システムズ・アプローチ
チーム(職場)造形法 ™
Systems approach“Team SCULPTING”
チーム(職場)造形法とは
「チーム造形法」は家族療法の技法としての家族造形法をチームや職場に適応したものである。家族造形法はFrederick Duhl(1973)らによって開発されたもので、英語のFamily Sculptingからきている。日本語では家族造形法の他には家族彫刻法とも訳されている。チームや職場のリーダーやメンバーの人間関係に適応したものを「チーム造形法」、学校などのクラスの人間関係に適応したものを「学級造形法」と称している。(筆者命名)
チーム造形法は今日まで約6000名を対象に各企業の研修で実施してきた。当初は筆者のファシリテーションですすめてきたが、現在では開発を重ねて研修の受講生同士でもすすめて行くことができるようにプログラム化した。各企業ではマネジャーやリーダーを対象にした「チーム・エンパワーメント」、プロジェクトマネジャーを対象とした「チーム・ビルディング」、チーム全体を視野に入れたコミュニケーションやコーチング研修としても展開されている。
SP(サブ・パーソナリティ)トランプによって個人の内面を可視化(見える化)することによって人間力を高めることができるように、チーム(職場)造形法によってチームの構成メンバーの関係を見える化することによってチーム力を高めていくことができる。
・システムズ・アプローチはチーム(職場)を個人の視点ではなくチームのシステムからとらえる。よってチーム・メンバーに問題行動が生じているのはチームが現在システムとして十分機能していないという考え方に立っている
・チーム(職場)は個々の集まりで成り立っている。よって人間関係を一対一の直線的因果関係でとらえるのではなく3人以上の円環的因果関係でとらえる
目的
1、 個々のメンバーが意欲と能力を発揮できるためのチーム(職場)全体へのかかわり行動を知る(チーム・メンバーの距離感)
2、 気になるメンバーへの対応方法を知る
特徴
1、 知識、スキル等習得の研修ではなく問題解決型のワークショップである。
2、 参加者の抱えている個々の問題が造形法を行うことによって解消できる。
研修対象者
1、 チームリーダー、マネジャー等
2、 現在、職場の問題やメンバーへのかかわり方で課題や悩みを抱えている人
造形法の方法(チーム・メンバーの関係を個々の心理的距離、向きで表現)
1、 研修参加者に自チーム(職場)のメンバーを演じてもらう。(できるだけ同じSP特性の人)
2、 職場(チーム)メンバーとの個々の関係を研修参加者に「SP特性」、それぞれの「距離」や「向き」を指示し体感。
(1分間凍結)
3、 個々の参加者からの感想を聞く。気になるメンバーを演じている参加者から効果的な対応方法を聞く。
4、 望ましいチーム(職場)メンバーの関係を距離や向きで探る
実施事例(一例)
悩み(主訴) 年上の部下への対応方法が知りたい「(もっと意欲をもって頑張ってほしい!)
同じ悩みを持つ2つのケース
心理的距離
適切な距離が望ましい。離れすぎたり近づきすぎると下記のような問題が生じる。
例 距離が遠い 適切な距離 距離が近い
相手のミスに対して |
不信感が芽生える |
率直に指摘できる |
ミスに気づかない |
意見に ついて |
自分の業務についてなるべく他人からつべこべ言われたくない |
相手の意見を理解しようとする |
相手が分かっていると思い、必要な意見を言わない |
メンバー間の雰囲気に対して |
あまり関心を払わない |
業務を遂行するために良好な雰囲気を維持しようとする |
現在の良い雰囲気を維持することを優先させてしまう |
チーム(経営メンバー、職場など)造形法の実施事例
1.スムーズに社長交代を行うためには他の経営者はどのようなにしたらいいかを知りたい
2.職場の人間関係ほ良好である、ただ皆が何を感じているか知りたい
3、病院の後継ぎ 同族病院の後継ぎと家族の人間関係の在り方を知りたい
4、経営会議の在り方と理事長への対応の仕方を知りたい
5、会社の方針を、職場全体で共有するためにどうしたらよいか知りたい
6、感覚的な人(SPのハート・ダイヤタイプ)への対応の仕方を知りたい
7、メンタルが弱い部下への対応の仕方を知りたい
8、気になるメンバー
年上の部下、同じミスを繰り返す部下、新しいことにチャレンジしない部下、ホウレンソウをしない部下、守備範囲を広げない部下、意欲の低下している部下等への対応方法を知りたい
研修プログラム案(1日版、他にも2日版もあります)
時間 |
内 容 |
0900
1200 |
1、オリエンテーション 研修目的 自己紹介
2、自己理解 ‐心の中を俯瞰する‐ 自分のサブ・パーソナリティを知る 自分のビジネス・マネジメントスタイルを知る パーソナリティ・システム(SPによるバランス) SPの法則 SPを俯瞰するセルフ(意識の中心)と意志
3、システムズ・アプローチ ‐チーム(職場)の人間関係を俯瞰する‐ 社会システム論 パーソナリティ・システムと社会(チーム・職場・組織等)システム 造形法とは 4、 造形法の進め方 |
1300
1700 |
5、 造形法の演習 造形者、演技者、ファシリテーターの順番を決める 演習振り返り
グループワーク
6、 メンバー間の心理的距離がチーム(職場)内で発生する諸問題
7、 まとめ
|
研修効果の考察
マネジャー、リーダーとして抱えていた悩みや問題がなぜ解消するのかの考察
”造形法”は研修参加メンバーによる疑似職場(チーム)にもかかわらず「距離」、「向き」そして「SP特性」を伝えるだけで本当の自職場のメンバーの関係のエッセンスが再現される。それは人間は数多くのサブ・パーソナリティ(SP)を持っていて、他者との距離や向きでその場面でのいろいろなSPが引き出されるからである。
レヴィンの法則 行動=f(環境・パーソナリティ)で説明するなら職場の環境をメンバー間の「距離」と「向き」で設定し、そこで各メンバーが引き出されるSPを表現するという試みになる。よって造形者(自職場を研修参加メンバーに指示して再現する人)が自職場のメンバーとの距離やそれぞれの向きを研修参加者の演技者(ロールプレヤー)に指示するだけで自職場のメンバーが職場で引き出されているSPと同じSP(例えば造形者等への信頼、親密、疎外、反発等)が演技者からも引き出され、造形の場面で演技者から言葉となって表現される。造形者の多くが「リアリティ!」「私の職場を見たの!!」「なぜ自職場のメンバーと同じことを言うの」と叫びに近い感想がでてくるのもそのためである。
そして造形者は演技者からの感想や意見を参考に自職場の気になるメンバーへの対応や望ましい自職場のありかたを探り出ししていく。よって造形者の多くが(実際には全員)がかかえていた悩みや問題が解消したとの感想を述べているのはいたって当たり前のことかも知れない。そして1か月後(数週間後)の追跡調査でも造形法での効果が表れているとの報告がなされている。
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