近代建築撮影日記

日本全国の近代建築を
大判カメラ、一眼レフ、デジカメなどで
撮影した写真で紹介していきます

網干の町家と街並 2017

2017-12-20 18:24:39 | 近畿

前回の続き、今回は網干の町家と街並。

使用カメラ・レンズ
1.SONY α7・Ai NIKKOR 20mm f3.5S・2017.11撮影(印なし)
2.SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2017.12撮影(☆印)


※2017/12/25追加※

1996/8/9撮影の写真を整理したので追加掲載します。
20年間の変化を見てもらえたらと思います。

※2019/7/1追加※
その後判明したこと等を追記訂正しました。



【網干区新在家】
A家住宅


『姫路市史 第15巻 下』によると、右側主屋が明治末頃、背の高い左側主屋増築部が昭和9年の建築。

同上


裏手には網干川の船着き場があり、元は材木商だったらしい。

H家住宅



同上


A家の増築部に似ている。おそらく昭和初期の建築だろう。
※2019年解体されました


N家住宅



江戸期の町家だと思うが、詳細は不明。

網干川~網干橋~旧網干銀行の街並



旧北川カメラ店~旧龍野藩南組大庄屋 片岡家~旧佐久間文具店の街並


旧龍野藩南組大庄屋 片岡家を挟んで古い町並が続いている。一軒も欠けることなく残したい景観だ。

1996年に同じ場所を旧佐久間文具店側から写した写真

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)

旧旅館名田忠


旅館移転後手芸店が入っていた。名田忠は移転地で今も営業している。

以前はこんな感じだった


(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)

旧山崎屋・N家住宅


左がN家。『姫路市史 第15巻 下』によると、江戸後期の建築である可能性が高いという。外観から見て右の旧山崎屋も江戸後期だろうと思う。
山崎屋は網干銘菓「はまぐり」の製造販売元。山陽網干駅前に移転している。

山崎屋閉店直後の写真


(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)

N家住宅の裏



O家住宅


塀の内に前栽(せんざい)があり、町家と屋敷の中間的な建築。造りの良い外観から見て幕末から明治頃の建築だろうか。

M家住宅



同上


旧状を壊さない範囲でよくメンテナンスされている。虫籠窓があるので江戸期の可能性が高いと思う。

網干神社から善慶寺にかけての街並

殆どの家に直しが入っているが、古い街並みが続く。

かつては門前に飲み物を扱う店があったが、今は駐車場になっている。

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)


【網干区興濱】
旧M家住宅


出来るだけ旧状を保ってメンテナンスされている。『姫路市史 第15巻 下』によると、元舟庄屋で幕末期の建築である可能性が高いという。

同上


格子が開閉できるようになっているのか?

メンテナンス前は黒い漆喰壁だった


(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)

加納結納品店



メンテナンス前は二階に出格子があった

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)

旧山本家住宅付近の街並



同上



同上


右2棟は江戸期っぽい。

昔写した写真では二棟とも本瓦葺き

(カメラ;Nikon FA・1992/2/9撮影)

鮮魚まるまん




同上



同上


二階部分は山本家の離れを移築したという。

西原提灯店~旧水井家住宅の街並


網干では2階が一部銅張の建築は数多く見受けられるが、全面銅張は中央に見えるこの一軒だけだと思う。


【網干区濱田】
K家住宅

幕末から明治頃の建築だろうか。


【網干区余子濱】
加藤家住宅長屋門
(不詳/幕末(1864年)/木/登録文化財)


右の石碑は擷秀碑(加藤邦太郎顕彰碑)。「擷秀碑」の3文字が勝海舟の揮毫。

同上



以前は石碑の右側に大きな米蔵があった。

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)

加藤家住宅主屋
(不詳/幕末(1862年)/木/登録文化財)



加藤家住宅濱座敷(左)
(不詳/幕末(1851年)・M7増築・S33移築改修/木/登録文化財)
内蔵(右)
(不詳/M32/土蔵造/登録文化財)

加藤家住宅濱座敷



A家住宅


2階の高さを見ると、江戸期のように思われる。

同上



T家住宅


虫籠窓がある。1階は直されているが、江戸期の可能性が高いと思う。元は写真館をしていた。

S家住宅



同上


1階部分の格子などが昔のまま残っている。幕末から明治頃の建築だろうか。
かつて、蝋燭の製造販売をしていたという。


N家住宅


※口伝によると元禄頃の建築という事ですが、屋根替えの折に棟札等は見つからなかったらしいです。左に昭和初期らしい直しが入っていますが虫籠窓と格子の形状が片岡家に似ており、元禄頃という口伝には信ぴょう性があると思われます。

N家住宅・S家住宅


N家とS家は道路を挟んで並んでいる。

K家住宅



同上


『姫路市史 第15巻 下』によると、元廻船問屋で明治14年の建築であるという。

Y家住宅


昭和期には家具店を営み、その店舗になっていた。2階の高さを見れば十分江戸期にさかのぼれると思う。

旧H家住宅・I家住宅


右がI家住宅。『姫路市史 第15巻 下』によると、元材木商で明治32年の建築であるという。

旧Y家住宅(現存せず)

(カメラ;Nikon FA・1992/2/9撮影)
『姫路市史 第15巻 下』によると、江戸中期(1700年代前半)頃の建築ということだが・・・

残念ながら取壊されてマンションが建った。

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)


*一般住宅の名称は実名を使わずアルファベット表記にした。同じアルファベットのものがあり混乱しそうだが、ご了承願いたい。


網干の近代建築 2017

2017-12-17 14:42:27 | 近畿

11月の「網干ロマン街道めぐり」とVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL IIIの試写で網干の建築を再撮影したのでその中からいくつかを紹介。

以前こちらの記事でも紹介した物件です。
『姫路市網干区の近代建築(EBONY SW45で撮影)』
『網干の近代建築』
『網干の近代建築と町家』 
一部、初登場の物件もあります。


使用カメラ・レンズ
1.SONY α7・Ai NIKKOR 20mm f3.5S・2017.11撮影(印なし)
2.SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2017.12撮影(☆印)
3.その他のレンズ(★印)


※2017/12/26追加※
1992/2/4と1996/8/9撮影の写真を整理したので追加掲載します。
20年間の変化を見てもらえたらと思います。

※2019/7/1追加※
その後判明したこと等を追記訂正しました。


旧赤穂塩務局網干出張所庁舎

(大蔵省臨時建築部/M末頃?/木1/経済産業省近代化産業遺産)

作業用の足場が組んである。


瓦が綺麗になっている。吹き替えたようだ。
姫路フィルムコミッションのメルマガにも紹介されている。

瓦葺き替え、ペンキ塗り替え前の写真

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)


『網干の近代建築と町家』で 旧赤穂塩務局網干出張所内建築 その2 として紹介した物件
(大蔵省臨時建築部?/M末頃?/木1/経済産業省近代化産業遺産)



おそらく旧赤穂塩務局網干出張所庁舎と同時期の建築であろうと思われるが、確たる証拠はない。
北側に大きな窓があるので、塩の品質検査のような微妙な色を確認する作業ををしていた建築ではなかろうかと推測しているが、確たる証拠はない。
※2019年3-4月頃解体されました



旧赤穂塩務局網干出張所 塩倉庫
(大蔵省臨時建築部/M末頃?/木1/文化財指定なし)



月極駐車場が出来る前の写真

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)



※手前の一棟は2019年3-4月頃解体されました。


旧大日本セルロイド(株)網干工場 事務所棟
(不詳/不詳/RC?/日本の近代土木遺産)

網干に日本セルロイド人造絹糸の工場が出来たのは1908(M41)年。そして1919(T8)年に堺セルロイド、日本セルロイド人造絹糸、大阪繊維工業、東京セルロイド、三国セルロイド、能登屋セルロイド、東洋セルロイド、十河セルロイドの8社が合同し、大日本セルロイド株式会社となった。
建物の様子からT8以降の竣工だろうと思うので、旧大日本セルロイド(株)の事務所とした。日本セルロイド人造絹糸時代の竣工かもしれない。


『網干の近代建築と町家』で 旧日本セルロイド人造絹糸 正門付近の建築 その1 として紹介した物件
(不詳/M43以降/RC?/日本の近代土木遺産)

フェンスが金網になったので、全景が見えるようになった。


旧日本セルロイド人造絹糸 外国人技師住宅 2
(設楽貞雄/M43/木2/ひょうご住宅百選・姫路市都市景観重要建築物等・経済産業省近代化産業遺産)

立ち入り禁止のため道路から見える範囲内で撮影した。




緑色の旧日本セルロイド人造絹糸 外国人技師住宅 1 と同型ながら、煙突が無い、2階南大窓に鎧戸が付いているなどの違いがある。

昔はもう少し近づいて写せた

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)


ダイセル化学工業 エンジニアリングセンター
(設楽貞雄?/不詳/木1/文化財指定なし)

正面右側には鎧戸が入っており、古い洋館の趣がある。おそらく他の2棟と同時期の建築ではないかと思う。


左側はアルミサッシに入れ替わっている。


後部には表の洋館と趣の異なる建築がくっついている。増築のように見える。
※後部の増築部分は2019年に解体されました。

旧日本セルロイド人造絹糸 1号石炭ボイラー
(設楽貞雄/M42/煉瓦/日本の近代土木遺産)

昔は門が開けっ放しだったのだろうか?今では崩れている煙突てっぺんの金属飾りは健在だ。

(カメラ;Nikon FA・1992/2/4撮影)






旧大同燐寸工場、旧龍田紡績本社工場が解体された今、姫路市内のレンガ建築としては旧陸軍第十師団 兵器庫に次ぐ貴重な存在である。


旧岡田燐寸製造所 倉庫
(不詳/T14頃/煉瓦/文化財指定なし)







