北海道新聞 2020年2月22日付記事
「先駆者たちが語る“北海道再興戦略”~七光星に輝きを―新・北海道考より―」
https://www.hokkaido-np.co.jp/shichikosei/article2020022203
「合言葉はピンチャンだ」-。
道内出身の人気お笑いコンビのタカアンドトシさんは、
人口減少時代に直面する北海道のピンチをチャンスに変えようと道民にエールを送った。
少子高齢化や経済の先細りが進むなか、危機をどう乗り切り、この地を輝かせていけばいいのか。
さまざまな分野で活躍し、影響力を持つ人たちの言葉からヒントを探る。
■最高のフルパッケージ
「最高の食材、自然、空気をフルパッケージで得られる場所は、世界で北海道しかない」。
シンガポールを拠点に各国で投資を手掛けるチャータードグループのエヤル・アグモニ会長は断言する。
リップサービスではない。
約400億円を投じて後志管内ニセコ町に最上級ブランドホテル「アマン」の建設計画を進めているのが証左だ。
アジア目線で見た時に「時差がほとんどなく、差別を感じることもない」という
欧州リゾートには打ち出せない魅力も投資の決め手になったと明かす。
■ニセコの価値は落ちない
北海道の一大産業の観光は外的要因に左右されやすい。
それでも「ニセコは世界中の人のステータスになり、大きな災害でもない限り価値は落ちない。
(道内他地域は)ニセコとコラボレーションすれば勝ち組になれる」とし、
周辺国を中心に訪問客は今後も増え続けると確信する。
張 相律 氏 (プレミアム北海道社長)
豊かな食、 広大な自然、 美しい景観。
いずれも北海道の代名詞のように繰り返し言われてきた地域資源だ。
しかし、いまだに活性化の「可能性」として語られ続ける事実は、
圧倒的な強さを持つこれらの資源が十分に生かされていないことの裏返しとも言える。
■道民はすごいと思ってないが
中国人富裕層向け旅行代理店プレミアム北海道(札幌)の張相律社長(49)は
「100ある魅力を30~50くらいで見せている。
きれいな水や空気は簡単に手に入らないのに、道民はすごいと思っていない」ともどかしさを募らせる。
函館で科学イベントを通じた地域おこしを手掛ける公立はこだて未来大の美馬のゆり教授(59)は
「北海道の将来像を描いている人が少なく、いてもバラバラに行動している」と指摘する。
■「地域格差の放置は大人の責任放棄」
豊富温泉(宗谷管内豊富町)の川島旅館おかみの松本美穂さん(43)は、
都市と地方の格差が一向に埋まらない現状に危機感を抱く。
「地域格差を当たり前とするのは大人の責任放棄だ」。
そんな思いから、地元産牛乳を使った乳製品を相次ぎ開発・販売するなど地場食材の付加価値向上に取り組む。
北大と連携して入院患者向けのアイスも作った。
「豊富町だけではなく広いエリアで地域振興を考えれば、もっと魅力は増すはず」
日本総合研究所(東京)の寺島実郎会長(72)=空知管内沼田町出身=は
「北海道をどうしていくか、もっと危機感を持って道民自ら知恵を出すべきだ」とし、
道内ゆかりの人含め、地域単位の取り組みに多くの人が主体的に関わることが重要だと提言する。
一つのモデルケースとなるのが、コンビニ道内最大手セコマ(札幌)の取り組みだ。
留萌管内初山別村のハスカップなど隠れた特産品を原料に使った新商品を開発し、
自社店舗だけでなく道外の小売り事業者にも販売。
食材の知名度向上や生産拡大などの好循環を生み出した。
丸谷智保社長(65)は「道内には発掘するべき材料がある。
生かせるものを使って産業を興していくべきだ」 と話す。
■目指すはほどほどの過疎
上川管内東川町の松岡市郎町長(69)は、過疎を逆手にとったまちづくりに地域再生の光明があると考えている。
「東京は開発の余地が少なく、建物を上に伸ばすしかない。
今後発展するのは道内のように余白のあるところだ」
目指す姿はほどほどの過疎を示す「適疎」。
公営住宅近くに整備する緑地や公園をあえて広めにするなど都市部との差別化を意識したまちづくりを進めた結果、
子育て世代の家族の移住が相次ぎ、20年間で人口は約1割増えた。
■「全てを守る」から脱却を
過疎集落のあり方を研究した「撤退の農村計画」の編著者で金沢大の林直樹准教授(47)も
「人口を増やせというのではなく、減っても大丈夫な姿も描くべきだ」とし、
