九州電電同友会(電友会 九州地方本部)

 九州電電同友会は NTTおよびNTTグループのOB・OG会です

NTT等の動向

2019-03-27 | NTT九州事業本部

2019年度の事業運営にあたって

西日本電信電話株式会社

取締役 九州事業本部長

        福岡支店長兼務 小澤 正憲


 昨年度の主な取り組みを振り返りますと、光アクセスサービスのマイグレーション(注1)があげられます。無事お客様に「フレッツ 光ネクスト」等への移行が完了し、「フレッツ・光プレミアム」のサービス提供を2019年1月末に終えることができました。そのような中、ビジネス市場での収益力向上を進めてきたことで、2018年度も昨年度同様の利益を維持できる見込みとなりました。


 昨年、NTT西日本グループでは「ソーシャルICTパイオニア」というスローガンを新たに掲げました。お客様のご要望や地域の課題に対して、ICTの力で様々なお手伝いをすることで、先頭に立って解決していこう、という思い・決意を表明したものです。
 九州カンパニーにおいては、今年度からの3年間の指針として、新たに中期事業運営方針を策定いたしました。これまで九州独自のキーワードとしてきた「価値共創」「機能最適」の具体的な取り組みを更に進化させ、ICTを活用した新たな価値を創造することにより、増収基調への転換に向けて挑戦し続けることとしています。
 具体的には、まず自治体・企業のデジタルトランスフォーメーション、つまりICTの活用による既存業務の効率化や、既存ビジネスモデルの変革に向けた取組みを積極的に推進します。九州・沖縄においても、高齢化が本格的に進展していく中、労働力減少を補うための対処が求められています。これに対し、例えば「コールセンタ業務」「クラウド運用」「セキュリティ管理」といった自治体・企業が抱えている業務を、AIやRPA(※2)等の技術を活用しつつ、まとめて代行・支援するようなご提案を行うことを通じ、地域産業の発展に貢献いたします。
 加えて、九州・沖縄のマーケットの特色を踏まえたビジネスの開拓を進めてまいります。観光業が九州・沖縄の産業に占める割合が他の地域に比べて高い中、特に今年からラグビーワールドカップ開催等の国際的なイベントが続き、海外旅行者がより便利で快適・安心に過ごす環境づくりが求められています。これまでの観光地等におけるWi-Fi環境整備の取り組みに加え、インバウンド観光客の動線分析結果を活用した「観光地域づくり」や、競技者やスタッフの位置情報把握によるイベント運営の効率化やサポート等、一層踏み込んだ提案により地域経済の発展に貢献していく所存です。また九州・沖縄は、地震や台風などの自然災害が多く、毎年のように甚大な被害を受けていることから、例えば長崎県東彼杵郡東彼杵町様において全国で初めて「@InfoCanal」を導入していただく等、積極的に防災ソリューションサービスの展開に力をいれてまいりました。今後も、災害に強い地域づくりに貢献してまいります。
 最後に、新たなビジネス・ライフスタイルを支える基盤たる通信サービスの展開に向け、積極的に取り組む方針です。超高速の次世代移動通信システム「5G」の商用化が来春にせまる中、VR(注3)・AR(注4)や自動運転等の次世代技術の社会実装を実現するべく、5Gと光ファイバとの連携による新たなICTインフラへの期待が高まってきています。一方、九州・沖縄においては光の未整備エリアがまだまだあることから、自治体の皆様と連携した超高速ブロードバンド基盤の整備を進め、誰もが安心して利用頂ける通信環境整備を推進していく所存です。


 このような取り組みを通じて、可能性に満ちた九州・沖縄の様々なパートナーと共に地域経済の活性化に寄与する活動を進め、「便利で豊かな地域社会を創造し続ける企業」「社会の課題解決に貢献する企業」を引き続きめざしていきます。


(注1)マイグレーション
フレッツ・光プレミアム等のサービス終了に伴う新サービスへの切り替えのこと。

(注2)RPA

Robotic Process Automationの略で、ホワイトカラー業務(主に定型業務)を効率化・自動化する取り組みで導入されており、「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」とも呼ばれている。

 


(注3)VR
Virtual Reality(バーチャルリアリティ)の略で、仮想現実や、人工現実と訳される。人間の感覚器官に働きかけ、現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術の総称。

(注4)AR

Augmented Realityの略で、一般的に「拡張現実」と訳される。現実の環境から視覚や聴覚、触覚などの知覚に与えられる情報を、コンピュータによる処理で追加あるいは削減、変化させる技術の総称。