テレビのドラマに、よく出てくるエリートな親は、子供に「勉強をして、いい学校に行け」と、ただ尻を叩くだけ。
こんなステレオタイプの親だったら、ハッキリ言って、大したことはない。
世の中には、そんなドラマ以上の、親がいる。
自分が、学んできたこと、身につけてきたことを、キチンと子供に継なぐことができる親が。
アルファベットに始まる英語、文学や歴史。
この世界は、数式で出来ていると言っていいほどに、数学の世界であること。
距離の微分が速度、速度の微分が加速度。積分はその逆。
解析概論、フレミングの法則、ビッグバン、多元宇宙、暗黒物質、ブラックホール、メンデルの遺伝の法則、DNA、RNA、ダーウィンの進化論、分子生物学などなど。
元素の周期表から始まる化学、E=mc2などの物理公式の成り立ちなど。
このようなことを、家庭内で、子供のうちから身につけられる環境を、整える親がいる。
父親や母親が、星空のよく見える夜の海岸で、子供に星座の由来を説明する。
今まさに瞬いている星々の光が、何百光年、何千光年もの彼方からの光であることを、光の性質、速度とともに教える。
ギリシア、ローマの繁栄、アレキサンドリアの図書館の壮大さ。
中世から近世に至るヨーロッパにおける宗教改革や市民の台頭。
なぜ、1776年に独立した新参者のアメリカ合衆国が、世界一の大国になったのか。
紀元前からの輝かしい歴史を持つ中国やインドが、再び世界の大国へと躍進している背景にある過去の栄華。
こう言った、現在という時代を理解するために必要な素養の全てを、家庭で身に付けられる子供たちがいる。
その家の書棚には、文学ばかりでなく、膨大な専門書や外国語の原書がある。
そして、テレビでは、CNN、BBC News、ナショナルジオグラフィック、ディスカバリー、ヒストリーチャンネルなどが、いつでも見られる環境。
そんな環境で育つ人間がいるのだ。
家庭の文化的な環境にも、大きな格差があるのに、まだ、あまり深刻にはとらえられていない、不思議だ。