余裕のあるうちに土地の管理方法などを含めた将来像を地域で話し合ってほしいと訴える。
著書で撤退と銘打っているが、本質は再構築だ。
「地域の何を守り、何を諦めるか優先順位をつけた方がいい。
全て守るという考えで漫然と行動していると、コミュニティーが四散し、土地も荒れることになる」
劇的な人口増加は現実的に難しい。
地域の経済基盤を強くするのも、生活環境を守るのも、マイナスをプラスにとらえるような発想で取り組む必要がありそうだ。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
同じく北海道新聞 「七光星に輝きを~新・北海道考」より
「札幌一極集中を止めよ」 ~北大・遠藤教授と考える人口減対策
https://www.hokkaido-np.co.jp/shichikosei/article2020022204
長文のため抜粋で掲載します。
「札幌一極集中がさらに顕著になり、インフラ維持が難しくなる自治体も相次ぐだろう」。
遠藤教授は、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計を踏まえた2045年の北海道の姿をそう予測する。
「都市化は少子化を招く。
札幌一極集中が止まらない限り、出生率も上向かない」
遠藤教授は「国の施策は失敗だった」と明言。
「既に来ている外国人労働者をきちんと移民と認め、その定着を促進してはどうか」とし、
国家戦略特区の枠組みなどを活用した道内への移民促進策を提案する。
道内と同様に1次産業やその関連産業を重視するフランスやイタリアの
「田舎のマネジメント」の仕方も参考になるといい、
「『国土保全は人口保全』という考え方に立ち、国が地方に対し、雇用を生むための手厚い予算配分をしている」
と強調する。
こうした政策実現の鍵を握るのは、地方の主体性。
遠藤教授は「道も札幌一極集中を是正する効果的な対策を講じてこなかった」と指摘した上で、
「国が金と権限を握っている以上は限界があることも否めない。
地方が自らの頭で考え、独自の施策を打てる環境が必要だ」 と話す。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
スペースの都合上省略しますが、コミック「銀の匙 Silver Spoon」が完結した。
(さんざん待たせやがって……「四季の巻」以降性格が変わってブラックコメディ色が強くなったのも残念)
その最終回、なんと元エゾノーの駒場一郎は農業の夢を日本でなく、ロシアで実現させていたのに驚いた。
八軒の兄がロシア人女性と結婚した展開から、繋がる可能性はあったが。
やはり自民党が選挙のたびに公約してきた「東京追従、東京とのパイプ的政策」や
「高度経済成長期へのノスタルジー政策」が今、
このような「札幌一極集中&全道過疎化」の結果を生んでしまった事を自覚すべきだろう。
何度でも言うが、その最たるものが整備新幹線だ。
札幌まで新幹線ができても、旭川と釧路以北・以東に鉄路がなくなる可能性も目に見えてきた。
何度でも言う。
東京~札幌間鉄道、および青函トンネルも「新幹線ファースト」でなく、「在来線貨物輸送」を優先すべきだし、
そのためにこの区間の完全電化を優先すべきだろう (次世代型サンライズエクスプレスのおまけもあり得る)。
そして、道東をミサイル射程に入れている 火事場泥棒の国 から国土を守るためにも、
宗谷線・根室線・釧網線の鉄道を守る必要がある。
「東京発」の物差しではなく、自然と風土を活かす北欧の視点を形にしなければ。
格差が拡大してしまったアメリカ志向から、北欧型の「雇用政策」にしなければ。
そのためにも、新千歳空港からヨーロッパ&カナダへの直通便と、
国際的視点の持てるリーダーの農林業法人や観光業を育てることは欠かせないだろう。
(ニセコのように)
もちろんそれは、東京&自動車工場城下町とは別の意味で日英「バイリンガル」化は自明の理となるが。
そうでなければ、水・森・土地といった北海道の「土台」そのものも「人」も失われる一方なのかもしれない。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
2020年2月23日付訪問者数:285名様
お付き合いいただきありがとうございました。
