東京新聞 2019年6月23日付社説
「週のはじめに考える アイシアッテルカイ?」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019062302000172.html
ロックスター忌野清志郎。
この世を去って、はや十年。
でも今も、今だからこそ、あのフレーズが聞こえてきそう。
みんな、アイシアッテルカーイ-。
♪何 言ってんだー/ふざけんじゃねぇー/核などいらねえ…。
おなかの底から“絞りたて”とでも言うような少ししゃがれたあの声が、真っすぐこちらへ向かってきます。
伝説のロックバンド、RCサクセションが歌う「ラヴ・ミー・テンダー」。
エルビス・プレスリーの代表曲に、ボーカルの清志郎さんが、日本語の“訳詞”をつけました。
◆原子力は欲しくない
ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、ジョン・レノン…。
洋楽のスタンダードナンバーを訳詞(といっても、ほとんど替え歌ですが)で歌う
「COVERS(カバーズ)」というアルバムの中の一曲です。
例えば、忌野版の「サマータイム・ブルース」(原曲はエディ・コクラン)は、チェルノブイリ原発事故に触発されたという、
あまりにもストレートな反原発ソングです。
♪電力は余ってる/要らねえ/欲しくない/原子力は要らねえ/危ねえ/欲しくない…。
RCサクセション サマータイムブルース〜LOVE ME TENDER
こんな感じのリフレイン(繰り返し)が印象的で、発表当時は「過激」とされたこの歌も、
福島の事故に向き合う今となっては、予言のようにも聞こえます。
「カバーズ」は1988年8月6日の広島原爆の日に発売されるはずでした。
それが突然、中止になりました。
レコード会社に原発の建設を手掛ける親会社への“忖度(そんたく)”があったといわれています。
「素晴(すばら)しすぎて発売出来ません」-。
6月22日付の全国紙に載ったレコード会社の「御知らせ」のこの見出し、今でもはっきり覚えています。
皮肉なことに、それでかえって「聞きたい」という渇望の声が強くなり、
8月15日の終戦記念日に別のレコード会社から、世に出ることになりました。
それから11年ののち、忌野清志郎名義のミニアルバム「冬の十字架」が、またもや、発売中止の憂き目に遭いました。
パンクロック風にアレンジされた「君が代」が収録されていたというのが、その理由。
だれがダメだと言ったのか。
またしても正体不明の“忖度”でした。
◆ウソのない言葉の力
放送も“自粛”される中、忌野版の「君が代」を、清志郎さんいわく「宇宙で初めて」電波にのせたのが、
清志郎さんの友人で、タレントの矢野きよ実さん。
「矢野印(じるし)」という、中部日本放送の夜のラジオ番組でした。
矢野さんは今、こう言います。
「ボス(清志郎さん)は、多くを語りません。
でも、ある瞬間のひと言が、私たちの生きる力になるんです。
ウソのない、壁のない、全部さらけ出しちゃう人だから―。
この時代、この時期に、ボスがいてくれたなら…。 そう思わずには、いられません」
ウソのない彼の言葉は、どこから生まれてくるのでしょうか。
ギタリスト、楽曲の共同制作者などとして最後まで清志郎さんに寄り添った、三宅伸治さんに聞いてみました。
「清志郎さんって“文化人”ではないんです。
感じたことを庶民目線で普通に歌っただけなんです。
“ロックの基本は、ラブ・アンド・ピース(愛と平和)なんだ”と、よく言っていましたが、
原発を歌うにしろ、憲法を語るにしろ、そこへつながっていく話。
愛と平和を大切にしていただけなんです」
そういえば清志郎さん、「瀕死(ひんし)の双六(すごろく)問屋・完全版」という著書に、こんなことを書いています。
“どーだろう、…この国の憲法第9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか?
戦争を放棄して世界の平和のためにがんばるって言ってるんだぜ。
俺たちはジョン・レノンみたいじゃないか。
戦争はやめよう、平和に生きよう…”
忌野清志郎 IMAGINE
◆自分自身のことだから
憲法改正も原発事故も戦争も、ほかならぬ自分自身の問題だから、
あの人は、歌わずには、語らずにはいられなかった-。
翻って、私たちはどうですか。
歌いたい歌を歌ってますか。
理不尽なものに怒ってますか。
忖度ばかりしていませんか。
おかしなことをおかしいと言えますか。
憲法を読んだことがありますか。
投票には行きますか。
日本は世界有数の地震国、福島の事故が怖くはないですか。
「愛と平和」が好きですか…。
“何 言ってんだー”“何 やってんだー”と、あの人に言われなくても済みそうですか。
------------------------------------------------------------------------------
清志郎ぉー!
愛してるぜぇー!!
2019年6月25日付訪問者数:284名様
うそぉーー!!
