最低の回数で、実際はこの数を上回っている)しかし、胎児への超音波照射の累積的影響についての研究は一切ない。

 

 

実験室での実験において、今日の妊婦健診の現場での胎児超音波のレベルでは、胎児の損傷を受けやすい器官や胎児以前の胎芽に対して有害となる体温上昇を引き起こしかねないことが証明された。多くの科学者によれば、超音波の扱いに関する現在の安全対策は、超音波照射をコントロールするには不適切であり、安全性の何の保証にもならない。超音波検査が安全かどうかは、オペレーターにかかっているが、複数の調査によって、ほとんどのオペレーターは超音波機器についての知識と訓練において不十分であることが明らかになっている。1957年の産科学的超音波の誕生以来ずっとつきまとってきた安全性についての根源的な懸念を解消すべく、超音波機器の設計者は努力している。

 

よくあるパターンとしては、妊娠した女性は以下のような、安心させる文面のパンフレットを手渡される。「超音波検査は、正しく使われている限り、人間や成長段階の胎児に対して有害事象があったという証拠は、今日に至るまで一件もありません」 とそこには書いてある。この文面の本当の意味は、科学論文の中できちんと説明されている。それの意味するところは、けっきょく以下のことだけである。「調査によってわかったことは、出産の際、もしくはその直後に、肉眼でわかるような明白な異常はありませんでした」 科学者たちは超音波の照射のみに帰せられる影響をまだ認識していない。医師たちは、顕微鏡的な、微妙な(非明白な)、遅発性の影響がある可能性は排除できないとしている。子宮内、もしくは出産時に自閉症を検出できるような生物学的検査も無ければ、物理学的なマーカーも無い。自閉症は、成長過程にある2歳から20歳の子供に典型的に発現して観察される行動上の証拠によって判定できるだけである。そのため、自閉症スペクトラム障害は、微妙(非明白)であり、遅発性であるという医学的定義に該当するものである。

 

胎児超音波のリスクについていかなる立場にあろうとも、医師も、科学者も、超音波安全性組織もみな、非医学的な目的での胎児超音波に対しては立場を超え結束して反対している。(注:ただでさえ胎児超音波検査の回数が世界で断トツの14回の日本では、さらにそれに上乗せして、非医療的胎児超音波である娯楽の4Dエコーを、医者が医療ではなく「娯楽ビジネス」として提供して金儲けしている。それを厚生労働省は一貫して放置している)2009年に「EFSUMB 医学と生物学における超音波のための欧州組織連合」は以下の声明を公表した。

 

リアルタイムの3D超音波画像の技術的進歩のせいで、親たちが胎児の記念動画を求めるようになった。それも時には妊娠期間中の複数の段階での動画である。・・・ 映りのいい場面を提供するために、超音波の照射が長引くことは珍しくない。・・・ 発達段階の胎児や胎芽に対する超音波の照射が及ぼしうる微妙な影響についての情報は今日非常に乏しい。発達中の胎児の脳への影響の可能性についてもほとんどわかっていない。

 

 

胎児の「記念」画像に対して FDA が警告

 

超音波はエネルギーの一形態であり、実験調査によれば、低レベルであっても、胎児の組織に物理的な影響を及ぼすことがわかっている。具体的には衝撃的振動と加熱作用である。こうした物理的な影響が胎児に対して有害であることをはっきり示す証拠は存在しない。しかし、こうした物理的な影響が存在するという事実自体が、胎児超音波が全く無害であるとは言えないことを意味する。

超音波の画像化のテクノロジーが進歩するにつれて(注:必然的に出力は高くなり)、さらに多くの妊婦や家族が、胎児の記念動画や記念画像を求めるようになる。こうした画像や動画を提供する医師も含めたオペレーターが十分に訓練を積んでいない可能性がある。(注:安全管理におけるヒューマンエラーが常態化している可能性)また超音波の照射時間は、通常の医療的な状況での所要時間を超える長さになり、さらに(注:妊婦と家族を喜ばせるためにより鮮明な画像を提供しようとして)超音波の出力自体も高くなる可能性がある。・・・ 胎児観察のために FDA が規定する時間を超えた長さの超音波照射は、妊婦と発達中の胎児の健康にとって潜在的なリスクとなりかねない。

 

 

 

 

