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突然の病
地震だ!
津波が来る
原発(原子力発電所)が爆発した
逃げろ!
子供達は
家は大丈夫か?
遠のく意識
パニックを起こした、脳みそ
薄れゆく意識の中で
震災の記憶がかけめぐる
夜が過ぎ
朝が過ぎ
二日目が過ぎた
倒れたままのトイレの中で
遠くに倦怠電話の呼び出し音
「ここにいるよ」と思いながら
空しく時間が過ぎて
又、携帯の呼び出し音
焦る気持ちとは裏腹に
手が、足が
身体が動かない
又、しばらくして
「明かりがついている」と誰かの声
玄関のベルが鳴る
何度も何度も繰り返し鳴るベルの音
「助けてくれ、ボクはここに居る」
叫んでいるはずの声は
喉の奥で消えてゆく
時は容赦なく流れて
確実に近づいてくる
死の足音
外でみんなが騒いでいる
「郵便がたまっているぞ」
サッシの窓を
誰かが激しく叩いている
悲痛に叫ぶ姉の声
「きてくれてありがとう」
声をふりしぼるが届かない
姉の声が、足音が遠ざかる
それからどれだけの
時が流れたのだろう
「ガタ! ガタ! 、バリ! バリ!」と
玄関を打ち破って
入ってきた見知らぬ人
絶叫する姉の顔
普段、とりたてて
話すこともなかった
仮設住宅の人が
ボクを助けてくれた
かすかに聞こえる救急車の音
何度となく
死を覚悟しながら
助けだされたこの生命
これからどう生きたらいいのだろう
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