理由やメカニズム、飲み方のポイントとは
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水は、私たち人間を含む多くの生命体に欠かせない物質ですが、「睡眠の質」にも大きく関係しています。今回の記事では、睡眠と水が関係するメカニズムや水分の取り方について解説しましょう。
人間の体の約60%は水分でできており、細胞内液や血液・リンパ液などとして体内に存在します。体内の水分の約10%を失うと筋肉のけいれんや循環不全などの健康障害が起こり、約20%を失うと死の危険に直面するとされるほど、生命に直結した存在です。
人間は排泄や汗などで1日に約2.5リットル(L)の水分を排出しますが、食事などから摂取される水分は約1L程度。残りは飲み水として摂取する必要があります。
厚生労働省による「健康のため水を飲もう」推進運動では、普段よりも「あとコップ2杯分を余分に飲むこと」を推奨しています。特に睡眠前後の「寝る前」と「朝の寝起き後」にコップ1杯ずつ飲むことがおすすめのようです。
まずはその理由から解説していきましょう。
人間の体の約60%は水分でできており、細胞内液や血液・リンパ液などとして体内に存在します。体内の水分の約10%を失うと筋肉のけいれんや循環不全などの健康障害が起こり、約20%を失うと死の危険に直面するとされるほど、生命に直結した存在です。
人間は排泄や汗などで1日に約2.5リットル(L)の水分を排出しますが、食事などから摂取される水分は約1L程度。残りは飲み水として摂取する必要があります。
厚生労働省による「健康のため水を飲もう」推進運動では、普段よりも「あとコップ2杯分を余分に飲むこと」を推奨しています。特に睡眠前後の「寝る前」と「朝の寝起き後」にコップ1杯ずつ飲むことがおすすめのようです。
まずはその理由から解説していきましょう。
睡眠前に水を飲むことが体に与える影響
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季節や室内環境にもよりますが、人は寝ている間にコップ1杯分(200~500mL)の汗をかくとされています。寝汗には体温調節の役割があり、汗をかいて体温を下げることで、良質な睡眠の維持をサポートするのです。
夏場は「睡眠中の熱中症」を予防する観点から睡眠前の水分補給が推奨されていますが、発汗による体温調節をスムーズにして快眠をはかるためにも水分補給が大切になります。
また、就寝中に体が水分不足になるのを防ぐことも重要です。水分不足になると、次の「睡眠中に水分不足になると起きること」で紹介するような影響が生じる可能性があります。特にのどの渇きを感じなくても、夜寝る前には水分を補給しましょう。
なお、アルコールやカフェインを含む飲料(お茶、コーヒーなど)は利尿作用があり、かえって水分不足を促進するため、良い睡眠のためには寝る前のお酒やお茶は控えるのがおすすめです。
睡眠中に水分不足になると起きること
睡眠中に体が水分不足に陥り、脱水傾向になると、体にさまざまな影響が生じます。
夏場であれば特に注意すべきは「熱中症」でしょう。しかし、熱中症以外にも水分不足で起こりやすい現象があります。ここでは3つ紹介しましょう。
●足がつりやすくなる(こむら返り)
発汗により水分と電解質(ミネラル)が失われて体内のミネラルバランスが崩れると足がつりやすくなります。「こむら返り」「有痛性筋痙攣」ともよばれる現象です。ミネラル不足により筋肉が十分に代謝を行えないために起こります。
塩分やカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが不足しないように栄養バランスの良い食事を摂取し、寝る前に水分補給を行いましょう。ミネラルが含まれているノンカフェインの麦茶もおすすめです。
特に夏の夜は足がつりやすくなるため、注意してください。
●血栓が生じやすくなる
寝ている最中に水分不足になると血液が濃縮されて粘度が増し、血管内に血栓ができやすくなるため、寝る前の水分補給は大切です。
●交感神経の働きが亢進する
水分不足によって体に循環する血流量が減少すると、「交感神経」が心臓の動きを活発にし、1回の心拍で送り出す血液量を増やそうとします。
交感神経は体の活動を高める際に働く自律神経です。
本来、寝ているときは身体機能を休める働きを持つ「副交感神経」が優位になることが望ましいのですが、水分不足によって自律神経のバランスが崩れ、睡眠の質に影響を与える可能性が生じます。
寝る前に水を飲むことの注意点
就寝中の水分不足を防ぐためには寝る前の水分補給がすすめられる一方で、夜間頻尿の人は注意が必要です。夜間に何度もトイレに起きてしまうと、睡眠不足の原因になります。※夜間頻尿とは、夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状のこと
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夜間に排尿で2回以上起きる人は、日中にこまめに水を飲み、夕方までに適切な水分摂取量を確保して夕方以降は水分を控えめにするとよいでしょう。
また、食事に含まれる水分などを除くと、1日に必要な水分摂取量は体重1kgあたり20mLが目安です。たとえば体重が60kgの人なら1日に1.2Lの水分を飲むことが目安になります。
睡眠をサポートする水のおすすめの飲み方は?
