多摩美デザイン学科「ネットワーク」授業ブログ

多摩美術大学造形表現学部デザイン学科/2004年セッション2(5/24~7/12)-2年「ネットワーク」授業のコアブログ

「学ぶ」ということについて

2004年05月26日 04時52分19秒 | 授業コメント
これこれを見て「学んで」「記して」ください、と私が言っているのは、対象を考察して、そこからなにかのヒントや、アイディアを得て、今後の発展のために寄与する評価・提案をしてください、ということが基本なのです。
その考察が未熟であろうと、提案が見当違いであろうとかまいません。
コミュニケーションの豊かさや有意義さ、繋がりや共生や共有のために、考えて発信しようという、ポジティブなスタンス(姿勢)が一番重要なのです。
ほとんどの人が、単なる消費者=受容者=観客としての見方しかしていないし、また「見てくれ」の印象や、自分が気に入ったかどうかの表明にとどまっています。
あなた方は創造者(クリエイター)の卵であるはずでしょう。
自分が「創る」立場から見て、これはどういう参考になりうるか、という目で接しなければ進展はありません。

別の角度から言うと、対象を「批判する」ということを私は求めているのです。
このことばは普通は「悪くいう」「非難する」というニュアンスでとらえられていますが「批判」という概念はけっしてそれだけではないのです。。日本語としての「批判」ということばの翻訳事情や意味の変遷はさておき、「批判する(クリティーク)」ということは、先行するものごとのありかた(常識)や生活やことばや観念を徹底的・根底的に考え直し、新しいイメージやことばの意味やあり方や行動を提示する、ということです。

繰り返して言いますが、「学ぶ」上では、あなた方個々人が、対象とするものに対して、主観的・個人的にどういう好き嫌いの感情を持つかとか、扱っている題材に個人的に関心があるかどうか、などということは関係ありません。
そういう狭い視野・視点に留まる限り「学ぶ」ことはできないし、自分も作品も含めて「客観視」することがなにより必要なデザインの世界であなたは生きていけません。

全神経・感覚・美意識・そしてなによりも思考を働かせて「学んで」ください。