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東芝と日立、何が分けたか(日本経済新聞記事)~JR北海道も同じ穴のムジナ

2021-04-25 | 日記
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では、本日の話題に参ります。
(ボタンの反応が悪い。 ノートパソコンの買い替えが必至に来ているなあ)
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日本経済新聞 2021年4月19日付記事
「東芝と日立、何が分けたか お上から市場へ目線移せず」 日経コメンテーター・梶原誠氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD147IJ0U1A410C2000000/?unlock=1


14日、トップ交代を発表する東芝の記者会見を聞き、
株主との対話でもがいていた2009年の日立製作所を思い出した。

綱川智氏を社長に復帰させた永山治取締役会議長は、
「投資家の信頼が厚い」と同氏を評した。
綱川氏は「株主から同じ目線で経営するよう言われている」と対話に反省すべき点があることを認め、
「社風を変えていく」と語った。


日立も東芝も、2008年のリーマン危機で経営が深刻な逆風にさらされた。
だが、対応は正反対だ。

日立は株主に恥をさらして変わろうとした。
2009年3月期に国内製造業最大となる7873億円の最終赤字を計上。
自己資本を厚くして信用悪化を食い止めようと同年12月、世界の市場で27年ぶりの公募増資に踏み切った。

当時の川村隆社長は、株を買ってくれるよう米国の投資家を説得して回った。
業績のひどさに資料をたたきつけて「日本に帰れ!」と怒鳴られもした。
それでも事業の大幅な入れ替えで収益性を高める計画を最後は信じてもらい、再建資金を手に入れた。

日立は今、グループの「御三家」と呼ばれた日立金属の売却を進める一方で
米IT(情報技術)のグローバルロジックの巨額買収を決め、
株を買ってくれた投資家との約束を着実に進めている。


東芝は損を隠した。
その結果が2015年に発覚した不正会計問題だ。
日立と異なり株式市場の批判は一時的に避けられたが、
改革の機会も逃し、傷はかえって深くなった。
今に続く経営混乱の原点だ。



両社は重電のライバルだったが、「親方日の丸」的な社風は一致していた。
発電、
鉄道、
防衛……。

政府や元国営企業からの安定した収入に支えられた半面、
副作用として決断力の弱さも指摘されてきた。
日立は意思決定の遅さが「日立時間」と呼ばれ、東芝の社風は「お公家さん」と皮肉られた。

だが、目線を「お上」から株式市場に移し、投資家の声に耳を傾けて変わった日立と、
それができずに自慢の技術を生かせなかった東芝の差は大きく開いた。

2009年末以降の株価を見ると、日立は先月末までで3.5倍に上昇したが、東芝は27%安と逆に下げた。

江戸時代から続くお上頼みの風潮は、業界の横並び体質とともに
右肩上がりの経済でこそ効率的に働いた。
ところが低成長に転じて個々の企業の発想力や決断力が問われるようになると、
逆に「日本株式会社」の弱点になった。


株式市場に結果は表れている。
日経平均株価が31年前に最後に3万円台をつけたのは1990年8月2日だ。
日経平均は当時の水準を回復したが、3月末までの業種別日経平均を見ると、
銀行79%安、証券60%安、建設46%安、電力64%安と、規制や公共事業に守られてきた業種は大きく下げた。


アベノミクス以来の株高を支えてきた企業統治改革にも、危うい影が忍び寄る。
「長いものに巻かれろ」ともいえる風潮だ。


統治指針の看板は、従わなくても理由を市場に説明すればよい
「コンプライ・オア・エクスプレイン(従うか、説明せよ)」だ。
お仕着せの指針を超える発想を市場に問い、鍛える。

ところが指針を導入した2015年以来、指針の90%以上に従っている企業の比率はほぼ80%を超えてきた。
「決まりだから守る」と思考を止めたかのようだ。

「コンプライ・アンド・エクスプレイン(従う場合も説明せよ)」を求める声が上がっているのもこのためだ。
例えば英語による開示を促す指針。
従う際も「外国人株主の比率を3年間で10%高めるのが目標なので、英語での開示を拡充する」と説明すれば、
投資家との対話のきっかけになる。

お上の限界を知るのは政府自身でもある。

経済産業省は2月、国家の「アジャイル・ガバナンス(俊敏な統治)」を目指す報告書を識者の議論を基にまとめた。
技術革新で政策も規制もすぐ陳腐化する。
現場を知り、膨大なデータを蓄積する企業こそ先頭を切って社会を変えないとイノベーションは起きないと警告する。
「コンプライ・アンド・エクスプレイン」も、ここでの議論で出たアイデアだ。

そして企業を俊敏に導くのが、最新の情報を日々織り込む株式市場の声にほかならない。
「お上から市場へ」という日立の転換は的を射ていたことになる。


そんな同社も世界では劣勢だ。
多くの投資家にならい、ドイツの同業シーメンスと比べよう。

シーメンスが不採算部門を続々と売却する「選択と集中」で話題を集め出したのは2000年ごろ。
銀行との株の持ち合いを解消し、新たに株主になった外国の投資家が改革圧力を加えた。

この結果、シーメンスの営業利益率は2000年の4%台から直近の8%台まで高まった。
日立も上昇したが、この20年で3度しかシーメンスに勝っていない。
シーメンスの株式時価総額は増加率が60%と日立の28%を大きく上回り、規模も日立の3倍を超えた。

東芝は2009年の日立のように、株主と向き合う腹をくくったのかもしれない。
うるさ型の株主を満足させないと再建は難しい。

そして日立にも日本株式会社にも余裕はない。
シーメンスが水素を燃料とする鉄道車両の開発に参入して話題をさらったように、
世界の企業は「コロナ後」の主導権をすでに争っている。
今変化に手間取ると、気付いたときには取り返しのつかない差がついている。

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「親方日の丸」というところは、JR北海道も同じ問題だ。

整備新幹線開業、いう“馬鹿の一つ覚え”に縛られており、
開業5年目で赤字に陥っているのに、札幌まで開業させればすべてチャラになる、と
まだ本気で思い込んでいる。

じゃあ、なぜ新青森以北の車内販売をしない?
利用者がいないから、じゃないのか?
そんな考えなら、東京~札幌間を直結することだってハッキリ言って「ムダ」だ。
すべての列車運行を新青森駅で分断したほうが、ダイヤ遅延も少ないし、よっぽど経済的だ。

稚内など道北と釧路など道東を結んでいる貴重な「富良野~新得間」を
南富良野町だけの利用者の少なさ “だけ” で廃止に追い込もうと企み、
この区間の活性化・再生策さえ練り直そうともしない。
(少なくとも、観光価値のない「滝川~富良野間」よりも、よっぽど存在価値は高い)

大都市旭川と帯広を直結する速達列車を設ければ、
それにヤマト運輸・佐川急便等の「速達宅配便」も同時に運ぶ使命を持たせれば
飛躍的に価値は高まる。


名寄高校生のために乗客が少なくて価値が少ない「東風連駅」を
高校前まで移転するくらいの発想がやっと持てたのだ。

詳細記事:マイナビニュース(2021.4.18日付)
「JR北海道、東風連駅を移設・改称 - 駅と鉄道の再生へ前向きな解決」
https://news.mynavi.jp/article/railwaynews-273/

その発想の延長戦で、旭川空港や旭山動物園まで支線を建設する発想がなぜ持てない?
その発想の延長戦で、女満別空港前に駅を建設して、なぜ北見とのシャトル便を創れない?


とにかく、JR北海道に足りないのは「損して得取れ」だ。
宝の価値は、なにも札幌圏だけじゃないはずだ。

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