これまで寝る前の水分摂取の重要性について紹介してきました。では、水分はどのように飲めばよいのでしょうか。温度・飲む量・飲むタイミングについて解説しましょう。
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●温度
寝る前の水分補給は、お湯を一度沸かして40~50℃まで冷ました「白湯(さゆ)」がおすすめです。冷たい水を寝る前に飲むと胃に負担がかかる場合があるため、白湯くらいの温度の飲み物がちょうどよいとされています。白湯は美容の分野でも人気です。
また、自然な眠気は深部体温が下がることによって生じ、下がり幅が大きいほど眠りにつきやすくなる傾向があります。温かい白湯を飲んで体の内部を少し温めておけば、体温の下がり幅の拡大が期待できるのです。
●飲む量
人が寝ている間に汗で失う量と同等の、コップ1杯(約200mL)がおすすめの分量になります。季節や寝汗の程度によって少し増やすなど調整しましょう。
なお、前述のとおり、飲みすぎると夜中にトイレに行きたくなる可能性が高くなるため、夜間頻尿の傾向がある人は注意してください。
●飲むタイミング
寝る2時間くらい前から30分くらい前 の間 に飲むとよいでしょう。入浴後のタイミングがおすすめです。
夜間は脳内の松果体から分泌されるホルモン「メラトニン」の影響で深部体温が徐々に下がり、自然な眠気が生じます。おおむね寝る1~2時間ほど前にメラトニンの分泌量は増加するため、眠気を感じる前に白湯を飲んで体の内部を温めたほうがスムーズに眠りやすい傾向にあるのです。
逆に、寝る直前に飲むと寝つきが悪くなる可能性があるため注意してください。
「夜寝る前」と「朝の起床後」のコップ1杯の水分摂取を試してみよう
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水分摂取と睡眠の質の関係や睡眠をサポートする水分の飲み方について解説してきました。
夜間頻尿の傾向がない人は、厚生労働省がすすめる「夜寝る前」と「朝の起床後」のコップ1杯ずつの飲水をぜひ試してみてください。睡眠の状態に変化があるかもしれませんよ。
日々の暮らしのちょっとした工夫で良い睡眠の確保を目指しましょう。
執筆者プロフィール
木村眞樹子(きむらまきこ)
総合内科専門医、循環器専門医、睡眠専門医、認定産業医
都内大学医学部 卒業
大学病院で循環器内科、睡眠科に従事
現在は都内クリニックで訪問診療に従事し、内科・循環器科での診察、治療に取り組む嘱託産業医としても数社の健康経営に携わっている
都内大学医学部 卒業
大学病院で循環器内科、睡眠科に従事
現在は都内クリニックで訪問診療に従事し、内科・循環器科での診察、治療に取り組む嘱託産業医としても数社の健康経営に携わっている
※ 2023/08/14 ハウスダイレクト 健康からだコラム
の掲載記事から引用しました。参考になれば幸いです。
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