思いついたからメモ
20年以上嫌な記憶が頭にこびりついて、ずっと前のことなのに何度も思い出して気分が非常に悪かった。
どこで聞いたか忘れたが、幼少期にいじめにあうなどの体験をすると、同じ目に遭わないため記憶力が高くなるとか。
たしかに、何十年も経っているのに、憎しみが消えない。というかその憎しみの種になっている体験の記憶が消えない。
異物として扱われてきたこの時間、記憶力を高めるには十分だ。
あまりにも苦しく、悶えるような毎日だった。
でもある時、ふと、この記憶力を別の方へつぎ込んだらどうなるだろうと思った。
私は言葉を扱う能力が低い。
文章を書くよりも、声に出して表現することが不得意。すぐ吃るし、自分が何を言っているのかわからなくなり、意味の分かる文章を話せなくなる。結果、他人はわかりづらくてイライラする。
ずっとわかりやすく話せないことが自分の足枷になってきた。
日本語の文法と相性が悪いのかと思い、英語を勉強してみた。
結果、英語の方が話しやすい。単語をルール通りに並べていけば意味が通じるし、日本語より声に出しやすいことがわかった。
だから、少しだけやっていた英会話をもっと本格的にやってみることにした。
でも、英会話のレッスンの内容では手応えがない。
何故か。私は話しやすいなと思っていた頃にやっていたことに立ち返ることにした。
そして気づいた。私はあの頃、大西泰斗先生の英語のバイエルで学んでいた。並べ方やイメージなどを一つ一つ覚えていっていた。その本にまた目を通すと、英会話のレッスンが色を変えて映えるようになった。
私に必要なのは型だった。
この本では型の構文があってこれを暗記することを推奨している。
ここでいじめや苦痛によって育まれてきた記憶力が生きるのではないかと思った。
ちょうど分散学習帳というメンタリストダイゴ氏らが開発したアプリをダウンロードしていた。
これは別のことを勉強しようと思ってダウンロードしていたが、長い文章を伴う記憶については私には使いづらかった。
でも今回は違った。
英語のバイエルの暗記文は短いうえに、音声入力ができる。
英会話で発音の練習をしたおかげで、Siriがよく聞き取ってくれる。
素晴らしい。
学習が進むにつれて、これは日本語の勉強にも応用できるのではないかと思った。
でも日本語の参考書には、大西先生並みにできるようになるような参考書を見つけられなかった。
そこで、ドラマやアニメなどからわかりやすい表現や身につけたい柔らかい言い方を拾うことにした。
早速やってみると、これが非常に面白い。コーヒーブレイクと称して好きなシーンのセリフも混ぜてみる。
楽しい、癒される、なんだか元気になってくる。
もっと知りたい、身につけたい、使いたい。
今まで苦痛でしかなかった話すことが、こんなに興味深く感じるとは思わなかった。
言葉を初めて面白いと思った。
ふと気づくと、今まで頭から離れなかった憎しみが見当たらない。
そんなことを考える時間があるなら一つでも多く、素晴らしい表現に出会ってそれを覚えたい。
脳は常に不安や憎しみ、怒りを感じているよりも、言葉を知り、覚えて使う快感をとったらしい。
私史上、今、最高に言葉が面白い。