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質の高い睡眠を実現する「最初の4時間」の重要性 スマートウォッチで「睡眠を記録」する参考に
質の高い睡眠を実現する「最初の4時間」の重要性
「布団に入っても、なかなか眠りにつけない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「眠りが浅くて熟睡した感じがしない」ーー。睡眠の悩みを抱える人は多く、日本人の睡眠時間は世界で最下位というデータもあります。
睡眠を「改善しよう」「見直そう」と、たとえばApple Watchで睡眠の状況を記録していても、表示される「睡眠ステージ」のグラフを見て、自分はよい睡眠をとれているのか、とれていないのか、よくわからない人も多いのでは?
そこで、これまで2万人以上の睡眠に悩む人を治療してきた睡眠専門医・白濱龍太郎医師の著書『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』より一部を抜粋、再編集し、「ぐっすり眠る」とはどういうことなのか、改めて見直してみます。
「夜ぐっすり眠る」とはどういう状態?
そもそもぐっすり眠るというのは、どういう状態をいうのでしょうか? それは、「深睡眠(しんすいみん)」がよくとれている状態のことです。深睡眠の間は、途中で目が覚めにくくなります。
また、脳内に蓄積されたアミロイドβタンパク質などの疲労物質を取り除くだけでなく、体の機能を修復させたり、免疫力を高めたりする成長ホルモンの分泌が盛んに行われます。
そのため、深睡眠の時間が長ければ長いほど、疲れがとれて病気になりにくい体になるのです。
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠という2種類の状態があります。レム(REM)とは、睡眠中に起こる眼球の急速な動きのことで、これが起こる時間がレム睡眠です。眠りに入る直前や起きる間際のうとうと眠っているような浅い睡眠の状態です。
体は休んでいても脳は活発に動いていて、日中に得た情報の整理や定着を行います。さまざまな情報が脳内で整理されることによってストレスの解消効果もあります。眠りが浅いので、光や音などで目を覚ましやすい状態ですが、夢を見るのもこのレム睡眠のときだけです。
(出所:『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』)
これに対し、脳と体の両方が休んでいるのがノンレム睡眠。眼球運動も穏やかになって、すやすやと深い眠りについている状態になっています。
ノンレム催眠は眠りの深さによって3つの段階に分かれていて、もっとも深い眠りのことを深睡眠といいます。この深睡眠があるかないかが、睡眠の質を大きく左右するのです。
「よく眠れない」「寝ても疲れがとれない」
人間の体はもともと、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら4時間以内に2回以上、深睡眠がとれるようになっています。ところが、ぐっすり眠れない人は、なかなか深睡眠が訪れなかったり、訪れてもすぐに終わったりしています。なぜそのような違いが生じるのでしょうか。
そこに大きく関係してくるのが、深部体温と自律神経です。体の表面の温度である皮膚温に対して、内臓など体の内部の体温である深部体温は、一日を通して決まったリズムで変動しています。朝目覚めるところから上昇し始め、日中は高めのまま推移して夕方以降夜にかけて少しずつ低くなっていきます。
私たちの体は、もともと深部体温が下がると眠くなるという仕組みになっていますが、よい睡眠がとれない人は、この深部体温のリズムが乱れ、夕方のピーク時になっても体温が上がらない、夜、布団に入る時間になっても体温が上がりきっていないという問題を抱えている可能性があります。
(出所:『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』)
深部体温のリズムは、メラトニンという睡眠ホルモンの影響を受けています。メラトニンは自律神経の安定を促し、深部体温を下げる働きをしますが、夜の睡眠時に多く分泌され、朝、目覚めて太陽の光を浴びると減少します。
夜にメラトニンが働くためには、朝きちんと光を浴びて、眠気を生み出すセロトニンという幸せホルモンが分泌される必要があります。こうしたメラトニンとセロトニンのサイクルが繰り返されているため、私たちは夜になると眠くなり、朝になると目が覚めるのです。
眠り始めの4時間が何より大事
深睡眠のあるなしが睡眠の質に大きな影響を与えますが、さらに重要なのが、眠りについてから4時間以内に深睡眠がとれるかどうかです。
レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは、眠ってから朝まで4〜5回ほど繰り返されますが、もっとも深睡眠をとりやすいのは、ノンレム睡眠の最初と2番目。これがちょうど眠り始めてから4時間以内に当てはまるのです。
この際に深睡眠がとれていれば、睡眠の質は十分高いといえるでしょう。反対に、眠りについてからの4時間で深睡眠がとれていなければ、いくら睡眠時間が長くても心身の疲労がとれず、目覚めもスッキリしてきません。
睡眠時間は十分足りているはずなのに、眠りが浅くてスッキリしないという人は、自律神経が乱れている可能性もあります。交感神経が優位で体が緊張したままだと、うまく寝つけず、ぐっすり眠ることができないのです。
また、目覚めてもなかなか疲れがとれずにボーッとした状態が続くことを「睡眠慣性」といいます。スッキリ目覚められていないので、疲れが残って体がだるいと感じるのです。
(出所:『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』)
人の体には、上のグラフのように深部体温(内臓など、体の深い部分の体温)が上がると活動が活発になって下がると眠くなるという仕組みがあります。深部体温は夕方をピークに下がっていき、夜に眠気が訪れますが、このリズムが狂うと、睡眠の質がどんどん悪くなります。
忙しくて睡眠時間がしっかりとれないなら、睡眠の質を高めるしかありません。そのために、睡眠周期の最初に訪れるノンレム睡眠のときに、どれだけ深く眠れるかに力を注ぎましょう。
著者:白濱 龍太郎
※ 2025/01/28 17:00 (東洋経済オンライン)
の掲載文章から引用しました。参考になれば幸いです。
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