旧長久医院
(永岡組/S5頃/木2/文化財指定なし)








デイサービスは営業していないようだ。


旧知原眼科
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)




旧タムラ技研 本社
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


ペンキは綺麗に塗り替えられているが、会社は廃業している。


陽福工業
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

側面に下見板が見える。


前面タイルや瓦などを見ると昭和30年頃の建築に見えるが、次に紹介している網干商工会館(S15)を見るとよく似たタイルと瓦が使われている。
ただし、瓦やタイルは吹替・張替も考えられるので、建築当初の姿とは限らない。
※右下に「東芝」と記された水準標がある。終戦直前に東芝の工場が誘致されて来た時に建てられた建築のようである。
現在、網干では東芝ではなく西芝電機として稼働している。



網干商工会館
(不詳/S15/木2/文化財指定なし)



道路が狭く引きが足りないので、真正面から撮影すると建築全体は入らない。

★11月撮影

陽福工業と同じく、赤瓦が使われている。


長くなってきたので町家・街並は次回。


建築の垂直線を平行に撮影するということ(アオリ操作とデジタル補正)

2017-12-11 00:04:54 | その他

建築写真を撮影する手法として、もっとも多く使われる「ライズ(上方向のシフト)アオリ」。
これは、建築を見上げて撮影すると上すぼみになるので、それを真っ直ぐ平行に補正する手法。
本来、建築の垂直線同士は平行であり、上すぼみになっているのは歪んでいる、という考えによる補正だ。

逆に、見上げれば当然上すぼみに見える。それを平行に補正するとかえって不自然で歪んだ形になる、と考えることもできる。
すなわち、見かけのリアルに近いのは上すぼみのアオリ無し、実際の形に近いのは平行に写るライズアオリということになる。

五重塔などは見上げた時に最も美しい逓減率になるように、真横から見ると少し頭でっかちに見えるように設計されているといわれる。
この場合、建築を美しく魅せるにはアオリ無し、正確に写すにはアオリ有りという使い分けになるだろう。
ただし、超広角レンズだと上がすぼみ過ぎて見かけのリアルからかけ離れてしまうので一概にそうとは言えない。



アオリ操作による建築撮影(あるいは超広角15mmレンズのトリミングによるアオリ効果)を覚えると、
単純に構図を考えて被写体をフレームに収めれば良い、ということでは済まなくなってくる。
撮影のプロセスで考えることが多ければ多いほど愉しいし、仕上がりが思わく通りになると達成感もある。

※超広角15mmレンズのトリミングによるアオリ効果については

『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)』
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
で説明しているのでご参照ください。


かつて、このアオリ効果は蛇腹の付いた大判カメラか、PC-NIKKORなどのシフトレンズでしか実現できなかったが、
デジタル時代になりデジタル補正という方法も使われるようになった。
かつて『Photoshopによる建築写真の修整』で少し触れたが、デジタル補正についてもっと突っ込んで検証してみようと思う。


【画像1】建築を見上げて撮影
デジタル補正の素材としてこの画像を使用した。



【画像2】カメラを水平垂直にセットして建築の垂直線が平行になるように撮影
もちろん【画像1】と同じ位置から同じレンズで撮影している。
アオリ操作はしていないので建築全体は入っていないが、この画像をデジタル補正との比較に使用した。
【画像1】のデジタル補正後【画像2】と同じ縦横比になれば正確な補正だといえる。


1.フォトショップ(Adobe Photoshop Elements 12)による補正(イメージ-変形-ゆがみ)
【図1】


a.上部を左右に広げる
【図2】


出来上がった画像

明らかに太ってしまった。

b.下部を押し狭める
【図1】、a.【図2】と同じ手順で下部を押し狭めた画像

当然ながら、明らかに痩せてしまった。

a、bの中間くらいがちょうど良い比率なのだが、それを調整するには・・・
1.abの処理を複合して行う
2.aの天地を伸ばす
3.bの天地を縮める

という3つの方法が考えられるが、手動では正確な比率で処理することは不可能。

フォトショップ(イメージ-変形-ゆがみ)による補正は、結局使い物にならなかった。


2.フリーソフト「ShiftN」による補正
【図3】

上を左右に広げて下は押し狭め、傾きまで補正しているのが分かる。
下が押し狭められるので、建築全景を得るためには周囲を広めにとって撮影する必要がある。

出来上がった画像


一見正しい画像が得られたように見えるが【画像2】と比べてみよう。
同じ部分を同じ大きさに切り取って並べてみた。

上【画像2】デジタル補正無し、下【画像1】をShiftNでデジタル補正処理したもの



目視では全く同じにしか見えない。優秀な自動補正だと思う。
ShiftNによる補正は使い物になるレベルのようだ。
しかし、厳密には正確かどうか分からないし、画像を大幅に改変しているのは間違いない。
使わずに済むならその方が良いと思う。


結論としては、本格的に建築写真をやるならアオリ操作が可能な機材を揃えるべきである。

もしくは、超広角15mmレンズのトリミングによるアオリ効果を使えば、アオリ操作と全く同じ効果が得られる。
この方法だと、トリミングなしで通常の15mmレンズ、トリミングするとで24mm前後のシフトレンズ、2本分に使えるので経済的だ。

ただし、トリミングすれば画素数は低下するし、スイング(ティルト)アオリは不可能という制約がある。


旧 日本セルロイド人造絹糸 外国人技師住宅(ダイセル異人館)

2017-12-10 00:41:18 | 近畿

年に2回程度、姫路市網干地区の文化財を観て歩くイベントが行われている。11月24日「網干ロマン街道めぐり」の一環としてダイセル異人館内部が公開された。
以前、『網干の近代建築』で旧日本セルロイド人造絹糸 外国人技師住宅 1として紹介した緑色の洋館である。

内部までじっくり観たのは初めてなので改めて紹介しようと思う。
建築データ(設楽貞雄/M43/木2/ひょうご住宅百選・姫路市都市景観重要建築物等・経済産業省近代化産業遺産)
撮影データ(カメラ:SONY α7・レンズ:Ai NIKKOR 20mm F3.5S(写真に☆印があるものはVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL IIIで後日撮影))

【外観】


縦と横を交えた板張りが外壁のアクセントになっている。



1階庇下、直線的に上部が細くなった四角柱が印象的だ。



2階には南向きの大きな窓がある。



建築中央には煙突が1本ある。煙の出口は4本あるように見える。


最近激減している丸い鋳物ポストがある。網干には4、5本残っている。


1階の大きな庇にはサンルーフがある。テーブルを置いてアフタヌーンティーでも楽しんだのだろうか。


サンルーフの明かりが窓に反射している。


なるほど、1階室内に明かりを取り込むためのサンルーフのようである。



シンプルながら洗練された扉のデザイン。

【内部】
玄関を入って1階

内部に入ると、曲線と直線で構成された扉の桟。手間をかけている。天井のライトも良い。


扉と桟のデザインは統一されているが、全て同じではないようだ。


入り口の近くに螺旋状の階段。すぐに2階へ行けるような導線になっている。
シャンデリアは新しい物に付け替えられているようだ。


口が塞がれているが、各部屋の建築中央側に暖炉が設けてある。
これが普通なのかもしれないが、煙突1本で済むように考えられているようだ。
煙の出口が複数なのは、各暖炉に割り当てられているのだろうか?


奥にトイレがある。右の扉は勝手口のようだ。


トイレ内部の天井ライトは玄関と同型。窓や扉のデザインは、各部で少しづつ変化を持たせてあるようだ。


奥の小部屋2つにはダイセル網干工場関連資料が展示されている。


小部屋の暖炉。


この階段を登って2階に向かう。


階段を上から見下ろして見る。


天井ライトは、玄関・トイレと共通。


これは、セルロイドのステンドグラスらしい。


手摺りのデザインが面白い。主柱は上が細い八角柱、束柱は上が太い四角柱。
奇妙なリズムの構成だ。


この建築の隠れた見どころである。

2階は大部屋が2つ

南側の部屋は窓が大きく明るい。暖炉は1階小部屋と同型のようだが、こちらの方が状態が良い。


電気スタンドの傘はセルロイドだ。


北側の部屋は展示室になっている。黒いキューピーは特に高価だといわれている。これを見に来る人もいる。


北側の部屋も暖炉は同型だ。


トイレ入り口の真上。各部屋の扉と桟のデザインが統一されている部分と違っている部分があるので、比べてみてほしい。


【おまけ】
あぼし一番街の入り口ゲートの黒い猿の正体を初めて知った。
今までキューピーだと解らなかったのである。

(この写真のみ使用レンズ:Zoom-NIKKOR-C Auto 80-200mm F4.5)


Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)

2017-12-05 18:27:08 | カメラ

それでは、Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount で撮影した作例を見ながら、
レンズの特性や建築撮影の方法、α7ボディのレンズ補正などについてみていきたいと思う。


主な被写体は以前紹介済みの姫路市網干区の建築群。


【コスモス】

(ノートリミング)

最短撮影距離(30cm)、絞り開放(F4.5)で撮影。15mm超広角レンズでも近接撮影なら背景がそこそこボケる。


【旧水井家住宅】

15mmレンズの超広角ゆえのパースペクティブ(遠近感)強調やアオリ効果を得るための撮影とトリミングについて。
(ノートリミング)

15mmの画角をすべて使ってしまうと、パースペクティブ(遠近感)が強調され過ぎる。この写真では左側門扉の遠近感が強すぎて形状の破綻が見られる。
シノゴで超広角47mmレンズが使いにくいのと同じだ。


もちろん、引いて撮影すると遠近感は弱くなる。
(ノートリミング)

