桃の木も春を思いたち
万事とどまることなし
この木も春の身支度を
日ましに緑が多くなる
東風もいやみなく
ただ春のおとずれをまつ
3月12日
空はうす曇り
すももの花が
咲きみだれる
暖かき北風に
満開のこずえは
ゆれうごく
白い花赤い花
うすみどりの若葉
どれも
春のにおいを
まきちらす
3月30日
もう大分長い間詩を書かなかった
すももの花は散り葉は青々としはじめた
やわらかいやわらかい新鮮な葉は
夢の中にでもいるようだ
空は一面におなじように曇っている
4月13日
障子紙のやぶれ目から
こいグリーンがみえる
李の枝 その向こうでは
麦が穂をつけ始めている
4月23日
旅
雨のナラの森
雨の白かんばの林
雨に打たれて
ささは光り
こけむしたナラは
くちはて
山奥入って
なお行けば
白かんばは森となり
小さな水てきも
霧も全世界をつつみ
はてしない空間を造り
無造作に
白かんばの木が
白い世界の中に枝だけ残す
しるすひわからず
濃い緑の桃
夕やみが目の前にやってきた
田植えの終わった田に
雨ごいをするカエル
水車で水をくみ上げている
近い所の音は真空の様に
音を発しない桃の実も大きくなった
7月1日
霜
霜がおりた
白い霜だ
あたり一面に
青物は打ちしおれ
落葉は風もないのに落ちる
霜により
冬により
11月28日
最後までお読みいただきありがとうございました