(コワイコワイコワイ)
「先駆者たちが語る“北海道再興戦略”~七光星に輝きを―新・北海道考より―」
https://www.hokkaido-np.co.jp/shichikosei/article2020022203
「合言葉はピンチャンだ」-。
道内出身の人気お笑いコンビのタカアンドトシさんは、
人口減少時代に直面する北海道のピンチをチャンスに変えようと道民にエールを送った。
少子高齢化や経済の先細りが進むなか、危機をどう乗り切り、この地を輝かせていけばいいのか。
さまざまな分野で活躍し、影響力を持つ人たちの言葉からヒントを探る。
■最高のフルパッケージ
「最高の食材、自然、空気をフルパッケージで得られる場所は、世界で北海道しかない」。
シンガポールを拠点に各国で投資を手掛けるチャータードグループのエヤル・アグモニ会長は断言する。
リップサービスではない。
約400億円を投じて後志管内ニセコ町に最上級ブランドホテル「アマン」の建設計画を進めているのが証左だ。
アジア目線で見た時に「時差がほとんどなく、差別を感じることもない」という
欧州リゾートには打ち出せない魅力も投資の決め手になったと明かす。
■ニセコの価値は落ちない
北海道の一大産業の観光は外的要因に左右されやすい。
それでも「ニセコは世界中の人のステータスになり、大きな災害でもない限り価値は落ちない。
(道内他地域は)ニセコとコラボレーションすれば勝ち組になれる」とし、
周辺国を中心に訪問客は今後も増え続けると確信する。
張 相律 氏 (プレミアム北海道社長)
豊かな食、 広大な自然、 美しい景観。
いずれも北海道の代名詞のように繰り返し言われてきた地域資源だ。
しかし、いまだに活性化の「可能性」として語られ続ける事実は、
圧倒的な強さを持つこれらの資源が十分に生かされていないことの裏返しとも言える。
■道民はすごいと思ってないが
中国人富裕層向け旅行代理店プレミアム北海道(札幌)の張相律社長(49)は
「100ある魅力を30~50くらいで見せている。
きれいな水や空気は簡単に手に入らないのに、道民はすごいと思っていない」ともどかしさを募らせる。
函館で科学イベントを通じた地域おこしを手掛ける公立はこだて未来大の美馬のゆり教授(59)は
「北海道の将来像を描いている人が少なく、いてもバラバラに行動している」と指摘する。
■「地域格差の放置は大人の責任放棄」
豊富温泉(宗谷管内豊富町)の川島旅館おかみの松本美穂さん(43)は、
都市と地方の格差が一向に埋まらない現状に危機感を抱く。
「地域格差を当たり前とするのは大人の責任放棄だ」。
そんな思いから、地元産牛乳を使った乳製品を相次ぎ開発・販売するなど地場食材の付加価値向上に取り組む。
北大と連携して入院患者向けのアイスも作った。
「豊富町だけではなく広いエリアで地域振興を考えれば、もっと魅力は増すはず」
日本総合研究所(東京)の寺島実郎会長(72)=空知管内沼田町出身=は
「北海道をどうしていくか、もっと危機感を持って道民自ら知恵を出すべきだ」とし、
道内ゆかりの人含め、地域単位の取り組みに多くの人が主体的に関わることが重要だと提言する。
一つのモデルケースとなるのが、コンビニ道内最大手セコマ(札幌)の取り組みだ。
留萌管内初山別村のハスカップなど隠れた特産品を原料に使った新商品を開発し、
自社店舗だけでなく道外の小売り事業者にも販売。
食材の知名度向上や生産拡大などの好循環を生み出した。
丸谷智保社長(65)は「道内には発掘するべき材料がある。
生かせるものを使って産業を興していくべきだ」 と話す。
■目指すはほどほどの過疎
上川管内東川町の松岡市郎町長(69)は、過疎を逆手にとったまちづくりに地域再生の光明があると考えている。
「東京は開発の余地が少なく、建物を上に伸ばすしかない。
今後発展するのは道内のように余白のあるところだ」
目指す姿はほどほどの過疎を示す「適疎」。
公営住宅近くに整備する緑地や公園をあえて広めにするなど都市部との差別化を意識したまちづくりを進めた結果、
子育て世代の家族の移住が相次ぎ、20年間で人口は約1割増えた。
■「全てを守る」から脱却を
過疎集落のあり方を研究した「撤退の農村計画」の編著者で金沢大の林直樹准教授(47)も
「人口を増やせというのではなく、減っても大丈夫な姿も描くべきだ」とし、