上下が空き過ぎなのでパノラマサイズにトリミングした。シノゴカメラにジナーズームを付けて6x12で撮影するのと似ている。
(トリミング後)


次の画像は、15mmレンズなら真正面から全景が入るかと思ったが、引き場が足りなくて門扉と蔵は途中で切れてしまった。唯一10mmや12mmのレンズが欲しいと思う瞬間だ。
こちらは上下をトリミングした画像。
(トリミング後)


次に、左右にある門扉と蔵は遠近感が強調され歪んでしまったので、それぞれの正確な形をとらえるように撮影してみた。
まず、門扉から。
(トリミング後)

この写真は下のように門扉を中央に撮影してトリミングした。
これは、シノゴにジナーズームを付けて右へ大きくシフトアオリしたのと同じ効果だ。
(ノートリミング)

そして、蔵。
(トリミング後)

これは、左へ大きくシフトアオリしたのと同じ効果。
(ノートリミング)

門扉と蔵の形にこだわって撮影しても、ほぼ左右対称であるはずの母屋が大きく歪んでしまうので、この建築の撮影方法としては×。

※参考:実際にシノゴカメラの左シフト操作で撮影した例。母屋が歪みなく左右対称に描写されている。
【亀屋(川越市)】

・被写体全体の中央がどちらの建物の中央にもならない場合、そのまま撮影すると双方ともに形状が歪んで描写されてしまう。
・どちらか一方の建築を歪みなく撮影することは出来るが、比率が大きい方(2/3以上が好ましい)の建物を選んで補正すると良い。
・小さい方の建物を選ぶと、先例の【旧水井家住宅】のように大きい方の建物の歪みが大きくなり過ぎる。

【2019.3.30追加】
姫路城大天守と小天守を正面からとらえる場合も同じことがいえる。
(トリミング後)

大天守が正確に左右対称で描写されている。

(トリミング前)

撮影時の中央を大天守の中央に合わせて撮影したものをトリミングした。

そして、トリミング前提で周囲を広く撮影すると構図の自由度も増す。例えば正方形にもトリミングできる。



次は、6x12風のパノラマサイズにトリミングした写真を2枚。


【山本家住宅】
(トリミング後)

このくらいの遠近感が最もカッコ良く見える。


【山本家住宅と西側の町家】
(トリミング後)

超広角15mmのパノラマ効果は大きい。


【旧龍野藩南組大庄屋 片岡家】
同じ立ち位置から撮影してトリミングした写真2枚。
1枚目。
(トリミング後)


2枚目は遠近感が強い。

(トリミング後)


それぞれのトリミング前の画像。
1枚目。
(ノートリミング)


2枚目。
(ノートリミング)

同じ立ち位置でカメラを左右に振って遠近感をコントロールしている。ファインダーを覗きながら好みの遠近感を探ることもできる。
ただし、元画像の左右中央からズレたトリミングをするとシフトアオリをしたのと同じことになり、遠近感が狂う場合がある。
シフトアオリ効果を狙わないのであれば中央からズレたトリミングをしない方が良い。
今回の撮影ではあまり意識していなかったが、撮影時にトリミングの範囲を決めて、それが画面の左右中央になるように撮影するべきであろう。
そのうえで、塔の歪みを補正するなどのシフトアオリ効果を狙う場合のみ被写体を中央からずらして撮影する。
そうしないと、正しい遠近感の写真にならない。塔の歪みを補正するシフトアオリは塔以外の部分の遠近感を狂わせているのである。


【カナイ(旧金井時計店)】

建築の真正面写真の撮影について。
建築正面に対して水平垂直、中央をきっちり出して撮影するが、しかし・・・
(ノートリミング)

引きのない狭い道路のため建築上部が切れ、向かい側店舗の雨樋が写り込んでいる。

仕方ないので、少しだけカメラを上に見上げたうえで、雨樋をやり過ごすために撮影位置を右に移動。
(ノートリミング)

ほんの少し上すぼみになっている。
撮影の中央線がズレたので正確には左右対称に描写出来ていないのだが、
ズレ幅が小さく建築表面の凹凸も少ないのでほとんど気にならない。
もし、建築中央に玄関ポーチか大きな庇でも有れば、歪みが気になったかもしれない。
(トリミング後)

ほんの少しだが上すぼみになっているのが分かる。気になる場合はShiftNで修正するしかない。

(ShiftN使用・ノートリミング)

(ShiftN使用・トリミング後)

ShiftNによる補正はほんの僅かで、かえって形が狂うということは無いと思うが、
デジタル補正はなるべく使わない方が良いと思う。


【網干商工会館】

(トリミング後)

適度な遠近感のある自然な描写。
元画像は、素直に画面中央に被写体を置いたもの。中央に置けば自然な描写になるということだ。
(ノートリミング)


次に、真正面から撮影しようとしたがレンズに逆光の西日が入るので日陰に移動して撮影。
(ノートリミング)

これも【旧水井家住宅】の「大きく左シフト」と同じ方法だ。
(トリミング後)

真正面から写した画像を得たつもりが、玄関ポーチが大きく左方向に歪んでしまった。
ここまで違和感があると、シフトアオリで遠近感が狂うことが良く分かる。
【カナイ(旧金井時計店)】の撮影で
「建築中央に玄関ポーチか大きな庇でも有れば、歪みが気になったかもしれない」
と書いたのはこのことである。
建築撮影で最も重要なのは撮影時の中央をどこに置くか、ということだと思う。

西日の無い午前中に再撮影したが・・
(ノートリミング)

そもそも建築中央では引きが足りなかったのでこれで限界。これ以上中央に寄ると、上部が切れてしまう。
(トリミング後)

玄関ポーチの庇が左向きに歪んでいるのが分かる。ちなみに、2階上の庇の歪みは建築自体の歪み。


【旧赤穂塩務局網干出張所 塩倉庫】

逆光だとハレーションを起こしたりフレアが出たりするが、これは対処の一例。
(ノートリミング)

シノゴの場合、低めの三脚に据えて自分の影をレンズに被せるという裏技を紹介したことがあるが、
手持ちの場合は、左手を上げたらハレ切り代わりになることがある。
写真のように左側半逆光の場合しか使えないし、片手シャッターで手ぶれの危険もあるので、
あまり良い方法とは言えないが、苦し紛れの対応としてよくやっている。


手ハレ切り」対応後の画像。
(トリミング後)



【古い町家】
旧網干銀行本店の近くにある、虫籠窓に太格子と細格子の組み合わせが美しい町家。
江戸から明治初期にかけての建築だと思うが、姫路市史の文化財編やネット上にも載っていないので詳細は不明。

この建築でα7ボディのレンズ補正テスト撮影をした。

1.「周辺光量補正」「倍率色収差補正」効果確認。
a.レンズ補正全てOFF 絞りF4.5

(ノートリミング)

(左上拡大)

ほんの少しの周辺光量落ちと、鬼瓦と空の境目にほんの少し赤く色収差が見られる。

b.「周辺光量補正」「倍率色収差補正」ON 絞りF4.5
(ノートリミング)

(左上拡大)

周辺光量、色収差ともに改善されている。

2.「歪曲収差補正」効果確認。
a.レンズ補正全てOFF 絞りF4.5
(ノートリミング)


b.レンズ補正全てON 絞りF4.5
(ノートリミング)

元々歪曲収差を徹底排除したレンズなので、補正前後の差は全く分からなかった。四隅に直線を置くように撮影すれば差が出るかもしれない。
「歪曲収差補正」はOFFで良いだろう。

3.四隅の画像乱れの改善確認
a.レンズ補正全てOFF 絞りF4.5
(左下拡大)


b.レンズ補正全てOFF 絞りF22
(左下拡大)


c.レンズ補正全てON 絞りF22
(左下拡大)

絞ると改善されるようである。
α7ボディのレンズ補正では、
「周辺光量補正」がよく効いているのは確認できたが、
画像乱れについては効いているかどうか、よく分からなかった。


次は、「直線を直線として写し取るレンズ」の実力を見るため、
殆ど直線で構成されている日本家屋の屋内を撮影してみた。


【稲香村舎 誠塾】
(【稲香村舎 誠塾】の写真は全てトリミング後)

















直線が真っ直ぐに気持ちよく描写されている。
建築写真用レンズとして申し分ないと思う。


最後に、ピントを30cmに固定して、絞りF8-11に絞り込んで猫をノーフレーム撮影してみた。
(猫の写真はすべてノートリミング)






興味を持って近づいて来てくれたが、近すぎだ。







ノーフレーム撮影でも画角が広いので猫がフレーム外になることはなかった。
被写界深度が深いので、猫がいる範囲にはほぼ合焦していた。


このレンズを使った感想は「本当に素晴らしい」の一言に尽きる。
初めてシノゴで撮影した時以来の感動だった。


表題写真は【稲香村舎 誠塾】室内画像(ノートリミング)。


Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)

2017-12-04 17:57:56 | カメラ

Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mountを購入した。
ブランドはドイツの名門フォクトレンダーだが、日本のコシナ製である。





仕様書に表記されているレンズの画角は対角線画角であって左右幅の画角ではない。
実際に写り込む範囲は水平画角(左右の画角)で考えなければ解りにくいのである。
仕様書上、15mmレンズの画角は110°となっているが、
水平画角(左右の画角) 100 °、垂直画角 (天地の画角)77 ° も表記してほしい。

なぜいきなり画角の話かというと、今回、このレンズを買うにあたって画角に関して考えたからである。

かつて『Photoshopによる建築写真の修整』という記事で
アオリ操作やデジタル補正をせずに建築の垂直線をを平行に撮影する方法として、
カメラを縦長に構えて下半分に大きく道路を入れて建築を撮影し、トリミングするというやり方を書いたことがある。
(ノートリミング)

