「DVDは何を観ていたの?」
公開当時は、さほど興味がなかったんだけど。
この映画が『地球最後の男』のリメイクだと知って、俄然興味を持ちました! ってなわけで、映画館で観てきましたよ。
なんで『地球最後の男』で興味を持ったかというと――これを書いてしまうとネタバレになってしまうので、続きはこれ以下に。
で、オレがこの映画に興味を持った理由だけど。
『ゾンビ映画大辞典』にて、『地球最後の男(THE LAST MAN ON EARTH)』の解説に、「モダンゾンビの元祖『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でさえ、本作なしには生まれなかったはずだ」との記述があったから。
というわけで、かなり期待して見に行きましたよ。
見終わって全体的な感想としては、そこそこ良くできたホラーってカンジかな。
冒頭から、人間がどこにもいない状況下で、陽の光の下では牧歌的とも言える生活を送っているウィル・スミス。
そのウィル・スミスが、なぜか極端に夜の闇を恐れている。
この日没を境に、得体の知れない恐怖が迫っているんだろうな、という緊張感が伝わってくるよう。
んで、いよいよゾンビ(ウイルスに感染した元人間)の登場になるんだけど。
ウィル・スミスが闇を恐れるのとは逆に、ゾンビが陽の光の下では活動できない、という制限が上手く使われていたと思う。
意に沿わず闇の中に入り込んでしまったウィル・スミスは、ゾンビを恐れて限られた光の中で恐怖に立ちすくんでいるんだけど。ついに闇の中でうごめいているゾンビたちに見つかってしまう!
この序盤の一連の流れからの恐怖と緊張感は秀逸だった。
ただ、ゾンビの正体が明らかになってからは……。
作中ではゾンビは人間性を失って、ただのバケモノになってしまったようなんだけど。
実は一人だけ、知性を持っているゾンビがいる。ウィル・スミスが放った罠と同じ罠を仕掛けて、ウィル・スミスを陥れようとするのだ。
ウィル・スミスが闇を恐れたように、この知恵を持ったゾンビの存在も「なぜ?」という疑問が、観ている者に恐怖を与えるのだけど。
なんと、このゾンビがどうして知恵を付けたのかについては、最後まで明らかにされないのだ。
そればかりでなく、基本的にこの映画には「なぜ?」に対する回答はほとんど示されない。
そのため、なんとも消化不良な終わり方をする。
というか、短い上映時間の中で伏線や裏設定がありすぎたんだと思う。
たとえば、どうしてウィル・スミスはウイルスに対する抗体を持っているのか? という根本的な理由とかさ。
知恵を付けたゾンビが、ウィル・スミスを罠に掛けてまで捕らえようと、固執する理由とか。
……『THE LAST MAN ON EARTH』では、主人公はゾンビを狩ることを目的にしている。
んで、ゾンビ側からしてみれば自分たちを狩ろうとする主人公こそが、むしろ自分たちの存在を脅かす怪物という、普通の怪物映画とは立場が逆転した設定となっているのだ。
だから、ゾンビたちが人間を、逆に追いつめようとする。そして、人間であるはずの主人公が、怪物として最後は葬られてしまうのだ。
閑話休題。
とまあ『THE LAST MAN ON EARTH』には、狩る側にも狩られる側にも意図というものがあったのだけど(そして、悲しい最後)。
今作では、こういう意図が明らかにされていないので、ゾンビがただ闇雲にウィル・スミスを襲ってるようにしか見えないのだ。
だから、なんで知恵を付けたゾンビが、あそこまでウィル・スミスに固執するのか、いまいち解せないな~、と思ったわけ。
このへんにカタルシスがあれば、もっと良い映画になったかもしれないな。
とはいえ、無人となったニューヨークの迫力など、映像的に観るべきものもあったりして、なかなか面白い映画でしたよ。
あと、最近はゾンビ映画(っていうか、ホラー映画全般)といえば、無闇やたらに内臓をぶちまけるか、やたらとイタイ映像だけだったりするけど。
この映画は、見えない闇の恐怖を上手く使って怖さを盛り上げていたので、この辺も良かったです。
『アイ・アム・レジェンド』(映画館)
http://wwws.warnerbros.co.jp/iamlegend/
監督:フランシス・ローレンス
出演:ウィル・スミス、アリス・ブラガ、他
点数:6点
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