なぜ、当選金額を下げて、当選者を増やさないのだろう。
こんなことを言うと、「1等・前後賞合わせて10億円くらいでないと、宝くじの醍醐味がない」と、ご批判を受けるかもしれない。
宝くじのことを考えていたら、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い出した。
蜘蛛の糸は、釈迦が、地獄から「カンダタ」一人だけを、極楽へ救い出そうとする話。
ところが、釈迦が下ろした蜘蛛の糸に、たくさんの人間がつかまったために、カンダタもろとも、糸は切れてしまう。
まさに、宝くじの当選者のようなカンダタだったが、糸が切れて、地獄へ、真っ逆さま。
巷では、宝くじの当選者の多くが、金に溺れて、地獄へ堕ちると言う都市伝説がある。
「蜘蛛の糸」が、描いた極楽は、現世で善行を施した人間が行くところ。
それに引き換え、現代の極楽は、金と権力の亡者ばかり。
宝くじの当選者が、仲間入りするには、打って付けかもしれない。
格差を助長する「宝くじ」なんて、真っ平だ。