(トリミング後)


フイルム時代のシフトレンズを生かそうとしてフルサイズのデジイチを購入したものの、綺麗な写真が撮れなかったという苦い経験もあり、
今後高額な現行シフトレンズを購入せずに、デジカメでアオリ操作に匹敵する建築写真を撮影する方法として、これを活用しようと考えたのである。

さて、この方法で撮影する場合、想定される画角よりさらに広角なレンズを必要とする。
フイルム時代にPC-NIKKOR 28mm F3.5を愛用していたが、画角が狭いのでZUIKO SHIfT 24mm F3.5を買い足したことを考えると
最低でも24mmレンズの水平画角を確保したい。

24mmレンズの水平画角は74°である。
縦長に撮影して半分トリミングする場合、垂直画角を74°以上確保すればよいことになる。
そのことから、垂直画角が77°の15mmレンズを選ぶに至ったのである。


15mmクラスの中でも Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mmのIII型を選んだ理由は・・・
デジカメ対応の工学設計が施されており、周辺部の色被りや光量低下が少ないからである。
トリミングする場合、実際に切り取る画像は中央部より周辺部に片寄ることが多いので周辺部の描写が悪いレンズは使えない。
そして、コシナのHPで「直線を直線として写し取るレンズとして、デジタル画像処理に依存せず、光学的な性能を徹底的に追及。非球面レンズの採用により、ディストーション(歪曲)を徹底的に排除しています」と謳っていること。建築撮影には最も重要な要素だ。
もう一つ、58mmのフィルターねじが切ってあること。
超広角レンズはフィルターねじが無いことも多く、保護フィルターを付けれるというのは重要な要素になる。
歩きながら首かけで撮影する場合は不用意に触れてしまったり、木の枝か何かに当ったりすることもある。
しかも、58mmという一般的なフィルター径なのが有難い。

私はハクバブランドのWPC WIDE MC レンズガードを付けた。
超広角レンズなので、フィルター枠によるケラレが無いか要確認だ。

なお、フォクトレンダー超広角「ヘリアー三兄弟」は15mmの他に12mm、10mmがライナップされているが、
15mmを選んだのは、他の2本ではパースペクティブ(遠近感)が強調され過ぎて使いにくかろうという理由である。

更に、Eマウント用ならボディ側のレンズ補正設定
「周辺光量補正」「倍率色収差補正」「歪曲収差補正」
を選ぶことが出来る。
私は「周辺光量補正」「倍率色収差補正」の2つをON(オート)に設定した。
センターNDフィルターが欲しいが物が見つからないな、と思っていたがこれで問題が解決した。
ディストーション(歪曲)を徹底的に排除したレンズなので「歪曲収差補正」は不要だろう。
【追記】後日談。若干の歪曲収差があるので、結局「歪曲収差補正」もオートで撮影している。



トリミングによる画質低下については・・・
愛用のα7の画素数は約2400万画素。半分にトリミングするとして1200万画素。

APS-Cサイズでクロップ撮影したような感じになる。
ポスター印刷をするわけではないので、まあ使えるレベルだ。
ブログ用としては完全にオーバー・クォリティである。
本当にポスター撮影が必要なら、新発売のα7R III(約4200万画素)を購入すれば対応できそうだ。

※一般的なポスターサイズであるA1に300dpiのオフセット印刷をするなら
9933×7016(ピクセル)=69689928(画素)単純計算で約6970万画素になる。
ポスターは離れて鑑賞するものなので、実際にはここまでの解像度が必要ではなく、
2000万画素もあれば十分だと思われる。
印刷について詳しいわけではないが、
明らかに低画素の画像をアップコンバートして印刷したと思われるポスターをよく見かける。

さて、いよいよ試写である。
MINOLTAシールでSONYを隠したα7に登場願おう。


超広角レンズなので被写界深度の深さを利用したパンフォーカス撮影で建築を写そうと思う。

指標を頼りにF4.5で1m-∞で合焦するようにピントを調整した。

被写体はおなじみの
旧 網干銀行本店 である。

カメラファインダーの水準器とグリッドを見ながら、水平垂直を出して撮影。
電子ビューファインダーは、水準器・グリッド表示や拡大表示ができるので便利だ。

トリミング前提であるのに加えて、近寄りすぎるとパースペクティブ(遠近感)が強調され過ぎるということもあり、周りは多めにとってある。

四隅にフィルター枠によるケラレは無い。フィルター常用可能だ。
余分な部分をカットする形でトリミング。

しかし、塔屋が右肩上がりになっている。

そこで、ファインダーのグリッドを見ながら塔屋の中心と撮影画面の中心を合わせて撮影。

塔屋の中心は避雷針。必ずしもデザインの中心とは一致しないので注意する。
トリミングすると・・

シノゴで左シフトとライズの複合アオリをしたのと同じく
塔屋の歪みを修正した画像を得ることが出来た。

以下のようなイメージで考えると複合アオリと同じだとお分かりいただけると思う。

赤枠は今回トリミングをした部分。
青枠は撮影したフルサイズ画像の中心部分をトリミングと同じ大きさで切り取ったもの。

アオリ操作なしでアオリ効果を得ることが出来た。
思わく通りである。


さて、次はトリミングした画質について。
α7のフルサイズ最高画質で6000x4000(ピクセル)=24000000(画素)で2400万画素の画像を得ることが出来る。
そこから半分の3000x4000(ピクセル)=1200000(画素)すなわち1200万画素にトリミングした画像の原寸大で解像度を検証してみたいと思う。


検証に使う画像はこちら。
まず、塔屋のデザインが左右対称に見えるように、デザインの中心と塔屋の中心を合わせて撮影した。
もちろん、塔屋の中心と撮影画面の中心も合わせてある。

6000x4000(ピクセル)ノートリミング。

3000x4000(ピクセル)にトリミングして・・

塔屋の装飾デザインが綺麗な左右対称に撮影できた。
これを原寸大でお見せしようと思ったが、大き過ぎてブログ仕様上不可能なので
塔屋上部を撮影原寸に拡大表示。

なんとなく眠たい画像。
絞り開放(F4.5)でパンフォーカス撮影したからかもしれない。


そこで翌日、絞り開放(F4.5)にして建築にピントを合わせたうえでF8まで絞って再撮影。
被写界深度が深くピントの山をとらえにくい為、都度絞りを F4.5に開いてピントを合わせなければならない。
絞りを開いてピントを合わせてから絞って撮影というのは、シノゴ撮影と同じである。

6000x4000(ピクセル)ノートリミング。

3000x4000(ピクセル)にトリミング。

塔屋上部を撮影原寸に拡大表示。

精密にピントを合わせてF8まで絞れば、この通りくっきり スッキリと写る。
被写界深度が深いとはいえ、目測のパンフォーカスではピントが甘くなるのである。
これなら、ポスター大の印刷にも対応できるかもしれないと思った。


次は、建築の側面を見上げて撮影(ノートリミング)

四隅に画像の乱れが見られるものの、建築のラインは左右の端まで真っ直ぐ伸びている。
このような構図の場合、収差の大きいレンズだと左右の端がぐにゃっと中心方向に円弧を描いて曲がってしまう。
コシナHPの通り、極限まで歪曲を取り除いた優秀なレンズである。

次に、周辺部の描写についてだが、
この程度の四隅の乱れは15mmクラスで絞り開放撮影なら仕方ないと思う。
絞れば少しは改善されるだろう。
あるいは、α7Sなどの「高集光プロセス技術」やα7R IIIなどの「裏面照射型」のCMOSセンサーなら改善できるのかもしれない。
こればかりは実写で確認しなければ、分からないが・・・


※参考:OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO SHIfT 24mm F3.5による撮影画像
(使用カメラ:EOS 6D、すべて絞りF8で撮影)

イメージサークルは18mmレンズ相当の画角があり、その範囲内で上下あるいは左右にアオリ操作ができる。
特に優れた点は、アオリ量の合計が10mmの範囲内なら2方向の複合アオリが可能なことである。

1枚目の塔屋が右肩上がりになった画像とほぼ同じ立ち位置から撮影
(ライズアオリ使用)

24mmというとかなりの広角レンズだと思っていたが、ギリギリ収まるという感じだ。

次に、複合アオリで塔屋の歪みを補正してみよう。
塔屋の中心と撮影画面の中心を合わせて撮影
(アオリ操作なし)

赤線は縦横の中央線。アオリ操作をしないと、建築は収まらない。

カメラの位置と向きはそのままで、ライズ(上向き)と左シフトの複合アオリを操作して撮影。
(ライズ・左シフトアオリ使用)

黄線は複合アオリ後の縦横の中央線。
塔屋を中心にカメラを据えて、レンズの中心軸を上・左に移動した。
15mmレンズで塔屋を中心に撮影して、画面の上・左をトリミングしたのと同じことである。
違うのは、トリミングすると画素数が減るということ。

次は、
画質検証に使った、塔屋のデザインが左右対称に見えるようにデザインの中心と塔屋の中心を合わせたうえで、
塔屋の中心と撮影画面の中心も合わせて撮影した画像 とほぼ同じ立ち位置から撮影。
(ライズアオリ使用)

意外に狭い24mmの画角。最大にライズアオリしてもアオリ量が足りない。
EOS 6Dのイメージセンサーはα7とは異なるため単純比較はできないが、
画質を見るため右上部分を撮影原寸に拡大してみる。

ライズアオリ最大なので、右上はイメージサークルの一番外側になる。特に青方向の色収差が酷い。
塔屋上部を撮影原寸に拡大表示してみると、

15mmレンズと比べて、解像度が眠たく色収差もある。
これではブログ用くらいにしか使えない。画素が減っても15mmでトリミングの方が良さそうだ。

最後に、建築側面。
見上げて撮影。
(アオリ操作なし)

歪曲収差が良好に補正されたレンズだと思う。

同じ立ち位置から、最大ライズアオリで撮影。
(ライズアオリ使用)

イメージサークルの外周を使った撮影だが、歪曲収差は感じられない。

少し下がって、垂直線が平行になるようにライズアオリして撮影。
(ライズアオリ使用)

若干の周辺光量落ちがあるものの、良好な描写だと思う。
右上部分を撮影原寸に拡大した。

画面中央部を撮影原寸に拡大した下の画像と比べると、光量落ちがあり色収差も大きいのが分かる。


フイルム時代の古いレンズではあるが、ポスターなどの大判印刷に使わないのなら十分通用する優秀なレンズだと思う。

長くなってきたので一旦筆を置くが、その他被写体の作例やα7ボディのレンズ補正効果などについては、次回
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
につづく。


いったい、EBONY(エボニー)はどうなったのだろうか?

