平成、令和と、30年以上も、経済が停滞している。
ただ、インフレにもならず、物価が安定していることが、唯一の救い。
そうは言っても、収入は全く上がらない。
なぜ、こんな国に、なってしまったのだろう。
答えは、簡単。
政府と経営者が、経済停滞の元凶を、日本型資本主義だと見做して、「終身雇用」や「解雇制限」、「定期昇給」などの労働慣行を潰してきたからだ。
高度成長期、労使対立は、激しかった。
しかし、誰もが、企業は、経営者と労働者が、作り上げたものだと信じていた。
これこそが、日本の競争力の源泉だった。
ところが、グローバル資本主義に、毒されて、日本型資本主義を放棄してからというもの、経済は停滞、格差は拡大、国民の気持ちはバラバラになった。
グローバル資本主義に毒された企業の、株主総会では、社長は、株主に向かって、「わが社」と言うのを止め、「皆様の会社」と言う始末。
経営者は、「会社は株主のもの」と言う「錦の御旗」の下、労働者を、設備か道具のように扱い始めた。
労働者の収入を上げないどころか、「終身雇用」や「解雇制限」、「定期昇給」という、日本型資本主義の「厄介な遺物」を、取り除くために、「非正規社員」という、新しいコンセプトまで創造した。
「これで万事休す」、労働者は、生きていくだけで精一杯となった。
今思えば、高度成長期の日本は良かった。大企業の社員や、公務員になれば、40年近く安泰。
しかも、十分な退職金や公的年金のおかげで、現役時代には、老後資金のことなど考えなくても、よかった。
しかし、経済が全く成長しなくなった、今を生きる、私たちの置かれた状況は、全く違う。
それなのに、政府は、いまだに高度成長期のような、バリバリの資本主義の復活を求めて、「ゼロ金利、円安、株高」という、メチャクチャな経済政策を続けている。
今あるゾンビ企業を、救済するだけの、経済政策では、日本の未来を支える、新しいビジネスモデルを生み出す企業など、育成することはできない。
そもそも、経済が成長しないのだから、企業収益など上がらないのは「自明の理」。
経済が、順調に成長している時代に、生まれていれば、平均的な能力と、真面目な努力で、豊かになれたはずなのに。
経済が、成長しない時代に生まれてしまったために、平均的な能力と、真面目な努力だけでは、決して豊かになれなくなった。この冷徹な事実を、自覚しない限り、明日はない。
ただ、忘れていけないのは、「私たちが決して悪いのではなく、政策が悪い」ということを。
生きる事にかまけて、政治に無頓着だったツケが、回ってきたという事かもしれない。