…お付き合いいただきありがとうございました。
「週のはじめに考える アイシアッテルカイ?」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019062302000172.html
ロックスター忌野清志郎。
この世を去って、はや十年。
でも今も、今だからこそ、あのフレーズが聞こえてきそう。
みんな、アイシアッテルカーイ-。
♪何 言ってんだー/ふざけんじゃねぇー/核などいらねえ…。
おなかの底から“絞りたて”とでも言うような少ししゃがれたあの声が、真っすぐこちらへ向かってきます。
伝説のロックバンド、RCサクセションが歌う「ラヴ・ミー・テンダー」。
エルビス・プレスリーの代表曲に、ボーカルの清志郎さんが、日本語の“訳詞”をつけました。
◆原子力は欲しくない
ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、ジョン・レノン…。
洋楽のスタンダードナンバーを訳詞(といっても、ほとんど替え歌ですが)で歌う
「COVERS(カバーズ)」というアルバムの中の一曲です。
例えば、忌野版の「サマータイム・ブルース」(原曲はエディ・コクラン)は、チェルノブイリ原発事故に触発されたという、
あまりにもストレートな反原発ソングです。
♪電力は余ってる/要らねえ/欲しくない/原子力は要らねえ/危ねえ/欲しくない…。
RCサクセション サマータイムブルース〜LOVE ME TENDER
こんな感じのリフレイン(繰り返し)が印象的で、発表当時は「過激」とされたこの歌も、
福島の事故に向き合う今となっては、予言のようにも聞こえます。
「カバーズ」は1988年8月6日の広島原爆の日に発売されるはずでした。
それが突然、中止になりました。
レコード会社に原発の建設を手掛ける親会社への“忖度(そんたく)”があったといわれています。
「素晴(すばら)しすぎて発売出来ません」-。
6月22日付の全国紙に載ったレコード会社の「御知らせ」のこの見出し、今でもはっきり覚えています。
皮肉なことに、それでかえって「聞きたい」という渇望の声が強くなり、
8月15日の終戦記念日に別のレコード会社から、世に出ることになりました。
それから11年ののち、忌野清志郎名義のミニアルバム「冬の十字架」が、またもや、発売中止の憂き目に遭いました。
パンクロック風にアレンジされた「君が代」が収録されていたというのが、その理由。
だれがダメだと言ったのか。
またしても正体不明の“忖度”でした。
◆ウソのない言葉の力
放送も“自粛”される中、忌野版の「君が代」を、清志郎さんいわく「宇宙で初めて」電波にのせたのが、
清志郎さんの友人で、タレントの矢野きよ実さん。
「矢野印(じるし)」という、中部日本放送の夜のラジオ番組でした。
矢野さんは今、こう言います。
「ボス(清志郎さん)は、多くを語りません。
でも、ある瞬間のひと言が、私たちの生きる力になるんです。
ウソのない、壁のない、全部さらけ出しちゃう人だから―。
この時代、この時期に、ボスがいてくれたなら…。 そう思わずには、いられません」
ウソのない彼の言葉は、どこから生まれてくるのでしょうか。
ギタリスト、楽曲の共同制作者などとして最後まで清志郎さんに寄り添った、三宅伸治さんに聞いてみました。
「清志郎さんって“文化人”ではないんです。
感じたことを庶民目線で普通に歌っただけなんです。
“ロックの基本は、ラブ・アンド・ピース(愛と平和)なんだ”と、よく言っていましたが、
原発を歌うにしろ、憲法を語るにしろ、そこへつながっていく話。
愛と平和を大切にしていただけなんです」
そういえば清志郎さん、「瀕死(ひんし)の双六(すごろく)問屋・完全版」という著書に、こんなことを書いています。
“どーだろう、…この国の憲法第9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか?
戦争を放棄して世界の平和のためにがんばるって言ってるんだぜ。
俺たちはジョン・レノンみたいじゃないか。
戦争はやめよう、平和に生きよう…”
忌野清志郎 IMAGINE
◆自分自身のことだから
憲法改正も原発事故も戦争も、ほかならぬ自分自身の問題だから、
あの人は、歌わずには、語らずにはいられなかった-。
翻って、私たちはどうですか。
歌いたい歌を歌ってますか。
理不尽なものに怒ってますか。
忖度ばかりしていませんか。
おかしなことをおかしいと言えますか。
憲法を読んだことがありますか。
投票には行きますか。
日本は世界有数の地震国、福島の事故が怖くはないですか。
「愛と平和」が好きですか…。
“何 言ってんだー”“何 やってんだー”と、あの人に言われなくても済みそうですか。
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清志郎ぉー!
愛してるぜぇー!!
2019年6月25日付訪問者数:284名様
うそぉーー!!
…お付き合いいただきありがとうございました。