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音楽大好き男の徒然なる日記

石勝線事故10年 安全と経営両立、JR北海道苦心/北海道新聞記事より

2021-05-30 | 鉄道
北海道新聞 2021年5月28日付記事
「石勝線事故10年 安全と経営両立 JR北海道苦心 「速く安く」脱却/修繕費は膨張」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/548957?rct=n_jrhokkaido


上川管内占冠村のJR石勝線トンネルで起きた特急列車の脱線炎上事故から、5月27日で10年を迎えた。

この事故をきっかけにJR北海道は国から事業改善命令を受け、
その後も相次ぐ不祥事や事故により、安全を最優先する方針に大きくかじを切った。
一方で膨らみ続ける安全投資は経営を圧迫。
事故後に入社した社員も増える中、当時の記憶を風化させないことも課題となる。

「安全再生の取り組みは道半ばだが、安全最優先(の意識)は現場の社員一人一人まで徹底している」。
JRの島田修社長は今月19日の定例会見で事故後の同社の変化について問われ、こう力を込めた。

事故は2011年5月27日午後9時55分ごろ起きた。

釧路発札幌行き特急スーパーおおぞらが脱線し、
第1ニニウトンネル(685メートル)内で炎上、
乗客乗員252人のうち79人が煙を吸い軽傷を負った。
整備不良の車輪から部品が脱落して脱線、燃料タンクに当たり火災が起きたとみられる。

■整備基準厳格化

10年ほど前、JRの最優先事項は「いかに速く、安く運べるか」だった。
JR関係者は「都市間バスとの競争が激化する中、客をつなぎ留めるのに必死。安全は二の次だった」
と振り返る。
当時気動車としては異例の最高時速130キロを採用。
速度を上げるほど車両や線路の傷みが激しくなるにもかかわらず、
収益を重視するあまり、整備時間やコストを最小限にとどめようとする悪習が定着した。

その結果、
石勝線事故の後も貨物列車の脱線や特急列車が走行中に出火するなどの事故が相次ぎ、
2013年にはレールの検査データを常態的に改ざんしていた問題も発覚。
国からJR会社法に基づく初の行政処分「監督命令」が出された。

それを受けJRは、2014年度からの「5年計画」で
「安全投資と修繕を最優先する」と明記した。
車両の整備基準を厳格化するなどの基本方針をつくり、
2017年に札幌市内に完成した新しい研修センターには石勝線の事故車両を展示。
事故を風化させないよう社員教育も充実させた。

有識者でつくるJR北海道安全アドバイザー会議のメンバーで、北海学園大の上浦正樹名誉教授も
「JRは事故の記憶を風化させない取り組みを続けており、安全最優先の社風は定着してきている」と評価する。

ただ、地方の不採算路線を多く抱えるJRにとって、
安全対策コストの確保は国の支援があっても容易ではない。
安全対策が大半を占める修繕費や設備投資は右肩上がりで増加し、
2020年度の修繕費は363億円と、2011年度の1.6倍に増加。

本業のもうけを示す営業損益の赤字額はコロナ禍が本格化する前の2019年度でも521億円と、
2011年度(307億円)から200億円以上拡大した。


■路線見直し加速

経営状況の急速な悪化を背景に、利用の少ない路線の見直しも加速した。
2016年には「JR単独では維持が困難」とする10路線13区間を発表。
JR幹部は「安全投資を削ってごまかしながら維持していたのができなくなった」と話す。

JRは石勝線の事故を機に道内の特急列車の減速運転を実施。
最高時速を120キロに制限したまま今も戻しておらず、
例えば、「札幌~函館間」は、事故前の最速2時間59分から3時間29分へ30分遅くなった。
安全を最優先した結果、遅延や運休も増加傾向にある。

事故から10年を迎えたJRは安全を第一に確保しつつ、
乗客の利便性向上と経営難からの脱却という難題に直面している。
(文章執筆:堀田昭一、徳永仁 両氏)

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■教訓継承なお課題 続く大量退職、「緩み」懸念も

JR石勝線トンネルでの事故から10年がすぎ、
JR北海道では当時を知らない社員が半数近くを占めるようになった。

JRは社員教育に力を入れるが、社員からは危機感の薄れを懸念する声も。
経営難などから社員の大量退職も続いており、安全風土の定着と次世代への継承はなお途上だ。

「事故前は検査や機材が必要でも経費節減で言い出しにくかった。
今は必要な対策を職場で言える」。
50代の男性社員は事故前後の会社の変化をこう語る。
事故後に入社した20代の男性社員も、
新入社員研修などで実際の火災車両を見学し事故の問題点も学んだ。
先輩社員が「事故直後はJR社員と名乗るのも恥ずかしかった」と話していたのを今も忘れられないという。

事故の教訓や安全意識を引き継ぐ難しさを感じている社員もいる。
JRの昨年度の中途退職者は過去最多の183人。
給与の低さなどが要因で、ベテラン社員は「若手に安全教育を行っても定着しない」と嘆く。

今年3月には後志管内仁木町の踏切でJRの作業ミスから、
車や歩行者の立ち入りを防ぐ遮断棒などがない状態で列車が通過するトラブルが発生。
40代の中堅社員は「緩みが出ている」と心配する。
JR北労組の昆弘美委員長は「若手が将来展望をもって働けるよう労使で議論していきたい」と話す。
(文章執筆:石垣総静 氏)

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自分もあの頃の不祥事はよく覚えている。
あってはならない事が頻発し、挙句当時のJR北海道の社長が自死するにまで至った。
はたから見ていても痛々しい出来事だった。

では、あれからJR北海道は何か変わったか?
安全意識はもちろん必要だが、
安全以上に、不採算を「切り捨てる」から「活かす」発想にはどうか?


