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「鉄路の行方」を考える① 事情変更の原則~混雑する「山線」なぜ廃止(北海道新聞)

2023-10-04 | 鉄道
北海道新聞 2023年10月3日付記事
<「鉄路の行方」を考える>1 事情変更の原則 混雑する「山線」なぜ廃止
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/918750/?ref=top

平日朝7時2分に余市駅を出発し、小樽へ向かう普通列車に乗ってみた。
ホームに長い行列ができ、3両編成の車内は通学する高校生らで満席。
つり革をつかむ立ち客も多い。
この区間を含むJR函館線「長万部~小樽間」、
いわゆる「山線」が2030年度末までに全線廃止・バス転換されるとは信じがたい混雑ぶりだ。

 
JR北海道は、北海道新幹線の札幌延伸が認可された際の沿線自治体との合意に基づいて、
山線を経営から切り離す方針を決めている。
道と小樽市、後志管内余市町が「余市~小樽間」だけでも第三セクター方式で残せないか検討したところ、
道の試算では経営分離後30年間の累計赤字額が206億円。
財政負担に耐えられないとして断念した。
 
簡単に納得できないのは余市町の町民だろう。

余市駅は徒歩圏内にニッカウヰスキー蒸溜所があり、
積丹半島や倶知安方面への観光客が行き来する交通の要衝としても栄えてきた。
駅を中心に形成された中心市街地から駅が消え、
バス停が残るだけとなれば、なんとも寂しい思いをするのではないだろうか。
 
町民の一部は「余市駅を存続する会」を結成し、「余市~小樽間」の路線活用を粘り強く訴えている。
余市観光協会の笹浪淳史会長がトップに就き、
町議も与野党から複数参加するなかなかの勢力だ。

とはいえバス転換へ走りだした行政を立ち止まらせるのは容易ではない。
笹浪会長は「路線廃止・バス転換に向けた検討は始まったが、廃線が正式に決定したわけではない。
それでも道や町の関係者は『すでに決まった事だから』と、この話題は避けたがる」と嘆く。
 

「決まった事」以外の選択肢を一切排除するのは、行政として正しい行動なのか。
筆者はそこに疑問を抱いている。
なぜなら路線廃止方針を決めた昨年3月以降の1年半で、
ローカル線を取り巻く状況は大きく変化したからだ。
 
一つは「2024年問題」。
運転手の残業規制が来年4月に強化されることに伴うドライバー不足は、
当初の想定以上に深刻化した。
運転手を確保できず、減便や路線廃止に踏み切るバス事業者が全国で相次ぎ、
道内も例外では無い。


北海道新聞が7月に行った聞き取り調査では、
今年だけで道内の中規模以上の路線バス事業者20社のうち10社が減便を行ったと回答した。
こうした状況で「余市~小樽間」に運転手を集めれば、道内の他地域が割を食うことになる。
 

鉄道に冷淡だった国の姿勢も変化してきた。
大きいのは支援制度の拡充だ。
地域公共交通活性化再生法が4月に改正されたのに併せて、
地方自治体の公共事業を国が支援する「社会資本整備総合交付金」の対象に
「鉄道の再構築事業」が加わった。

 
この交付金をうまく使えば駅や線路、トンネル、橋、信号などの整備から
車両の購入まで、国から最大50%の補助を受けられる。
鉄道への国の支援を廃した1987年の国鉄改革以来の方針転換だ。
沿線自治体は「国の支援がなければ(山線の存続は)難しい」として苦渋の決断をしたが、
その前提条件が崩れたことになる。

 
加えて新幹線札幌延伸の開業時期が怪しくなってきた。
トンネル工事の大幅な遅れを取り戻すのは難しく、
数年程度の延期は不可避だとの見方が広がっている。

昨年3月に急いで結論を出す必要はあったのだろうか。
 
「事情変更の原則」という言葉がある。
契約時の前提となった事情がその後大きく変化した場合、
契約の解除や改定を認めるという法律用語。
1度決めた方針を改める際の説明にも便利な言葉だ。
 
「事情の変更」を踏まえても廃線方針を変えないというのなら、
その理由を明らかにしてほしい。
いずれにしても首長たちの政治判断がいま一度、必要だ。

「決まった事だ」の一点張りでは説得力に欠ける。

 (文章執筆:特別編集委員 鈴木徹 氏)
◇ ◇ ◇

赤字路線や並行在来線の存廃、貨物輸送網の維持など、
道内の鉄路の行方には課題が山積しています。
その経緯や問題点をひもとき、将来の公共交通網のあるべき姿を考えます。

<筆者略歴>すずき・とおる 
1992年北海道新聞社に入社。
56歳。

経済部、東京政治経済部、報道本部などで経済、政治分野の取材を担当。
北京駐在、函館報道部長などを経て2023年4月から現職。
埼玉県出身。


【衝撃】ついに北海道の世論が動いたか?
山線はもう一度、政治判断が必要だ!
北海道新聞が山線廃止反対を表明!
道民に絶大な影響力を持つメディアが北海道の主要問題として、記事にされました!

映像提供:【北海道】乗り物大好きチャンネル 様


2023年10月4日付訪問者数:162名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。

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