2017-11-22 18:28:52 | カメラ

愛用する大判カメラは、EBONY SW45。
自分にとって、大判カメラはエボニー以外の選択肢はない。

先日購入した『日本カメラ』の12月号の付録『カメラ年鑑2018』に
エボニーのカメラが載っていないことに気が付いた。
かろうじてNikonとCanonのフイルムカメラが載っているのには安心したのだが、
恐らく、最後まで残ると思っていたエボニーが消えていたのである。

去年の『カメラ年鑑2017』を確認すると、載っている。
この1年で何かあったに違いない。


そこで、インターネットで調べてみると・・

1.ホームページ
「このサイトにアクセスできません
http://www.ebonycamera.com/index2.html のウェブページは一時的に停止しているか、新しいウェブアドレスに移動した可能性があります。」
・これは、予想外。海外向けの英語ページまであったのに・・

2.ヨドバシカメラの通販
全商品「販売を終了しました」
http://www.yodobashi.com/category/19055/34533/53199/m0000007261/
・本当に生産終了したようである。

3.最新のトピックス
玄光社が運営するサイト『CAMERA fan』の「銀塩手帖」2015年11月13日の記事
「エボニーが上野彦馬写真機を復刻、広川泰士氏による湿板写真撮影」
http://camerafan.jp/cc.php?i=428
・2年前にはこんなに立派な仕事をしていたのに・・


この程度しか見つからない。

何故、生産終了になったのか詳しい状況は何一つとして分からず終い。
HPも無く、ヨドバシで販売終了しているのも事実。
最悪の事態を覚悟するしかないのか?

そうでないことを祈るばかりである・・・


【2017/11/23文章追加】

早速のコメント・情報有難うございました。

EBONYは、残念ながら2016年10月に廃業したとのことです。
大変高度な加工技術と類稀な高機能木製カメラのノウハウが失われることが残念でなりません。


【速報】旧網干銀行本店 前のアーケードが撤去!

2017-07-11 19:01:02 | 近畿

タイトルの通り旧網干銀行本店 前のアーケードが撤去されました。

旧網干銀行本店は
『姫路市網干区の近代建築(EBONY SW45で撮影)』
『網干の近代建築と町家』
で紹介しています。


空が広くなり、建築全景をスッキリ撮影できますね。


そしてもう一軒、網干で唯一遺る戦前と思われる看板建築 カナイ のファサードも通りから見えるようになります。
こちらは現役の電気店なので創業時の〈時計店〉の看板表示が残る旧ファサードが今後残るかどうか心配です。

カナイは
『網干の近代建築と町家』
で紹介しています。


本日(2017.7.11)の段階で、アーケード全体の半分位が撤去されていますので工事終了まで数日かかると思われます。
(カメラ:ARROWS ef FJL21)(auのスマホ)


【続報】2017.7.17・8.8写真追加

・2017.7.15撮影、アーケード撤去作業が終わっています。
・2017.8.5撮影、街灯が新設されて作業完了していました。

7.15撮影・網干橋たもとの商店街の案内看板も撤去されています


8.5撮影・ゲート看板も撤去されました。


7.15撮影・空が見えるようになりスッキリしました


7.15撮影・赤丸ポストも残っています


7.15撮影・邪魔が無くスッキリ撮影できる悦び


8.5撮影・鉄柱も撤去され、さらにスッキリしました


7.15撮影・西面もこの通りスッキリ見えます


8.5撮影・アーケードの鉄柱も完全に撤去され、緑の街灯が新設されました


8.5撮影・真正面、電線はどうにもなりませんが・・


7.15撮影・立派な看板


7.15撮影・旧網干銀行から南
記憶が正しければ手前より旧瓦店、旧金物店、そしてカナイ


7.15撮影・本当に素晴らしいファサードが遺っています


7.15撮影・こちらは旧金物店
アールデコの影響を少し受けたと思しき窓枠とタイルの意匠


7.15撮影・昭和10年代くらいでしょうか?


7.15撮影・カナイ(電気店)は本格的な装飾のある見事な看板建築です
先代(もしくは先々代)が時計店をしていた当時の看板が遺っています


7.15撮影・昔、スナックか居酒屋があった細路地から


7.15撮影・今までアーケードに隠されていたからこそ遺された、貴重な歴史的文化財です


8.5撮影・軒に何か付けようとしていますが、ファサード自体はそのまま生かすようです


追加写真(7.15撮影分)と表題写真
(カメラ:Nikon D600・レンズ:Ai Nikkor 20mm f3.5Sほか)(アオリ効果:ShiftN使用・トリミングあり)

追加写真(8.5撮影分)
(カメラ:Canon EOS6D・レンズ:EX SIGMA ZOOM 17-35mm ASPHERICAL HSM)(アオリ効果:ShiftN使用・トリミングあり)

旧山本家住宅(姫路市網干区興浜)その2

2016-09-20 22:30:36 | 近畿

では、内部を見ていきましょう。


今回の写真撮影データはすべて(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)です。

表題写真は洋館書斎のステンドグラスです。

※今回の画像はカラーバランス設定がおかしいものがあります。
新しいレンズを購入後、カラーバランス設定を修正してを再撮影した画像で再掲していますのでご覧ください。
こちらをクリック→
『旧山本家住宅 2017』



玄関ホール 床

玄関ホール 天井


応接室


応接室


応接室


応接室 暖炉


応接室 シャンデリア


応接室 床・壁


応接室 天井周り漆喰装飾


書斎 床

書斎 床


書斎 ステンドグラス


サンルーム 床


サンルーム ステンドグラス


洋館一階廊下


金庫室


金庫銘板


金庫ダイヤル


浴室横 廊下天井ステンドグラス


洗面室


洗面室 ステンドグラス


浴室


浴室 天井


便所


離れ廊下の窓 

離れ 和室


離れ 縁側廊下


階段ホール入り口アーチ(外側)


階段ホール入り口アーチ下の床


階段ホール入り口アーチ(内側)


階段ホール 床


階段ホール


階段ホール


階段


階段手摺


階段ホール天井


階段ホール 窓

洋館二階北西側和室


洋館二階北西側和室 欄間


洋館二階北西側和室 欄間


洋館二階北東側和室


洋館二階北東側和室


洋館二階北東側和室


洋館二階南東側和室


洋館二階南東側和室


洋館二階南東側和室 灯具


洋館二階南東側和室 廊下


洋館二階南東側和室 廊下天井


洋館二階南西側和室 欄間


階段二階踊場


三階望楼階段


三階望楼


三階望楼から北の眺望


母屋 内ゲンカン


母屋 座敷八畳


母屋 座敷八畳 釘隠


母屋 座敷八畳 釘隠


母屋 座敷八畳 欄間


母屋 座敷八畳 欄間


母屋 座敷八畳 欄間


母屋 和室六畳


クド(おくどさん) カマド


想像以上に上質で素晴らしい内装でした。
BS朝日の『百年名家』で取り上げられても遜色ないと思います。


旧山本家住宅(姫路市網干区興浜)その1

2016-09-20 22:17:31 | 近畿

網干区新在家のあぼし一番街(本町通商店街)を西に抜けて興浜に入り、しばらく歩くと姫路市都市景観重要建築物等第1号指定の旧山本家住宅が見えてきます。

2016年8月21日に初めての見学会が行われたのち、9月から第1・3日曜日に一般公開されています。
平成元年に姫路市都市景観重要建築物等に指定されたのちも、長らく個人宅で非公開であったため初めて内部見学が可能となりました。

【見学要領はこちら

私自身も9月18日に初めて内部を見学し、その素晴らしさに感激しました。
今回はその素晴しい内装写真を、以前より撮りためた外観写真と共に紹介したいと思います。
写真数が多いので2回に分けて旧山本家住宅の魅力を余すところなく紹介しましょう。
まずは、外観からです。

※今回の画像はカラーバランス設定がおかしいものがあります。
新しいレンズを購入後、カラーバランス設定を修正してを再撮影した画像で再掲していますのでご覧ください。
こちらをクリック→
『旧山本家住宅 2017』


旧山本家住宅 建築データ
・母屋(不詳/M初期/木/姫路市都市景観重要建築物等)
・望楼付き洋館(大工 玉抜某(口伝による)/T7/木/姫路市都市景観重要建築物等)
・離れ・高塀・正門など(不詳/T3-7頃/木/姫路市都市景観重要建築物等)

表題写真は、正門・洋館(カメラ;Canon EOS6D・2015/7/15撮影)です。



北東から 高塀・洋館

(カメラ;Nikon D600・2013/11/26撮影)

西から 勝手口・正門・高塀、旧室津道の街並

(カメラ;PENTAX K-30・2014/1/27撮影)