(注:「FDA による警告」に関しては、以前の記事「超音波で自閉症?(6)でも取り上げたが、あちらは2014年の警告」であった。今回出てきたのは2004年の警告」であり、10年の開きがある。実は、米国 FDA は、この2つ以外にも繰り返し同様の警告を発している。FDA によるこうした再三の警告がなかったら、おそらく米国の自閉症の有病率はもっと高くなっていたことだろう。翻って、厚生労働省の「放置主義」と「無策ぶり」のために日本ではどれだけ余計に自閉症児が生まれてきたことか)

 

医師も科学者も、妥当な医療的適応性のない胎児超音波は避けるべきという理由を複数挙げる。

  • 超音波は胎児の組織の温度上昇を引き起こす。これは音エネルギーの熱エネルギーへの変換という物理的現象の結果である。胎芽や胎児の発達中の組織は、熱による損傷をとりわけ受けやすく、その影響は深刻な結果をもたらしうるということは、科学的に証明された事実である。

 

  • 医師も科学者も同意見である点の1つは、胎児超音波の照射は ALARA 原則に則ったものであるべきだという点である。(As Low As Reasonably Achievable:合理的に実現できる限りに低レベルで)こういう指針があること自体が、胎児に対するリスクの存在を示している。しかし、ALARA 原則は不正確であり、以下のように定式化するのが望ましい。

 

より適確な情報が得られるまでの、産科超音波の使用のための慎重なガイドライン: 胎児超音波によって診断上必要な情報を得るには、可能な限り最小限の照射(出力と照射時間)によること。

 

  • 診断用の超音波機器は生体にダメージを与えることはないと、長らく思われてきた。この思い込みは、今日の研究調査の結果によっては裏付けられない。われわれの調査研究によれば、超音波の人間へのリスクは、かつて思われていたよりも大きい。

 

 

主要な超音波安全組織が以下の指示を発令した。

 胎児超音波の照射は妥当な医療的適応による場合にのみなされるべきである。医療的適応無しに、単に胎児を見るため、胎児の画像を得るため、胎児の性別を確認するためだけに超音波を使うことは、不適切であり、医療的実践としては無責任である。(注:同じことが「4Dエコー」などと称して、日本の津々浦々の産科病院では日常茶飯事で行われている)

 

 超音波は、超音波の臨床的使用と生物学的影響について最新の知識と訓練を有している健康専門家によってのみ使用されるべきである。

 

 超音波安全組織と米国 FDA は、記念画像や記念動画を得る目的のためだけに胎児を超音波にさらすことに対して警告を発している。(注:世界で最も過剰に胎児超音波をしている国は疑いなく日本である。しかし、当の日本の厚労省にはこうした海外での警告は馬耳東風であった。そして国民は何も知らずにいる)

 

胎児超音波の安全性は、最近出版され、公衆の手の届く複数の書籍の中でも公然と問題視されている。2012年版の「医療的診断における超音波の安全な使用」は、超音波の物理と安全性についての複数の世界的な専門家によって書かれている。同書は万人に読まれるようにと無料でダウンロードできる電子書籍である。「超音波:医療的応用、生物学的影響、潜在的危険性」は、国際的な専門家チームによって書かれ1987年に刊行された書籍の、2013年の再版である。

 

妊婦の皆さんは、胎児を超音波にさらすリスクには多くの要因があることを知っておくべきである。

1) 妊娠の段階、 

2) 超音波ビームの強度(出力)、 

3) プローブ滞留時間(プローブが留まっている時間)、 

4) プローブが狙う胎児の組織の脆弱性、 

5) 1回のセッションにおける超音波照射量の累積的作用、 

6) 使用される超音波機器の定期的メンテナンス状態、 

7) 言わずもがなではあるが、オペレーターの技能のレベルと、安全性についての意識のレベル、 

以上がそのリストである。

 

これらのどの1つを取っても、安全ですと保証できるものはない。今日でも、1回の超音波検査での超音波の照射量を計測する標準的な計測方法は存在しない。プローブ滞留時間を正確に計測する方法も無ければ、プローブによって胎児の組織の温度が実際にどれだけ上昇するかを計測する方法も無い。業務用に使用している超音波機器を定期的に点検している診療所はほとんどない。Jacques S. Abramowicz 医学博士は、AIUM (米国超音波医療研究所)の生物的作用委員会のメンバーであるだけでなく、WFUMB (医療と生物学の超音波世界連合の中の生物的作用と安全性委員会の会長も務めるが、「超音波機器のオペレーターの知識の無さにはいつも愕然とさせられる」と語っている。