余裕のあるうちに土地の管理方法などを含めた将来像を地域で話し合ってほしいと訴える。
著書で撤退と銘打っているが、本質は再構築だ。
「地域の何を守り、何を諦めるか優先順位をつけた方がいい。
全て守るという考えで漫然と行動していると、コミュニティーが四散し、土地も荒れることになる」
劇的な人口増加は現実的に難しい。
地域の経済基盤を強くするのも、生活環境を守るのも、マイナスをプラスにとらえるような発想で取り組む必要がありそうだ。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
同じく北海道新聞 「七光星に輝きを~新・北海道考」より
「札幌一極集中を止めよ」 ~北大・遠藤教授と考える人口減対策
https://www.hokkaido-np.co.jp/shichikosei/article2020022204
長文のため抜粋で掲載します。
「札幌一極集中がさらに顕著になり、インフラ維持が難しくなる自治体も相次ぐだろう」。
遠藤教授は、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計を踏まえた2045年の北海道の姿をそう予測する。
「都市化は少子化を招く。
札幌一極集中が止まらない限り、出生率も上向かない」
遠藤教授は「国の施策は失敗だった」と明言。
「既に来ている外国人労働者をきちんと移民と認め、その定着を促進してはどうか」とし、
国家戦略特区の枠組みなどを活用した道内への移民促進策を提案する。
道内と同様に1次産業やその関連産業を重視するフランスやイタリアの
「田舎のマネジメント」の仕方も参考になるといい、
「『国土保全は人口保全』という考え方に立ち、国が地方に対し、雇用を生むための手厚い予算配分をしている」
と強調する。
こうした政策実現の鍵を握るのは、地方の主体性。
遠藤教授は「道も札幌一極集中を是正する効果的な対策を講じてこなかった」と指摘した上で、
「国が金と権限を握っている以上は限界があることも否めない。
地方が自らの頭で考え、独自の施策を打てる環境が必要だ」 と話す。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
スペースの都合上省略しますが、コミック「銀の匙 Silver Spoon」が完結した。
(さんざん待たせやがって……「四季の巻」以降性格が変わってブラックコメディ色が強くなったのも残念)
その最終回、なんと元エゾノーの駒場一郎は農業の夢を日本でなく、ロシアで実現させていたのに驚いた。
八軒の兄がロシア人女性と結婚した展開から、繋がる可能性はあったが。
やはり自民党が選挙のたびに公約してきた「東京追従、東京とのパイプ的政策」や
「高度経済成長期へのノスタルジー政策」が今、
このような「札幌一極集中&全道過疎化」の結果を生んでしまった事を自覚すべきだろう。
何度でも言うが、その最たるものが整備新幹線だ。
札幌まで新幹線ができても、旭川と釧路以北・以東に鉄路がなくなる可能性も目に見えてきた。
何度でも言う。
東京~札幌間鉄道、および青函トンネルも「新幹線ファースト」でなく、「在来線貨物輸送」を優先すべきだし、
そのためにこの区間の完全電化を優先すべきだろう (次世代型サンライズエクスプレスのおまけもあり得る)。
そして、道東をミサイル射程に入れている 火事場泥棒の国 から国土を守るためにも、
宗谷線・根室線・釧網線の鉄道を守る必要がある。
「東京発」の物差しではなく、自然と風土を活かす北欧の視点を形にしなければ。
格差が拡大してしまったアメリカ志向から、北欧型の「雇用政策」にしなければ。
そのためにも、新千歳空港からヨーロッパ&カナダへの直通便と、
国際的視点の持てるリーダーの農林業法人や観光業を育てることは欠かせないだろう。
(ニセコのように)
もちろんそれは、東京&自動車工場城下町とは別の意味で日英「バイリンガル」化は自明の理となるが。
そうでなければ、水・森・土地といった北海道の「土台」そのものも「人」も失われる一方なのかもしれない。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
2020年2月23日付訪問者数:285名様
お付き合いいただきありがとうございました。
(コワイコワイコワイ)