北から 正門・勝手口・洋館

(カメラ;Nikon D600・2013/12/12撮影)

北から 高塀・洋館

(撮影データ;EBONY SW45・Nikkor SW 75mm F4.5・6x9判・1/2秒・f22・ライズアオリ・2009/1/2撮影)

北西から 洋館三階望楼

(カメラ;PENTAX K-30・2013/12/1撮影)

北西から 母屋・洋館・高塀

(カメラ;Nikon F70D・2013/1/1撮影)

北西から 母屋・洋館

(撮影データ;EBONY SW45・WIDEANGLE CONGO 120mm F6.3・6x9判・1/8秒・f22・ライズアオリ・2013/11/17撮影)

西から 三階望楼

(カメラ;PENTAX K-30・2013/12/1撮影)

南西から 裏手高塀

(カメラ;PENTAX K-30・2014/1/27撮影)

南東から 裏手高塀

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

正門から 敷石・玄関石段

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

玄関千鳥破風

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

玄関

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

玄関と建仁寺垣 

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

建仁寺垣 

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館二階から 正門・母屋表ゲンカン・洋館玄関唐破風

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館北正面見上げ

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館北東正面見上げ

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館北東斜め見上げ

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館東側面見上げ

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館南裏面見上げ

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

洋館 書斎ステンドグラス外観

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

離れ 窓の格子

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

離れ・洋館

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

日本庭園

(カメラ;SONY α7・2016/9/18撮影)

次回『旧山本家住宅(姫路市網干区興浜)その2はいよいよ初公開された内部です。


自由学園 女子部食堂 パノラマ古写真

2016-09-05 22:13:29 | 東京

骨董市で大変貴重なものを見つけました。

自由学園 女子部食堂
(遠藤新/S9/木/東京都選定歴史的建造物) 
(画像をクリックすると中央部のみを拡大した画像でご覧いただけます)

巻物になったパノラマ写真です。縦15㎝、横120㎝。こんなに長いものは見たことがありません。
解像度から見て、オリジナルプリントだと思われます。
人物の服装などから見て、建築落成(S9)~昭和30年頃までのものでしょうか。
しかも、目視した限り繋ぎ目が見当たりません。(画像の繋ぎ目は分割スキャンによるもの)
ということは、サーカットカメラで撮影したのでしょうか。
このカメラの構造は、カメラを回転させてロール状のフイルムを巻き上げながら露光するというもので、理論上360°以上の撮影も可能だと思われます。
パノンカメラ商工のワイドラックス等のように固定したフイルムに露光する方式では、ここまで長いパノラマ写真を撮影できません。
撮影後、上下をトリミングしてしまうと解像度が落ちてしまいますので、トリミングした物でもないと思います。

このように特殊なカメラで参加者全員を1枚の写真におさめたのですから、よほど重要な集まりだったのでしょうか?しかし、私には知る由もありません。



この、自由学園には20年ほど前に訪れたことがあります。
当時、突然お邪魔したにもかかわらず親切にご案内いただいたことを懐かしく思い出しました。

その時に撮影したネガを出してみると、酷いことに・・・

1997/5/31撮影。19年余り前のネガです。
カビが生えているわけでもないのに、思いの外変色が進んでいます。
ここ数年、夏場の高温多湿化が異常に進んだせいでしょうか。
ここまで酷ければ、作為的な着色といっても通用しそうです。

プリントを探してスキャンした方がましだとは思いますが、
とりあえず、フォトショップで出来る限りの補正を施してみました。



自由学園 女子部食堂
(遠藤新/S9/木/東京都選定歴史的建造物) 

(カメラ;Nikon new FM2・1997/5/31撮影)
パノラマ写真と同じ場所ですね。木々が大きく成長している状態が見て取れます。



自由学園 女子部体操館
(遠藤新/S9/木/東京都選定歴史的建造物) 

(カメラ;Nikon new FM2・1997/5/31撮影)
奥に女子部食堂の三角屋根が見えています。



自由学園 女子部講堂
(遠藤新/S9/木/東京都選定歴史的建造物)

(カメラ;RICOH GR1・1997/5/31撮影)
同じく遠藤新による設計の旧真岡尋常高等小学校講堂(S13/登録文化財)にそっくりです。



自由学園 初等部食堂
(遠藤新/S6/木/東京都選定歴史的建造物)

(カメラ;Nikon new FM2・1997/5/31撮影)



物件名不明
(不詳/不詳/木/不明)

(カメラ;Nikon new FM2・1997/5/31撮影)
自由学園の直前のコマに写っていましたので、 学園近くの住宅地かと思われますが、定かではありません。更に前のコマが小平のガスミュージアムで、自転車による移動だったと記憶していますので、小平市・東久留米市の何処かには違いないと思います。


震災前の神戸 その3

2016-05-14 01:45:37 | 近畿

前回の続きです。
震災前後の比較に加えて、震災後に撮り加えた物件も紹介します。

2018/2/6追記
現況写真として2018年2月撮影の写真を追加します。
追加分は写真の上に(2018年)と表示します。

表題写真は
旧 トーマス住宅(現 風見鶏の館)(震災前)
(ゲオルグ・デ・ラランデ/M37/煉瓦・石・木/重要文化財)
です。


(震災前)と表記の有る写真が1995.1.1撮影分、使用カメラ:Nikon F-601QD。
(震災後)と表記の有る写真が1995.3.20撮影分、使用カメラ:Nikon FA。
(2018年)と表記の有る写真が2018.2撮影分、使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount



旧三井銀行神戸支店(震災前)
(長野宇平治/T5/SRC2/現存せず

(震災後)


(2018年)

旧ビルとは余りにも違いすぎる、ちょっと?な外観復興。

(震災前)


(震災後)


(震災前)


(震災後)


(震災前)


(震災前)


(震災前)


(震災後)

無垢の御影石による6本の列柱は無残にも崩れ落ちましたが、大きな石を積んだ構造体は壊すのに手間取ったのか3/20時点でかなり残っています。
 



旧村井銀行神戸支店(震災前)
(吉武長一/T9/RC6/現存せず


(震災前)


(震災後)

震災時、前面の壁だけ残して崩れ落ちました。放置すればいつ崩れるか分らない為、すぐに取り壊されました。
 



旧湯浅商会(震災前)
(不詳/T5頃/煉瓦2/現存せず


(震災後)

震災に耐え、補修後数年使われましたが取り壊されました。
 



シノザキ栄町ビル(震災前)
(不詳/T頃?/煉瓦?/現存せず

西隣(空車庫の看板の右側)に旧明治火災保険神戸支店の軒持送りが部分保存されています。

(震災後)

2階左の窓周りに破損が見えます。修復されること無く、取り壊されました。外観から見て由緒正しい建築かと思われますが、ネットや文献を調べてみましたが詳細の判る資料は発見出来ませんでした。
 



旧第一銀行神戸支店(震災前)
(辰野金吾/M41/石・煉瓦造2/外壁保存


(震災後)


(2018年)


(震災後)

壁面にヒビが入っています。その後、外壁だけ保存して地下鉄みなと元町駅の出入り口になりました。
 



旧兵庫県庁舎(震災前)
(山口半六/M35/煉瓦・RC3/登録文化財)


(震災後)

門柱が倒れて撤去されています。(後に修復されました)

(2018年)


(震災前)


(震災後)

どこが破損したのか分りませんが、3/20時点では修復中です。

(2018年)

 



神戸栄光教会(震災前)
(曾禰・中條建築事務所/T11/煉瓦2/現存せず


(震災後)

レンガは地震に弱いですね。既に撤去されています。その後しばらくはテントの仮教会堂でしたが、2004年にほぼ同じ外観で再建されました。

(2018年)

 



名称不明アパート(震災前)
(不詳/不詳/木2/現存せず


(震災後)

外観からは殆ど破損が見えませんが、すぐに取り壊されたと思います。

(2018年)

 


旧 A.P.ディスレッセン邸(現 門兆鴻邸)(震災前)
(A.N.ハンセル/M28/木2/重要伝統的建造物群保存地区「北野町山本通」の伝統的建造物) 


(震災後)

1995年中に修復が完了しました。

(2018年)

 



旧 A.N.ハンセル邸(現 シュウエケ邸)(震災前)
(A.N.ハンセル/M29/木2/重要伝統的建造物群保存地区「北野町山本通」の伝統的建造物) 


(震災後)

隣の門兆鴻邸には遅れをとりましたが、修復されました。

(2018年)

増築部分が撤去されています。



神戸ムスリムモスク(神戸回教寺院)(震災前)
(ヤン・ヨセフ・スワガー/S10/RC3/文化財指定なし)


(震災後)


(2018年)


(震災後)

左後方の鐘楼?が落下しています。その後、修復されて今日に至ります。
 



中山手カトリック教会(震災前)
(不詳/T11/RC/現存せず) 


(震災後)


(2018年)


(震災前)


(震災後)


(震災前)


(震災前)


(震災後)

この壮麗なゴシック建築も、修復されるこよなく1998年に取り壊されました。ステンド・グラスは解体時に取り外され、祭壇の後ろの部分に設置されていた部分が2004年に同所に再建されたカトリック神戸中央教会の聖堂に設置されました。その他の部分は、2008年に高松のカトリック桜町教会、2015年にカトリック宮崎教会の新聖堂に設置されました。
 



旧 三菱銀行神戸支店(現 ファミリアホール)(震災後)
(曽禰達蔵/M33/石・煉瓦3/神戸市景観形成重要建築物)

震災に耐えましたが、先日残念なニュースが飛び込んできました。大手不動産会社に土地ごと売却されたということで、外壁保存の上タワーマンションを建設する方針とのことです。何も残らないよりはましかもしれませんが、帯巻建築はもううんざりです。せめて戦災で失われた上部の三角ぺディメントが復元されれば良いと思いますが、無理でしょうね・・

