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(内容)
“ジャガーノート”と名乗る男から豪華客船ブリタニック号に爆弾を仕掛けたという脅迫状が届いた。期限は翌朝8時10分までという。犯人は50万ポンドの身代金を要求。ところが政府と軍は、あくまでもテロに屈しないという強気の姿勢を取り、軍の爆弾処理班が出動し、船内に仕掛けられた7つの時限爆弾の処理をすることになった。脱出不可能な暴風雨の北大西洋にメガトン級の爆弾が時を刻む。1200名の命と共に揺れる豪華客船ブリタニック号警察の必死の犯人捜索が続けられる中、特殊部隊による爆弾処理班は嵐の海へ飛び立つ。
1974年(英)公開
【監督】リチャード・レスター
【出演】リチャード・ハリス、オマール・シャリフ、アンソニー・ホプキンス
ラストの青のケーブルか、それとも赤のケーブルかのどちらかの切断を迫られるシーンを観て、ああ、これが例の映画だったのかと合点が行きました。人間の心理、及び電子工学の原則としては、赤を「ホットエンド」、青(白、黒)を「コールドエンド」として、コールドエンドを断てばセーフという回路構成にする事がまま多いのだそうです。無線に出た犯人は青をカットせよと言い放ちますが、犯人は主人公の元上官だったわけですから、癖や性格を知り抜いていたのでしょう。それにしても果敢な決断でした。
観初めは学生時代に観たポセイドン・アドベンチャーを思い出しながら観ていましたが、話が進むに連れハリウッドとはまた異なった魅力で迫る映画に、最後まで手に汗を握りながら観てしまいました。”ポセイドン~”は単なる事故で乗船客側から、沈没していく人々の人間模様を中心に描かれていたのに対し、“ジャガーノート”は爆弾を処理する職人気質の男達の方を刻々と撮ってありました。仕事に打ち込むプロフェッショナル意識を持った男達の真髄が貫かれていて清々しさを覚えます。単なるヒーローとせずに、一方では、爆弾解体の恐怖も真正面からとらえてあるのに好感を持ちました。彼らの息づかいがスクーリーンから伝わり臨場感を持たせる技法など~。
最近のサスペンスやパニック映画は、現代を反映しているのか犯人の動機が不鮮明だったり、ボタン一つで人の命が奪われたりと、ついていけない私でした。37年前の映画に、CGでは味わえない 正にアナログの頃の荒削りな良さを思い返させてもらい新鮮に写ったほどです。電子化した現代からすると手造りの爆弾の小道具は古臭く、主人公のような男達が活躍せずに、コンピューターのパスワードかなにかで止めることになるのかもしれません。でも、視聴者が求めるのは目の前に見えるリアリティではないでしょうか。特に大震災後、もたもたしている政治に変わって、着々と復興させている地道な産業やそれを支える人たちを、毎日ニュースで見ているからこそ、尚更感じます。
ラストシーンに心当たりがあるので、初見ではなく、何十年ぶりかで観た映画だったのかもしれません。印象薄だったのはポセイドンを引きずって観たのと、学生時代は高度成長たけなわのハッピーな時代でこの映画の良さを今ほど理解できなかったのではと思います。政府と軍がテロに屈しないという強気の姿勢で身代金を断わったり、使い捨てにされ年金をもらえない腹いせが動機となった犯人など、年を重ねて、事実は小説よりも奇なりと確信できるようになりました。国は怖ろしいことをやってのけるし、安全神話に酔って科学技術も持たないくせに経済面を優先させていき人の命を軽んじてきた。原発事故と大震災によって価値観を変え、経済優先主義から日本が転換するよい時期であるべきなのに、まだ目を開こうとしていない昨今だからこそ、この映画が光って見えました。
難点なのは女性陣の描き方が雑になってしまっていたこと・・・おいしいところはすべて男性陣に持っていかれたようにも見えますが、そこには目をつぶって秀作だと思います。若きリチャード・ハリスやアンソニー・ホプキンスに出逢えたのもめっけものでした。ジャガーノートの抑制された声も上手かった。 (tonboriさんのタイミングをはかったチョイスに感謝します)
そうなのですか~。この赤か青かというシーンは、さすが元祖だけあって緊張しました。ただ、観てるほうは犯人の性格を知ってるわけではないので、その性格を示すわかりやすい伏線がほしかったなぁと思ったり・・・。みなさん細かいところまで観てらっしゃって、頭が上がりません!
>手造りの爆弾の小道具は古臭く、主人公のような男達が活躍せずに・・・
手作り爆弾を誰でも作れる時代だからこそ、案外そこら中に溢れてそうです。爆処理の仕事がありすぎるのも困りものですけどね。
>難点なのは女性陣の描き方が雑になってしまっていたこと・・・おいしいところはすべて男性陣に持っていかれたようにも見えます
ですね~、男の映画という感じでした!
>特に大震災後、もたもたしている政治に変わって、着々と復興させている・・・
仰るとおりですね~!
そういう意味では、この映画は、本当にジャスト・タイミングで、素晴らしい作品でしたね~。
>難点なのは女性陣の描き方が雑になってしまっていたこと・・・おいしいところはすべて男性陣に持っていかれたようにも見えますが、
私は目をつぶれませんでしたが、bambooさんの記事を読ませてもらって、女性目線でも、そういう受け止め方があるのね~と思いました。
今回はお忙しいのが一息つかれたタイミングでのご鑑賞、本当に有難うございました☆
いつもの記録にリンクさせて頂きますね~。
次回はリクエスト企画(投票)ですので、宵乃さんか私かどちらかがお誘いに参りますね~♪
この映画をチョイスしたのはエントリで読んでいただいたとおりです。
楽しんで、またいろいろ考えていただきほんとうにありがとうございました<(_ _)>
前回のブログDEロードショーには、レンタルできずに参加できませんでしたが、何とか今回はぎりぎりセーフで間に合いました。
同じ映画を観ても、それぞれが感想が違うのは面白いですが、また観た時期でも異なるのですからね。
皆さんが正直に語り合えるのもgood!
これからも時間の許す限り参加させてもらいます!
本当に有難うございます!!!
早速ですが、今日から「次回のブログDEロードショーの作品」を、皆で選ぶ投票が始まりました。
1日に1回、ご投票して頂けます。
是非、お願いいたします。
詳しくはこちらで~!
http://saisenseisuki.blog97.fc2.com/
http://anoken.blog18.fc2.com/
紹介されている作品は、どれって選びようがないですね。私には特別これを皆さんで是非という気持ちがないので、皆さんが選ばれたものを観賞するだけで良いというのが本当の気持ちです。
それぞれが違うので、観たい作品は自分が観るだけで満足かな?そして、たまたま観て似たような感想を持っている人が居たら良いかなぁ~というような軽い気持ちなのですよ。
ただレンタルできない作品は参加しようがありませんので、手に入りやすい作品がベターかな