ひいき目に見ても、海岸線を走っていた日高線と
当時「1日1往復」しか来ない浦臼以北の札沼線の廃止はやむを得なかった、かもしれない。
現在は文字通り「学園都市線」部分しか残っていないが。

そして、多くの住民が無料で通行できる高速道路に依存してしまった
留萌線の廃止も、時間の問題かもしれない。

しかし、根室線富良野~新得間だけは
「話が別」だ。
稚内・旭川の「道北」と帯広・釧路の「道東」を結ぶ幹線であり、
もはや観光面では価値のない「苫小牧~鵡川間」を潰してでも復旧・運営させる価値があると思います。
道内有数の大都市である旭川~帯広間の速達直通(特別快速)列車に速達宅配便の輸送機能を持たせれば
存在価値は一気に高まる。

問題は、富良野以南の富良野市・南富良野町内の利用者数「だけ」しか見ずに「不採算」を決めつける、
JR北海道本部の意固地さにある。
柔軟な発想を生み出せない腐った精神なんかで函館北斗以北の北海道新幹線など強引に建設しても
そっちの採算性こそ疑問であり、
かえって函館~小樽間の在来線を危険にさらす事になりはしないか?


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言いたいことはまだある。
北海道新聞 2021年4月30日付記事
「道新幹線札幌延伸〔事業評価前倒しを〕 財務省が提言 工事費膨張、開業遅れ懸念」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/539427?rct=n_jrhokkaido

財務省は4月30日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会会合で、
2030年度末に予定される北海道新幹線札幌延伸の工事に関し、
来年度に計画されていた事業評価を本年度に前倒しして行うよう提言した。
資材価格の上昇やトンネル工事の遅れにより、
2011年時点で1兆6700億円と試算された事業費が膨らむ懸念が強まり、
開業が遅れる可能性も指摘されているため。


2012年に着工した「新函館北斗~札幌間」は、区間の8割を占めるトンネルの工事で大量の要対策土(汚染土)が出る。
ただ、多くは受け入れ先が決まらず、工期や工法の見直しが必要になる可能性も出ている。

また、新幹線工事では資材価格の高騰による事業費の上振れが相次いでいる。
北陸新幹線「金沢~敦賀間」は、工事の遅れで開業予定が2023年度末に1年延期されたこともあり、
事業費が計画より2658億円増えた。


財務省はこの日の会合で、北海道新幹線でもこうした状況が起きかねないと強調。
建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が予定する事業評価について
「来年度を待つことなく速やかに分析を行うべきだ」 と促した。
(文章執筆:山田崇史 氏)

兆単位の経費を捻出しても「億単位」の赤字は必至。

新幹線のトンネル建設で汚染土は出る。

並行在来線は最悪、函館~小樽間すべてをバス転換にしても「赤字」は必至。

それに伴って、東京~札幌間の物流大動脈(在来線)にまで切断され兼ねないなんて、言語道断だ。


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改めて言わせていただきます。
今のJR北海道に新幹線の運営などとても任せられないし、
このコロナ禍での採算性を考えれば東京~札幌間の直通運転には価値は感じないので
「新青森」で運行形態を分断すべきだと思います。

いや、そもそもコロナ禍が収束するまでは建設工事を「凍結」して、
開業後の在来線を維持運営する手段が確定するまでは「開業期日を延期」すべきではないのか。

さらには、分割で開いてしまった格差を埋めるためにも、
JRは「在来線&貨物」、新幹線&リニアの「高速鉄道」、
そして全国サービス均一化のための「ホールディングス」に再編すべきではないのか。


これなら新幹線に忖度して在来線のダイヤが切り刻まれる悲惨な「在来線問題」は一気に解決するし、
今は西日本だけの「West Express 銀河」のような“旅する楽しさ”を満喫できる企画列車を
全国規模で走らせる事ができる。




ほんとうはここではこういう事は言うべきではないのかもしれない。

でも、「切り棄て⇔縮小」のスパイラル体質に嫌気がさして
職員が大量に辞めてゆくのではないでしょうか。

ならば、まず守るべきは「生活の足」のはずだと思いますが。

「道の駅」が担ってしまった、本来ならば鉄道駅が持つべきだった
「町や地域の顔と、他地域との交友の場」のコミュニティ機能を取り戻すために
コンビニや店舗・カフェやバール・郵便局を駅に取り戻す事も大事じゃないでしょうか。


本当に、札幌圏以外の北海道が元気じゃないと
遊びにいけないじゃないかよ・・・

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2021年5月30日付訪問者数:156名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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