(2018年)

 



山手ビルディング(震災後)
(不詳/不詳/RC?/現存せず

外観から昭和10年前後の建築だろうと思いますが、詳しい資料は見つかりませんでした。
2002年頃に取り壊されたと思います。
 



神戸放送会館(震災後)
(不詳/S46/RC4/現存せず

1995年1月17日早朝、震災の一報はここからでした。1997年撤去、2005年新ビル竣工。

(2018年)

 



名称不明(震災後)
(不詳/不詳/煉瓦/現存せず

外観から見て、明治末頃でしょうか。裁判所の近くにありましたので、裁判所にあやかってレンガ造りにしたのかもしれませんね。

(2018年)

取り壊されて、小さいタイムズになりました。



旧 日濠館(現 海岸ビルヂング)と裏手の倒壊した煉瓦ビル(震災後)
(河合浩蔵/M44/煉瓦/登録文化財)(不詳/不詳/煉瓦/現存せず

旧 日濠館(現 海岸ビルヂング)の表面は石造りですが側面から見るとレンガ造りです。
もう一棟のビルは完全に倒壊しています。
 



旧 神戸市役所本庁舎(現 神戸市役所2号館)(震災後)
(不詳/S32/RC8/文化財指定なし)

6階以上を撤去し、1996年に5階建として復旧。2016年現在、建替の検討が始まったそうです。

(2018年)

 



そごう神戸店(震災後)
久野節/S8/RC/文化財指定なし)(右の旧ビル部分のデータ)

右からS8竣工の阪神三宮ビル、S41竣工の正面自社ビル、左はさくら三宮ビル。
正面に見える自社ビル部分のみ撤去建替、1996年に竣工・営業再開しました。

(2018年)

 



三宮センター街(震災後)
せいでん近辺だと思います。ビル名などは不明です。


『震災前の神戸』 シリーズは今回で終わりです。


 【関連記事】
『失われた神戸の近代建築~1995年元旦撮影~』 
『神戸の近代建築(EBONY SW45 で撮影)』
『震災前の神戸 その1』
『震災前の神戸 その2』


震災前の神戸 その2

2016-02-03 23:28:24 | 近畿

今回は、神戸の近代建築を1995.1.1に撮影した写真と震災後の3.20に撮影した写真で比較します。
加えて、ごく一部ですが戦前の絵葉書も紹介します。
はるか以前に投稿した『失われた神戸の近代建築~1995年元旦撮影~』の完全版となります。

2018/2/6追記
現況写真として2018年2月撮影の写真を追加します。
追加分は写真の上に(2018年)と表示します。

2018/5/27追記

現況写真として近藤ビルに2018年5月撮影の写真を追加します。
追加分は写真の上に(2018年5月)と表示します。


※表題写真は
神戸税関(震災前)
(大蔵省営繕課/S2/SRC4/文化財指定なし)
です。


(震災前)と表記の有る写真が1995.1.1撮影分、使用カメラ:Nikon F-601QD。
(震災後)と表記の有る写真が1995.3.20撮影分、使用カメラ:Nikon FA。
(2018年)と表記の有る写真が2018.2撮影分、使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount



近藤ビル(震災前)
(不詳/不詳/RC?/現存せず

外観から見て昭和一桁くらいの建築でしょうか。阪急三宮駅前の名物ビルでした。

(震災後)

右隣のビル共々、8月までに取り壊されました。1997年、外壁の茶色を踏襲した同名のビルで復興されました。

(2018年5月)




神戸阪急ビル(震災前)
(阿部美樹志/S11/SRC/現存せず

阪急電車に乗ってこのアーチをくぐる場面は強く印象に残っています。

(震災後)

ビルは大きく破損し、2月中に解体されました。1995年12月に3階建ての仮ビルが出来ましたが、20年以上経った今年、やっと本復興が実現します。

(2018年)

仮ビルは撤去されました。
 



第一南ビル(震災前)
(不詳/不詳/RC?/現存せず

外観から見て昭和一桁くらいだと思います。

(震災後)

同位置に同名のビルで復興しています。ガラス張りの現代建築になってしまいました。

(2018年)

 



旧神戸ホテル(震災前)
(不詳/不詳/RC5/現存せず

こちらも外観から見て昭和一桁くらいだろうと思います。

(震災後)

一見、破損が無いように見えますが、取り壊されました。

(2018年)


(戦前絵葉書)

右の建物です。
 



神戸税関(震災前)
(大蔵省営繕課/S2/SRC4/文化財指定なし)


(震災後)

建物に震災の被害はありませんでした。旧ビルの大部分を保存した上で1998年に改築されました。

(2018年)

元の建築はほぼ左右対称。右奥が増築部分。

(2018年)

表題写真と比較すれば左に増築されたのが分かる。
 



山本船具店(震災前)
(不詳/不詳/RC?/現存せず

これも昭和戦前でしょう。

(震災後)

建物に被害は無く、2006年頃まで存在していました。
 



旧神戸居留地十五番館(旧アメリカ合衆国領事館)(震災前)
(不詳/M13/木骨煉瓦/重要文化財)

小屋材に大工風間儀佑・棟梁源蔵の名があります。この時期の擬洋風建築は大工の棟梁が設計者である事が多いので、あるいはこの2名のどちらかによる設計かもしれません。

(震災後)

全壊しましたが、部材をかき集めて1998年に再建されました。重要文化財であったため、復旧出来ました。

(2018年)

 



モーシェビル(震災前)
(不詳/S26/RC/現存せず


(震災後)

すぐに取り壊されて、1997年にシティホテルが出来ました。
 



旧内田汽船(震災前)
(設楽建築工務所/T8/RC3/現存せず


(震災後)


(2018年)


(震災後)

かなりひどく破損しています。その後取り壊されて、2000年に新しい商業ビルが出来ました。
 



常盤ビル(震災前)
(不詳/T9/RC4/現存せず


(震災後)

3/20時点で既に無くなっているようです。1998年に同名のビルで復興しました。
 



明海ビルディング(震災前)
(藤井厚二/T10/RC8/現存せず


(震災後)


(震災後)


(震災後)

右側の新館は崩壊しましたが、旧館は一見大丈夫なように見えます。しかし全て取り壊され、1998年にガラス張りの同名ビルで復興しました。

(2018年)

 



旧大阪商船神戸支店(震災前)
(渡辺節/T11/SRC7/文化財指定なし)


(震災後)


(2018年)


(震災前)


(震災後)

外壁に破損が見られますが、建築自体は大丈夫でした。

(2018年)




旧三井物産神戸支店(震災前)
(河合浩蔵/T7/RC4/神戸市景観形成重要建築・近代化産業遺産)


(震災後)

一見大丈夫なように見えますが、構造自体に破損があり1998年に外壁保存の新ビルが竣工しました。

(2018年)

 



手前:旧三井物産神戸支店(震災前)
(河合浩蔵/T7/RC4/神戸市景観形成重要建築・近代化産業遺産)
奥:旧大阪商船神戸支店(震災前)
(渡辺節/T11/SRC7/文化財指定なし)


(震災後)


(2018年)

 
(戦前絵葉書)
外壁保存によりこの2つのビルの並んだ景観はどうにか守られました。
 



旧橋本汽船(震災前)
(竹中工務店/T6/RC3/現存せず


(震災後)

震災による破損はありませんでしたが、2005年頃までに取り壊されました。
 



旧神戸住友ビル(震災前)
(住友合資会社工作部/S9/RC3/現存せず


(震災前)


(震災後)

震災による破損はありませんでした。2002年には銀行としての役割を終え、その後テナントが入っていましたが2014年に解体されました。

(2018年)

駐車場になりましたが、ビルの写真と説明の看板があります。
 



昭和ビル(震災前)
(不詳/不詳/RC?/文化財指定なし

外見から見て、昭和戦前だと思います。
おそらくこちらは裏。反対の面には装飾が施されています。

(震災後)

震災による破損はありませんでした。左には次に紹介する隆源ビルがありました。

(2018年)


(2018年)

おそらく、こちらが表。



隆源ビル(震災前)
(不詳/不詳/木骨煉瓦/現存せず

外観から見て明治末から大正の建築でしょうか。震災前に中に入ったことがありますが、柱は木造でした。

(震災前)
 

(震災後)

一見大丈夫に見えますが、数年放置された後、取り壊されたように記憶しています。その後は駐車場になり、建築は復興されていません。

(2018年)




旧安田銀行神戸支店(震災前)
(安田銀行営繕課/T15/RC2/現存せず

震災前に取り壊されてしまいました。
 



旧山口銀行神戸支店(震災前)
(河合浩蔵/T12/SRC5/現存せず


(震災後)


(震災前)
 
(震災後)

既に取り壊しが始まっています。すぐに小さな銀行店舗が建ちましたが、銀行閉店後の2005年にはマンションが竣工しました。新ビル前に入り口アーチ部分がモニュメントとして保存されています。


件数が多いので『震災前の神戸 その3』に続きます。


【関連記事】
『失われた神戸の近代建築~1995年元旦撮影~』 
『神戸の近代建築(EBONY SW45 で撮影)』
『震災前の神戸 その1』
『震災前の神戸 その3』 


震災前の神戸 その1

2016-01-19 22:03:51 | 近畿

早いもので、あの震災から21年。

神戸の近代建築を初めて撮影したのはその直前でした。
最初のものはお遊びで立体写真(ステレオ写真)に挑戦しています。
ハーフサイズカメラ「OLYMPUS PEN FT」で2回撮影をした立体写真です。


