不思議に思うことがある。
なぜ、誰も「ゼロ金利」を止めてくれと言わないのか。
平均年収436万円の今、その中から、やっとのことで捻出したお金を、預金しても、金利はゼロ。
預金などせずに、株式や暗号資産や不動産に投資しろと言うことか。
そうは言っても、金融のプロでもない限り、「昭和」の金利のような、6パーセントとか7パーセントなんて言う「運用利回り」は無理。
昭和の時代は、よかった。積極的に資産運用などしなくても、郵便局や銀行の定期預金、積立式の生命保険に預けておけば、元本保証で、年6パーセント以上の利回りが得られた。
特別な金融知識を持たない普通のサラリーマンでも、現役時代に、トータルで数千万円の金融収益をあげられた。
そのうえ、今よりはるかに多い退職金を、現役時代と同様に、リスク無しで、高利回りで運用できた。
当時は、不動産価格も右肩上がり。ローンで買ったマイホームに、何年か住んで売却すれば、ローン残額を返済しても、お釣りがくる売却益を手にできた。
古き良き時代である。
しかし現在は、経済が停滞し、給料は下がり続けるうえに、ゼロ金利。それなのに、株価は高止まり。その一方、不動産価格は下げ止まらずで、資産運用なんて夢のまた夢。
サラリーマンの世界では、非正規雇用が拡大し、正社員の終身雇用は、崩壊寸前。
政府に後押しされ、企業側も定年延長を進めている。
しかし、企業には「資本の論理」がある。社員の定年を、65歳そして70歳と延長しても、社員に払う労務費の総額(総労務費)は決して増やさない。
社員から見れば、定年が延長されても、働く期間が長くなるだけ。退職までの報酬の総額は、変わらない。いや、それどころか、減っていくだけだろう。
しかも、年金は減り、税金や社会保険料などの負担だけは、増え続ける。
そのうち、終身雇用がなくなれば、退職金もなくなる。このままでは、身ぐるみ剥がされて丸裸だ。
とにかく、サラリーマンは、日銭を稼ぐだけで精一杯。ライフプランを描く余裕なんて無くなった。
「毎日が日曜日」とか「退屈でぼける」などと、贅沢を言っていられた時代も、今は昔。
生きていくために、死ぬまで働かなければならない。本当に恐ろしい意味での「終身雇用」の時代だ。