 

科学論文ではしばしば、超音波の調査研究は、医療現場での超音波検査の実態に追いつかないと言われる。1990年代の初め以来、胎児超音波は着実にその出力を上げてきているが、その上がり続ける出力での照射の安全性を裏付ける何の証拠も提示されていない。本書で引用する研究が示すように、超音波は脳に損傷を与える恐れがあり、それが後に自閉症スペクトラム障害のバリエーションとして発現する可能性がある。ALARA の原則は、「患者に害をなすなかれ」 という医術の第一原則に準拠しようとするものである。われわれには、生まれてくる子供を守る義務がある。X線のように厳重な管理下に置かれなければならない非電離的な放射線の一種である超音波に、胎児を不必要に曝露することの無いように保護する義務がわれわれにはある。

 

---------------------------------------- 翻 訳 お わ り ----------以下、書 評 --------------------------------------

 

ここに訳出した「序文」は9ページ分であるが、本書の全体のページ数は引用文献索引を入れて97ページである。100ページにも満たない小著ではあるが、超音波と自閉症というテーマについての本質的な問題点をきちんと整理して提示している。

特に超音波の危険性については長年多くの科学者がさまざまな切り口で指摘してきている歴史に驚かされる。良心的な科学者がこれほどまでにさまざまな証拠を挙げて警告しているのに、むしろ産科医療ではますます超音波機器を濫用し、超音波機器の性能向上につれて超音波の出力も上がり、胎児が浴びる超音波照射の絶対量は増大するばかりだ。

なぜなのだ?  なぜそんな不合理なことがいつまでも続くのだ?  なぜ少しも是正されないのだ?

お答えしよう。

けっきょく、胎児超音波の「安全性の問題」は、実は少しも「科学の問題」ではないからだ。

「超音波は無害で安全です」という言説は、「医師と病院からなる医療体制」「超音波機器を製造販売する業界」が自分たちの「利権保護」のために繰り返している、単なる「大衆を騙すプロパガンダ」 なのである。

単に「自分たちの利権を守るためのプロパガンダ」なのであって、そもそも「科学的な根拠のある説明」ではないのだ。科学のフリをしているだけなのだ。

 

「医療体制と産業」の繁栄のために「患者や国民」がいつまでも騙されて食い物になるというゆるぎない構造がすでに出来上がっているのである。

そして、その構造をさらに強化し、さらに延命するために「体制派の科学者」が「超音波安全論」を新たな詭弁によってアップデートし、「超音波危険論」に対しては100%完璧な証拠を要求しつつ攻撃しているのである。

かつてタバコ産業がそうであった。

電磁波の元凶である携帯電話会社や電力会社も、そしてもちろん製薬会社、ワクチンメーカーも、今日のそうした「既得利権勢力」である。

 

実態は全然「科学問題」ではなく、金と権力にまみれた「利権問題」であり、「損得問題」なのだ。利権を死守する勢力が金を使って自分たちに不都合な真実を卑劣な手口で潰そうとしているだけなのである。

 

世の中の社会的な問題が科学の土俵で論じられると、いつだって危険性主張派と体制側の楽観派とが「伯仲」しているような印象を受けるものだ。「うーん、どちらの言い分もそれなりに説得力があるかなー」と。(^-^)  実はほとんどの場合、科学的にはほぼ白黒はついているのだ。それが伯仲しているように見えるのは、利権死守側が不正な手を使って押し返しているからなのだ。

 

自分たちの利権構造を何とか温存して、いくらでも騙せる大衆を食い物にし続けるというのが、現代の資本主義的な支配構造なのである。

 

客観的で科学的で論理的な議論を重ねていけば、おのずから真実が明らかになると思ったら、大間違いなのだ

「既得利権勢力」は、自分たちにとって不都合な真実を潰すためにはいくらでも金を注ぎ込むのである。

ただ、現代でも「科学」はいちおう「客観的な価値基準」と見なされているので、既得利権勢力は、表向きは「科学」を装って自分たちの都合のいいような理論を集めて理論武装しているのだ。その「理論武装」は、もちろん自分たちの「既得利権」を守るためである。客観的な真実を明らかにするためではないのだ。

 

この視点を持たない限り、いつまで経っても世の中の真実は見えてこないだろう。

 

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