まずは、その立体写真を紹介しましょう。
※私自身、交差法による立体視が出来ませんので平行法で作製しております。


神戸ムスリムモスク(Kobe Muslim Mosque)
(ヤン・ヨセフ・スワガー/S10/RC3/文化財指定なし)


手前:旧三井物産神戸支店
(河合浩蔵/T7/RC4/神戸市景観形成重要建築・近代化産業遺産)
奥:旧大阪商船神戸支店
(渡辺節/T11/SRC7/文化財指定なし)

隆源ビル
(不詳/T頃?/木骨煉瓦?/現存せず

旧村井銀行神戸支店
(吉武長一/T9/RC/現存せず


神戸市交通局700形電車・708(現存せず)と
煉瓦倉庫レストラン(旧日本貿易倉庫)
(不詳/M31/煉瓦/文化財指定なし)


神戸港 


モラエス像

像は立体に見えますが、背景がかなりちらついてしまいます。2回撮影ですので、大目に見てください。


ここからは、普通の写真です。

2018/2/6追記

現況写真として2018年2月撮影の写真を追加します。
追加分は写真の上に(2018年)と表示します。

(2018年)と表記の有る写真が2018.2撮影分、使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount。


旧横浜正金銀行神戸支店
(桜井小太郎/S10/RC5一部S/登録文化財)


(2018年)


旧内田ビルディング
(設楽建築事務所/T8/RC3/現存せず


(2018年)


ニューミュンヘン 神戸大使館
(不詳/不詳/RC?/現存せず

こちらの建物は外壁が本格的に造り込まれていますが、近代建築風に作られたビアホールです。

旧大阪商船神戸支店
(渡辺節/T11/SRC7/文化財指定なし)


(2018年)


旧日本郵船神戸支店
(曾禰達蔵・中條精一郎/T7/RC3/文化財指定なし)


(2018年)


旧住友銀行神戸支店
(長谷部鋭吉/S9/RC3/現存せず


(2018年)


旧ナショナルシティバンク神戸支店
(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ/S4/SRC3/市指定景観形成重要建築物・近代化産業遺産)


(2018年)



最後は、神戸市役所24階のの展望ロビーから撮影した神戸のパノラマ写真です。
南北3枚づつの写真を繋げただけです。
表題写真に北中央を入れていますが、経年による退色が激しいです。
そのため、こちらの写真はモノクロに変換しました。







今回の写真は全て
(カメラ;OLYMPUS PEN FT・1994/5/14撮影)
です。 


次回は、1995.1.1に撮影した写真と震災後の3.20に撮影した写真をご紹介します。

【関連記事】
『失われた神戸の近代建築~1995年元旦撮影~』 
『神戸の近代建築(EBONY SW45 で撮影)』
『震災前の神戸 その2』
『震災前の神戸 その3』


貞光のうだつ群と近代建築

2015-11-25 20:33:14 | 中国・四国

2015.11.23 生憎の雨の中、日本一のうだつの町「貞光」を訪問。
前回訪問は1997.12.31なので実に18年ぶり。
一部、前回の写真と比べながら見ていきましょう。

今回の使用カメラ:SONY α7、レンズ:OLYMPUS ZUIKO AUTO-SHIFT 35mm F2.8
*それ以外のカメラを使用した写真のみ使用カメラを表記
*前回写真のみ撮影年を表記


貞光駅
(不詳/T3/木1/文化財指定なし)

ここまで綺麗にサイデリアされていると、開業時の建物かどうか確信が持てません。
ただし、建て替えたという情報が無いので躯体は古いと判断しました。


駅前のうだつ町家2棟 
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

トタン張りうだつ


旧医院?
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

旧S医院(昭和10年頃)か?という情報もありますが未確認です。




(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)


左二層うだつ右入母屋の町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


18年前に同じ建物を左から撮影

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)
手前の食堂には単層うだつがあります。


貞光劇場入口西の町並

うだつはありませんが、袖壁は見えます。


貞光劇場
(不詳/S7/木2/文化財指定なし)



(使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)




*表題写真も貞光劇場(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)です


貞光劇場南側の町並

入母屋の町家にはうだつが付きません。


松尾神社裏の町家長屋
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

うだつは無くとも袖壁は付いています。


松尾神社拝殿
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)

京都の松尾大社が総本社で大山咋神を祭神に祀り、酒造の守り神といわれています。

ここまで、貞光駅から県道126号線を東に来ました。


旧K医院
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

建築の造りからみて、大正くらいまで溯れるのではないかと思います。
裏通りにあります。現在、一宇街道沿いに鉄筋コンクリートの医院が建っています。


旧K医院病室棟
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)
2代目が建てたということです。戦後の可能性が高いです。


枇杷ノ口バス停留所の町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)
家の軒先にバス停の看板があります。もしかしたら、板戸の中は待合所だったのかもしれません。

ここより、うだつのメイン通り「一宇街道」を南から北上します。


うだつを伸ばして倉庫を増築した町家 
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


伝建地区に指定されていないからこそ見ることが出来る風景です。
創建時の姿も立派かもしれませんが、建築改装の歴史も残す価値があるように思います。
町並ガイド地図の南限は道しるべになっていますが、更に南下するとこのような物件にめぐり逢えます。

以下2棟も、建築改装の歴史を色濃く残したうだつの町家です。




2階建て茅葺町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

茅葺の2階は屋根裏部屋であることが殆どですが、ちゃんとした二階家で茅葺ははじめて見たように思います。


単層二階切妻型うだつの町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


長屋
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)

近年、この手の超長い長屋は激減したように思います。

18年前に同じ建物を左から撮影

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)


道しるべのある辻

ここよりガイドマップで紹介されているエリアに入ります。


前田商店
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


二層厨子上切妻下寄棟型うだつの町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


擬似洋館の町並

元洋館があったからなのか、施主の趣味なのかは分りません。


嘉美屋・アンリール・阿佐商店(3軒とも現名称)


18年前

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)
18年前、アンリールの屋根は桟瓦で葺き替えられていますが、現在は本瓦葺きになっています。

嘉美屋の二層厨子上切妻下寄棟型うだつ

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

1997年 アンリールと阿佐商店

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

1997年 阿佐商店・アンリール・嘉美屋

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

アンリール


1997年 アンリールと阿佐商店の間

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

1997年 阿佐商店の籠絵(亀)付きうだつ

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)


アンリールと阿佐商店の向かい側町並


織本屋
(不詳/明和9(1772)-M4/木2/登録文化財)


18年前

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

正面

二層厨子上切妻下葺き下ろし型うだつ


二層厨子上下共切妻型うだつの町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


松と鷹鏝絵うだつの町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


1997年 門の瓦

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

1997年 松と鷹鏝絵うだつ

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)


阿川酒造
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


18年前

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)


ウィッティいむら
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


右側瓦飾り(鷹・尉)


左側瓦飾り(亀・姥)


福田商店
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

(使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)


二層二階上下共切妻型うだつで、下段は洗出し人造石になっています。


旧福島医院
(不詳/不詳/木2/現存せず)

(1997年撮影・使用カメラ:RICOH GR1)


(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)
 一宇街道 唯一の洋館が無くなりました。


真鍋食料品店?
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

右側の空き地に旧福島医院がありました。


偽装・うだつの町家

景観保護のため最近造られたうだつの偽装町家。
手前の商店も瓦を付けて景観に配慮している様子。


本家宇山
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)
左半分は昭和後期によくあった、ハリボテ改装現代風商店。
これも、建築の歴史として残しておきたいですね。 


右に見えるトタン張りの町家に貞光最古のうだつがあるのですが、総トタン張りで全く気付かず、撮影せずに通過。残念!


飯田食堂
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


左側うだつ鏝繪(鯉の滝登り)


1997年 左側うだつ鏝繪(鯉の滝登り)

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

右側うだつ鏝繪(鯉の滝登り)

鏡のように左右対称で描かれています。


単層厨子切妻型うだつの町家
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


川柳の石碑があります


毎日新聞貞光専売所(奥)などの町並

袖壁さえ付いていない切妻の町家。
奥のハリボテ改装の町家が毎日新聞貞光専売所。右側に単層うだつがあるようですが隠れています。


まちなみ交流館

町家風に造られた観光施設。


旧永井家庄屋屋敷 
(不詳/寛政3(1791)年~/木/町指定文化財)

18年前の 表門・母屋

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)

母屋


母屋内部


藍の寝床

よく見るとうだつが上がっていますね。


かなざきや・あさひやなどの町並


白虎鏝絵うだつの町家と村田書店
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)

1997年 右の白虎(阿形)と村田書店・銀杏のうだつ

(1997年撮影・使用カメラ:Nikon new FM2)


吉本時計店
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

このような改変があっても、日常の商店として現役であること、街が生きていることが素晴らしい。


阿川麹店
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

このように修景してしまうと、かえって味気なく感じるのは私だけだろうか?


しばた屋
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


ニシオカ
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)

赤丸ポストのある風景が良いですね。


三共保険事務所
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


永尾病院奥のうだつ
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

病院長宅でしょうか?

「一宇街道」はここまで。再び県道126号線に戻ります。


御食事処にしむらと袖壁の町家

(使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)
県道126号線を貞光駅方向に戻っていくとこの食堂があります。
昼飯にカレーライスをいただきました。大変美味でした。


西浦通りの町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

御食事処にしむらから南に入った通りが「西浦通り」です。通り一本外れるとまるで雰囲気が違います。


西浦通りの単層二階切妻型うだつの町家
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

西浦通り唯一のうだつです。


庚申通りの町家
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)

西浦通りから一宇街道に抜ける道です。


隣町の伝建地区より10倍くらい楽しい街歩きが出来ました。
雨が降っていても、もっと歩きたいと思わせる町並です。