その結果、競争上優位性を持つ物の生産や役務の提供が、最適な国や地域て行われる国際分業が進み世界市場が創出された。
この世界市場創出プロセスと、まさにシンクロナイズされたかのように、情報通信技術の進歩による、情報革命が進んだ。
情報革命により通信コストは低下し、インターネットによる通信は、ほとんどコストがかからなくなった。
これにより、世界中で新たなビジネスモデルが生み出されることになった。
情報革命が、国や地域を越えたビジネス活動を容易にし、驚異的なグローバル化が推し進められた。
世界市場の創出と、情報革命という大変革の中で、国家を凌ぐ巨大なグローバル企業が誕生していった。
その代表格がテック・ジャイアンツ(Tech Giants)と呼ばれる、Alphabet(Google)、Amazon、Apple、Meta(Facebook)、Microsoftの5社。
高度情報化社会となった現代の最強のビジネスツールであるITを自在に駆使する、まさに「時代の申し子」。
この変革の中では、これまで何十年にもわたって、成長と利益を生み出してきた伝統的ビジネスモデルに立脚した大企業といえども、新たなビジネスモデルを見つけ出さなければ容赦なく淘汰される。
過去に誰かがやったことや、既成のビジネスモデルでは通用しない時代。
まだ誰も知らない、あるいはやったことのない、新しい何かを見つけ出さない限り、何もできないし、何者にもなれない。
そこには、ひと握りの勝者と大多数の敗者、しかもその勝者が富と名声を総取りする不公平ではないが、不平等な世界が生まれた。
世界の富の異常な集中度を示す驚くべき事実だ。
超富裕層の8人と言えば次の名前が浮かぶ。
ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)
イーロン・マスク(テスラCEO、スペースX創業者)
ベルナール・アルノー(LVMH-ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー会長兼CEO)
ビル・ゲイツ(マイクロソフト共同創業者)
マーク・ザッカーバーグ(メタ-旧フェイスブック共同創業者兼CEO)
ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ会長兼CEO)
ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)
セルゲイ・ブリン(グーグル共同創業者)
8人の資産額の合計は約140兆円、日本の年間国家予算を遥かに超える額だ(2023年度の日本の一般会計予算は約114兆円)。
ほんの一握りの人が途方もない富を握る一方で、何十億もの人々が生存を維持するための資産すら持っていないというのが、今の世界の現実だ。
この現実は、教育や医療、住居といった基本的なサービスへのアクセスを著しく制限し、貧困層の生活の質を著しく低下させる。
これほどの経済的不平等が放置され続ければ、社会の秩序や安定が脅かされるかもしれない。
富の分配の不平等がもたらす深刻な影響を考えると、資本主義はドリームではなく、悪夢だ。
拡大する異常な格差を止めない限り、この世界に明るい未来など来ないどころか、「万人の万人に対する闘争」により破滅に向かうかもしれない。