北陸のある刑務所の指導技官・倉島英二(高倉健)のもとに、ある日、亡き妻・洋子(田中裕子)が遺した絵手紙が届く。
そこには“故郷の海を訪れ、散骨して欲しい”との想いが記されていた。
妻の故郷を目指すなかで出会う多くの人々。
彼らと心を通わせ、彼らの家族や夫婦の悩みや思いに触れていくうちに蘇る洋子との心温かくも何気ない日常の記憶の数々。
様々な想いを胸に目的の地に辿り着いた英二は、遺言に従い散骨する。
そのとき、彼に届いた妻の本当の想いとは……。
(goo映画さんより)
2012年8月25日 公開
監督 降旗康男
劇場鑑賞
自己満足度 5点満点で4点
枯れてない81歳!!
い~や~カッコ良い、さすが健さん!!
私ね、けして"枯れ専"じゃないけど、健さんなら結婚してもいいって思った、ホント!
これまでもね、健さんの作品、観てましたよ数々ね。
さすがに任侠モノは省きますけど。
70年代後半からの"堅気"になった作品をね。
でも、ここにきてさらにこんな素敵な俳優さんはいないと実感!
81歳の高倉健が205本目となる作品。
撮るのは健さんとタッグを組んでこれが20作目、78歳の降旗康男監督。
旅と車とコーヒーが好きという言う健さんにピッタリのお話だったんじゃないでしょうか。
本編開始前に、健さんのドアップがスクリーンに・・・。
「ありがとう・・・ございます。」と一言。
コレ永谷園のCMだったんだよねぇ~、なぜか劇場内に笑い声が。
実はさ、今、お金ないからほんとなら劇場で観れないんだけど、ふとTOHOさんのポイントが貯まってることに気づき、なんと9か月ぶり今年初の劇場鑑賞とあいなりまして。
久しぶりにTOHO行ったら、発券がすべてセルフになってるし!
あぁ~9か月のご無沙汰ってこーゆーことなのねと実感。
やっぱ良いねぇ大きなスクリーンで観る映画こそ映画だ!
客層、やっぱ高齢者多し。
ほとんどの人がいつでも1000円で観れる60歳以上じゃないでしょうか。
腰少々曲がってしょぼくれたその観客たちとは違ってスクリーンの健さんはなんとピシッと背筋伸び、カーゴパンツをスラッと履きこなし、まぶかにキャップを被り、ポロの襟を立て。
こ、こ、こんな81歳いる~?!
皇潤とか飲んでるのかしらとか・・・て、ずーっと心の中で叫んでました。
設定では64歳と53歳の夫婦ということらしい。
田中裕子はほぼ実年齢に近いでしょうが、さすがに健さんの64歳はキツいものの、それでもここまでお若いと許せてしまう。
日頃よりかなり節制されておられるのでしょうね。
そんな素敵な健さん、いえ倉島さんと共に富山から長崎までを旅をしているようなロードムービーでした。
この作品公開前に健さんがこの作品の刑務官役でお世話になった富山県の刑務所を訪ねていましたね。
その時に「自分はたぶん、日本の俳優の中で最も多く皆さんと同じユニフォームを着た人間だと思います。」と言われました。
てか、この言葉だけでカッコ良いんですけどねぇ。
そして「ここを出られたら大事な人のもとへ帰ってあげてくだい。」と言うようなことを伝えられた時に、少し声を詰まらせておられました。
高倉健と、私の永遠の恋人(だと思ってる)スティーヴ・マックイーンは役の中では泣かないと思っていたので、それを見てこの作品は観てみたいと思っていました。
そそ、80年に亡くなったS・マックイーン、8年前に亡くなった私の父、そして健さんと同い年なんですよねぇ。
そう思うとやっぱこの81歳はスゴイ!
富山を出発した倉島が立ち寄った場所で、兵庫県朝来市の竹田城跡の天空に浮かんでいるようなあの情景は素晴らしかったですね!
健さんを慕う俳優さんや、逆に健さんがファンで出てもらったような(岡村隆史とか)方もいましたが、私はやっぱりビートたけしとの場面が印象的でした。
自称・国語教師だったというビートたけし扮するその男のどこかもの悲しい表情がせつない。
実はこの男、車上荒らしで逮捕となったわけですが、放浪詩人の種田山頭火の話や奥さんに先立たれたことなどはウソ偽りは無かったと思いたい。
大滝秀治の存在感も健在!
大滝さんも長生きして欲しい俳優さんです。
洋子(田中裕子)の少女時代であろう古ぼけた写真館のモノクロ写真を見つけて「ありがとう」とつぶやいた倉島に、なぜか涙があふれました。
もしかすると、あの写真を見つけて欲しくて洋子は倉島を長崎まで連れて行ったのだろうかと思うほどだった。
夫婦ってなんだろうと改めて考えさせられたのですが、所詮、夫婦は他人、言わなきゃわからん、言っても分かり合えない一番近くて一番遠い関係ではある。
だからある程度の謙虚さと、できるだけの思いやりと、ほんのちょっぴりの本音と、でもやっぱりお互い墓場まで持ってく幾ばくかの隠し事があって夫婦なんだろうかなと。
健さんはね以前こんなことを話していました。
「いい人にめぐりあえたら、その人には心を尽くしたい。」と。