いつも山吹の花を見ると、山吹=道灌になる。子供の頃、母が本を読み聞かせてくれた『七重八重…』を思い出すからです。太田道灌が狩りで雨に遭い、みすぼらしい民家に蓑を借りようと立ち寄った時、年端も行かぬ少女が黙って差し出した山吹に、花が欲しいのではないと怒った。話を聞いた家臣は「蓑」一つない貧しさを、この歌から山吹の「実の」ないのに例えたのではないでしょうかと言った。道灌は驚き己の不明を恥じて以後、歌道に励むようになった…という(真偽の程は別として)有名な話です。本の挿絵も憶えています。あの本に会いたいな。